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三人の王子殿下

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あの昼休みの後、無礼にも王子たちを退かせて訓練場を元に戻したフレデリックを第二王子はお茶に誘った。

野次馬は王子たちが言い付けに従う様、威張った男がぴょんぴょんと跳ねる様、それらを幻のようだと思いながら見ていた。

そして舞台が元に戻り訓練場になり、訓練場の上に貼られたテントが片付くと、日差しが明るかった。

今まで見せられていたものが現実だったのだろうかと、不思議に思いながら口数少なく職場に戻っていった。

お腹がすいていたフレデリックとラムはお茶の誘いを喜んだが、収まらないのが第一王子と第三王子で、この二人も参加すると言い出した。

第二王子は快く受け入れたが、

「ともかくフレデリックは奴隷扱いされて貴族の教育をうけていません、グリニッジがある程度教えてますが、態度が悪いとお咎めなきようにお願いします。護衛や伴にも徹底して下さい」というのは忘れなかった。


それぞれが席についてお茶が配られ始めた時、第一王子のリチャードが

「フレデリック殿が伯爵家で不当に取り扱われていた事に、気付かなかった事は本当に申し訳なかった」

と言い始めた。

「お茶会で伯爵夫人が必ず、フレデリックが用意した服を破ってしまう事、使用人に乱暴を働きエドワルドをいじめると涙ながらに語るのを聞いていながら、聞き流してしまった。自分の所の恥を言い立てるのは、奇妙な事だ。もっと深く考えるべきだった」

「僕、いえ私はうわさを聞いて調べてもらっていました。だが、調べ終わる前に廃嫡されてしまわれて・・・・今回の訴えもエース公爵が握りつぶしたようですね」と第三王子が得意げに言っている。そういう第三王子テリウスを第二王子がやさしく見ていた。

エース公爵の名前を聞いた第一王子リチャードの顔が強ばったが、すぐにフレデリックに目を向け

「私と一緒に書類を出しに行こう。私の力で訴えを通すから」と言った。

「ありがたいですが、もう充分と言った気持ちです。お金は自分で稼げますし、なんといっても相手は貴族ですし殺されても嫌ですしね」

「殺されるとは聞き捨てならないな」

「いえ、証拠がないのでなにも言えないですが、この前の学院の野営訓練のことは聞いてますよね」

「予想外に魔獣が多くて大変だったとか」

「えぇその時、俺に向けて攻撃してきた者がおりまして・・・・流れ弾ではないですね」

「こちらは及ばずながら、周囲に防御の障壁を展開している所でしたのに・・・・気分悪かったですね」

「私が貴族から守ってやれる。どこかの養子になり、私のそばで仕えないか?」

「それはありがたいですね」と微笑めば、リチャードがジョージに軽くうなづいた。

王子二人からの誘いを笑顔でかわしてフレデリックは

「今日の事で、気分がスッキリしました。たかがお金ですよね。必要な分は持ってますからもいいかなって気分です。幸い書類はきちんとしておりますので、なにかの時はきちんとみせて母の気持ちを示しますが・・・今の所はこれでいいかなと思っています。それに貴族をやっているってお金がかかるんでしょ。廃嫡した息子の物を掠め取りたい気持ちにもなるんでしょうね」

と言った。

「そ、そうだよね」とリチャードが言うと

「らしいですね。ブルークリフ伯爵の派閥のエース公爵はうわさが多いですからね」とテリウスが言うと

「テリウス、うわさを王子が口にしてはいけないよ。上に立つ者の発言は重い」とジョージが優しく小声で言った。

それを耳にしたフレデリックはテリウスに笑いかけると

「おふたりをみると和みますね」と言うと

「ここで失礼します。お菓子ご馳走様でした」と席を立った。


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