上 下
101 / 139

101 事後処理を済ませよう

しおりを挟む
 ソルリアは俺を除く国王一族の処刑で滅亡した。諸外国の反応は「妥当」。そりゃそうだ、皇帝を暗殺しようとしたなんてとんでもない事件を起こしたんだからね。俺に関しても連帯責任で首を飛ばすべきという案もあったそうだが。

「ではその話を直接陛下にお伝えしていただけますか?私ではそのような事恐ろしくて恐ろしくて到底できませんよ」

 と、議会でセイリオスが棘をザクザク生やしたので立ち消えになったらしい。

「それに私も側妃様には色々と世話になった身ですから、側妃様を咎めるならば私も何か罰せられなければ、ねえ?」

 最後に氷塊でドスンと潰してその発言をした貴族は塩をかけたナメクジより小さくなったらしい。いやあ……味方につけるべき人をつけておいて良かったよ。


「今年の天候は回復見込み、小麦も平年並みを期待できます!」

「やった!」

 農業担当部署から天候に関する予想データが届き、ほっと胸をなでおろした。

「一年で済んで良かったなあ」

「ああ、貴重な資料も残った。これからの冷夏対策にも使える」

 そうだな、帝国は続いて行くんだ。また冷えて小麦が取れない夏が来るかもしれない。その時にどうするか、過去はどうやって乗り切ったかを記録しておくことは大事だ。

 貧民街からほぼ毎日鉱山まで行く馬車は廃止で、月1回くらいになっている。そのまま鉱山に住み着いた者もたくさんいるそうだ。鉱山で借金をして本物の……帰ってこれなくなった借金奴隷に落とされる奴らも出て来てしまったらしいがそこは大目に見て貰おう……かな、ごめん。

「首を落とすほどではなかったソルリアの貴族達が大勢送り込まれているからな」

「……うん」

 もしかしたらレーツィアの家族もいたのかもしれないけれど、レーツィアからは何の連絡もない。元々家から放逐されたと言っていたし、ソレイユ様を頼る事も出来ただろう。本当に助けたければ、あの抜け目のないレーツィアが黙っているはずもない……何か言って来たら便宜を図ってあげようと思う。

「んじゃあ6月に合同結婚式だなあ」

「私とお前の式をするのか?」

「……セイリオス達だよ。ラムってたまにアホになるよね?」

 俺は式はしねえって言っただろうよ!恥ずかしい!景気が回復してきて慶事を行って市場を活性化させるんだ。減った資産を更に目減りさせることになるかもしれないけど、その後の回収がきちんと計画されている事なら問題ない。

「さて、女性の購買意欲を刺激するようなモノをいっぱい出したいね」

「そんなものあるのか?」

「……ダイヤのいっぱいついたウェディングドレスとか着てもらうかな……」

 俺の適当に言ったコレ、服飾部の侍女ちゃんとメイドちゃんが前のめりで話を聞きに来た……。えーとえーと?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?

み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました! 志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜

N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間) ハーレム要素あります。 苦手な方はご注意ください。 ※タイトルの ◎ は視点が変わります ※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます ※ご都合主義です、あしからず

推し様の幼少期が天使過ぎて、意地悪な義兄をやらずに可愛がってたら…彼に愛されました。

櫻坂 真紀
BL
死んでしまった俺は、大好きなBLゲームの悪役令息に転生を果たした。 でもこのキャラ、大好きな推し様を虐め、嫌われる意地悪な義兄じゃ……!? そして俺の前に現れた、幼少期の推し様。 その子が余りに可愛くて、天使過ぎて……俺、とても意地悪なんか出来ない! なので、全力で可愛がる事にします! すると、推し様……弟も、俺を大好きになってくれて──? 【全28話で完結しました。R18のお話には※が付けてあります。】

処理中です...