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30 俺にとっては大事な事だ
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「あー皆さんに集まって貰ったのは特別任務をお願いしたいからです」
俺はお付きの侍女さんやらメイドさんが15.6人ばかりいる。何とか全員に集まって貰って「特別任務」を告げる。
「な、何事でしょうか。ディエス様、何か我々に不手際が?」
侍女長が厳しい目で睨みつけて来るが、俺はこの任務をやり遂げて貰わねばならないんだ。
「まずは……話を聞いて欲しい」
これからの俺には絶対に必要な大事な事なんだ!!
「15人ほどいるので3班に分かれて貰う……そこで2週に一度……」
ゴクリ……唾を飲む音。
「美味しいスイーツを見つけて報告する事!!送り先はソレイユ様!俺は早急に気の利いた手土産を用意する必要がある!!かかった費用は全部俺が出す!」
俺、甘いもんあんまり好きじゃないから女性の好みなんて分かるわけがないんだよ!!
「つまりディエス様は私達に街まで出掛けて美味しい物を食べて来いと……?」
「違う!食べて美味しい物を探して来るようにってお願いしてるんだ!で、三つの中から一番良い物をソレイユ様に買って持っていく!良いか?俺が食べるんじゃない、ソレイユ様に差し上げるんだ。リンダやアリーチェに話を聞くのも良いだろう、頼むよ!」
そしてグループのリーダーに金貨を5枚づつ渡す。金貨って一枚一万円くらいだから、美味いものを探せるよな……?
「足りなければ言って欲しい。量は要らないけど、高貴な女性が気に入ってくれるような物を頼む!」
「ほ、本当に宜しいので……?」
侍女長は目をパチパチさせて渡したお金を見ているけれど、なんか不味いの?!
「え……だ、駄目だったか?」
ソレイユ様に媚びる為には必要なんだ!あと女性はたまにご褒美スイーツを食べないと働けない生物だって俺は知ってるんだぞ!
俺は派閥争いに首を突っ込みたくないんだ!
「も、勿論勤務中に行って構わない!何せ俺の頼んだ仕事なんだからな!王宮内での仕事の振り分けは済まないが何とかして欲しい……」
人事ばかりは俺にはどうしようもない……。
「あ、ありがとうございます!」
「頼む!早急に高貴な女性が気にいる菓子を見つけて来てくれ!」
なんでこっちにデパートがないんだ!くそっ!
「君達の働きが俺の今後の人生を左右するんだ!頼むよ!重大任務だ」
「わ、分かりましたわ……」
俺は何度も頼むよを繰り返す。煎餅みたいな甘くない物なら食べられるけど、チョコとかクリームとか食べたくないんだよ!
◇ディエス付きメイドの呟き
「あら……まあ」
「よろしくお願いします」
新しくやって来た側妃様はとてもお綺麗な方でした。紫の髪に金色の瞳、少し乾燥しているようですが、お手入れをすれはもっと艶めくでしょう。
しかし無理なダイエットをさせられたとかで少し痩せ過ぎですが、背が高く……やはり長身の陛下よりは少し低い程度ですが、並ばれればとても絵になるお二人になりそうです。
「あらまぁ」
ご用意した服が袖が短く、折り返しを伸ばしたり、裾が少し短かったりと本当にスタイルの良い方です。衣装係が嬉しいのか忙しいのか悲鳴をあげておりました。
「うー……」
「あらまぁ」
陛下もかなりお気に召したようで、毎晩閨にお招きになりますから、体力的に少し辛いようで唸っていらっしゃる姿を良くお見かけします。
そして何より
「ありがとう。あーお茶が美味い……」
「いえ……」
侍女達は元よりメイドにも優しい言葉をかけてくれる不思議な方です。無能で田舎に押し込められたと言う噂でしたが、やって来てみれば優しくにこにこと笑っている素敵な方です。
しかも
「今日は私達の番!」
「あの高級店に行けるなんて!」
「皆さん、仕事なのですよ!仕事!」
「はい!」
ソレイユ様にお贈りするお菓子を探して来いと言われるのです。
「あ、あの……それでしたら噂の高級店を……」
「それ、食べた?試食もなしに噂だけでは痛い目を見るんだ。絶対に失礼があってはいけない相手だから!」
金色の目に必死に訴えられてしまいました。た、確かに噂に踊らされてはいけませんね。
「頼むよー頼むよー」
我々使用人にまでそんなお願いをされてしまう方なのです。
「でも、そんな高級店に着て行く服なんてあったかしら……」
「む?確かに!」
そんなメイドの呟きまで聞いていたらしく、全員に新しいワンピース代を支給して下さいました。
「か、会社都合なのに服を買えなんて、い、言えないぃ……」
腰をさすりながらぐったりしていらっしゃったので、どうもその代金を陛下におねだりをしたらしく……代わりに相当「可愛がられた」ようでした。
「あ、あの……」
「あー、大丈夫大丈夫。それより頼んだからね!ソレイユ様にゴマをする為ならラムに3.4回噛まれる事なんてどうって事ないやい……」
側妃様が使える支度金もかなり支給されているはずなのですが、どうもその存在を陛下から内緒にされているようです。
「無能側妃付きなんてハズレね?」
なんてメイドの同僚に言われたけれど、とんでもない、大当たりだわ。ディエス様は私達に当たり散らす事もないし、ご褒美はくれるし
「この服は着れない……誰か欲しい人いる?」
と、良く払い下げてくれる。何より見た目が素晴らしいので見ているだけでも楽しい気持ちになる。
「頑張ってお仕えしよう!」
私達メイドの士気はいつも高い。
俺はお付きの侍女さんやらメイドさんが15.6人ばかりいる。何とか全員に集まって貰って「特別任務」を告げる。
「な、何事でしょうか。ディエス様、何か我々に不手際が?」
侍女長が厳しい目で睨みつけて来るが、俺はこの任務をやり遂げて貰わねばならないんだ。
「まずは……話を聞いて欲しい」
これからの俺には絶対に必要な大事な事なんだ!!
