【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

文字の大きさ
上 下
31 / 139

31 あいつ、限度って言葉知ってるのか?

しおりを挟む
「よし、この店にしよう、アリーチェ買いに行ってくれる?」

「……私が、ですか?」

 リンダとアリーチェが交代で俺を見張っているんだが、そりゃそうだろう!

「何言ってんだ!ソレイユ様に差し上げる物だぞ?!お前達が最終的に合格かどうか確かめなくてどうするんだ!」

「ふむ、一理ありますね」

「俺から差し入れだって一言付け加えてくれるのだけは忘れないで」

「わかってますよ」

 俺は上司にゴマをする!!今回は3班が見つけて来てくれた焼き菓子をセレクトした。気に入ってくれれば良いが……。
 まあ皆に労いの言葉をかけておかねば!

「今月はこんな感じだ……来月も頼むね!」

「え?毎月ご褒美を頂けるので?」

 メイドちゃんがびっくりしているけど

「……何言ってんの?ずっとだよ、ずっと!!頑張って店を探してね!」

 ごまスリは1日にしてならず!だよ!

「毎月……高級スイーツがタダで食べられる職場……」

「あ!あと服は半年に一回位で頼むね……」

 あの時は大変だったなぁ……ラムの奴調子に乗りやがって……ううっ思い出したくない!

「ちょっと良いワンピースが年2回支給される職場……」

「最高……」

「ん?なんか言った?」

「何でもありません!」

 ああ、良かった!この件は何とかなりそう!侍女さんもメイドちゃんもにこにこ働いてるし、俺はホワイトに過ごすんだ!!


「ラム、この書類」

「怪しいな」

 何十枚も「お手紙」の中で要件は一つだけ。書き出してみると、特別税を認めろだけ。ダメだろ。

「しかも側妃候補を送るって書いてある」

「全部却下しろ」

 侍従が頭を下げて書類を持ち帰る。

「なーラム。もし勝手に送りつけられた側妃候補って来たら城で暮らすの?」

「そうなるだろう」

「その場合、滞在費ってラム持ち?」

「うむ」

「クソかな?」

 要らんって言ってるのに勝手に来てただ飯食うの?あり得なくないか?!

「その程度は痛くも痒くもないが……まあ私とディエスの仲が良好で新しい側妃など必要ないと分かれば」

「なるほど。余計な経費は抑えるべきだしな!」

 ラムがまともな事言った!凄いぞ、今日はどうしたんだ?

「だから私達は始終一緒に居て仲の良い所を皆に見せねばならない」

「成程?」

 一理あるが、朝一緒に起きて一緒に飯を食い、一緒に執務室へ入り仕事をし、そのまま執務室で昼食を取り、仕事。早めに終わったら一緒に剣の稽古などをし、散歩やお茶も一緒で、夕食も一緒で、夜寝るときも一緒なのは流石に。

「トイレにまでついてくるのはどうかな……」

「たまたまだ」

 同性なばかりにトイレの中まで問題なく入って来れるのはどうだろう……?

「いや、それにしても……」

「言っただろう?私達の仲の良さを知らしめるんだと」

「限度!」

 やっぱりラムはおかしい!






しおりを挟む
感想 261

あなたにおすすめの小説

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません

くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、 ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。 だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。 今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。

処理中です...