「15人ほどいるので3班に分かれて貰う……そこで2週に一度……」
ゴクリ……唾を飲む音。
「美味しいスイーツを見つけて報告する事!!送り先はソレイユ様!俺は早急に気の利いた手土産を用意する必要がある!!かかった費用は全部俺が出す!」
俺、甘いもんあんまり好きじゃないから女性の好みなんて分かるわけがないんだよ!!
「つまりディエス様は私達に街まで出掛けて美味しい物を食べて来いと……?」
「違う!食べて美味しい物を探して来るようにってお願いしてるんだ!で、三つの中から一番良い物をソレイユ様に買って持っていく!良いか?俺が食べるんじゃない、ソレイユ様に差し上げるんだ。リンダやアリーチェに話を聞くのも良いだろう、頼むよ!」
そしてグループのリーダーに金貨を5枚づつ渡す。金貨って一枚一万円くらいだから、美味いものを探せるよな……?
「足りなければ言って欲しい。量は要らないけど、高貴な女性が気に入ってくれるような物を頼む!」
「ほ、本当に宜しいので……?」
侍女長は目をパチパチさせて渡したお金を見ているけれど、なんか不味いの?!
「え……だ、駄目だったか?」
ソレイユ様に媚びる為には必要なんだ!あと女性はたまにご褒美スイーツを食べないと働けない生物だって俺は知ってるんだぞ!
俺は派閥争いに首を突っ込みたくないんだ!
「も、勿論勤務中に行って構わない!何せ俺の頼んだ仕事なんだからな!王宮内での仕事の振り分けは済まないが何とかして欲しい……」
人事ばかりは俺にはどうしようもない……。
「あ、ありがとうございます!」
「頼む!早急に高貴な女性が気にいる菓子を見つけて来てくれ!」
なんでこっちにデパートがないんだ!くそっ!
「君達の働きが俺の今後の人生を左右するんだ!頼むよ!重大任務だ」
「わ、分かりましたわ……」
俺は何度も頼むよを繰り返す。煎餅みたいな甘くない物なら食べられるけど、チョコとかクリームとか食べたくないんだよ!
◇ディエス付きメイドの呟き
「あら……まあ」
「よろしくお願いします」
新しくやって来た側妃様はとてもお綺麗な方でした。紫の髪に金色の瞳、少し乾燥しているようですが、お手入れをすれはもっと艶めくでしょう。
しかし無理なダイエットをさせられたとかで少し痩せ過ぎですが、背が高く……やはり長身の陛下よりは少し低い程度ですが、並ばれればとても絵になるお二人になりそうです。
「あらまぁ」
ご用意した服が袖が短く、折り返しを伸ばしたり、裾が少し短かったりと本当にスタイルの良い方です。衣装係が嬉しいのか忙しいのか悲鳴をあげておりました。
「うー……」
「あらまぁ」
陛下もかなりお気に召したようで、毎晩閨にお招きになりますから、体力的に少し辛いようで唸っていらっしゃる姿を良くお見かけします。
そして何より
「ありがとう。あーお茶が美味い……」
「いえ……」
侍女達は元よりメイドにも優しい言葉をかけてくれる不思議な方です。無能で田舎に押し込められたと言う噂でしたが、やって来てみれば優しくにこにこと笑っている素敵な方です。
しかも
「今日は私達の番!」
「あの高級店に行けるなんて!」
「皆さん、仕事なのですよ!仕事!」
「はい!」
ソレイユ様にお贈りするお菓子を探して来いと言われるのです。
「あ、あの……それでしたら噂の高級店を……」
「それ、食べた?試食もなしに噂だけでは痛い目を見るんだ。絶対に失礼があってはいけない相手だから!」
金色の目に必死に訴えられてしまいました。た、確かに噂に踊らされてはいけませんね。
「頼むよー頼むよー」
我々使用人にまでそんなお願いをされてしまう方なのです。
「でも、そんな高級店に着て行く服なんてあったかしら……」
「む?確かに!」
そんなメイドの呟きまで聞いていたらしく、全員に新しいワンピース代を支給して下さいました。
「か、会社都合なのに服を買えなんて、い、言えないぃ……」
腰をさすりながらぐったりしていらっしゃったので、どうもその代金を陛下におねだりをしたらしく……代わりに相当「可愛がられた」ようでした。
「あ、あの……」
「あー、大丈夫大丈夫。それより頼んだからね!ソレイユ様にゴマをする為ならラムに3.4回噛まれる事なんてどうって事ないやい……」
側妃様が使える支度金もかなり支給されているはずなのですが、どうもその存在を陛下から内緒にされているようです。
「無能側妃付きなんてハズレね?」
なんてメイドの同僚に言われたけれど、とんでもない、大当たりだわ。ディエス様は私達に当たり散らす事もないし、ご褒美はくれるし
「この服は着れない……誰か欲しい人いる?」
と、良く払い下げてくれる。何より見た目が素晴らしいので見ているだけでも楽しい気持ちになる。
「頑張ってお仕えしよう!」
私達メイドの士気はいつも高い。
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