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第49話 鉱山
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「メアリーはここで待つの」とラズベリーが命じている。
「いやよ」とメアリーが言うが
「馬に乗れないと無理です。言うことを聞きなさい」とラズベリーが静かに言っている。
アレク様とデイビスとアリスは、その声を聞きながら出発した。
馬車で一日走った場所の宿での一幕だ。
ここから馬で半日行けば鉱山だ。他にもあるようだが、見学できるのはここだけだ。
道は細くなり一列で進む。掘り出した物を運び出す道は秘密のようだ。
やがて、山の中腹の広場に到着した。
「この先に入口があります。歩いて見学ですね」と案内人に言われて歩いてなかに入った。
見学者用の整えられた坑道を歩いて奥に行くと、小奇麗な若者が壁を掘っていた。
ころっと出てきた。石を案内人が
「おや、まだこんなのが出るとは」と言いながら拾い上げが、足を止めずに奥へ進む。
何人かが、つるはしで壁を掘っているのが見えるが
「見学はここまでです」と案内人に言われて足を止めたが、アレクとデイビスは壁をさわっていた。
アリスも真似して壁をさわったり、壁をさわっているアレクをみたりしていたが
「そろそろ戻ります」の案内人の言葉で三人は歩き始めた。
最初に見た若者のそばによったアレクは
「掘ってみたいからそれを貸してくれ」と話しかけた。
「え?」と若者は案内人を見た。案内人がうなずくとつるはしをアレクに渡して彼は少し離れた。
アレクは壁に何度かつるはしを当てるが、音はしても岩はけずれない。
「もう、貸してください」とデイビスがつるはしを手に取り壁に当てる。
「こうなったら」とデイビスは言うと反対の壁に移動したが
「やめて下さい」の案内人の声で止まり、若者につるはしを返した。
「いやぁ、やってみると難しい」とアレクは言いながら一番後ろから歩いた。
外に出ると案内人は
「これはそれなりですね」と言いながらアリスに石を見せた。
「そうですか?」とアリスが言うと
「そうですよ」と案内人は笑った。
「あちらの建物に鉱石が置いてあります。買うことが出来ます。どうぞ」と案内人は先に立った。
鉱石と加工して装身具になったものをいくつかと、先ほど転がりでた石を買って宿まで戻った。
メアリーがラズベリーに指導されながら刺繍していたが、アリスを見るなり
「アリスどういうつもりなの。わたしは王女よ。なんで使用人に」
「黙りなさい。あなたは使用人よ。書類を見て署名したでしょ」とアリスが言うと
「そんなのわからないわ」とメアリーが叫ぶと
「うるさいわ。言葉がわからない人間はまっぴらごめん」とアリスが言うと
「その通りです失礼しました」とラズベリーはメアリーの腕を掴んで部屋を出て行った。目で合図されたライラも一緒に出て行った。
しばらくして戻ったラズベリーは
「ライラにまかせて来ました」
「あれを侍女にしたのは失敗だった。面倒だから早く王国に渡そう。急いで帰るか」とアレクは不機嫌に言った。
それから馬車を飛ばして、港に行くと船が待っていた。
急ぎ出航した後で船長が
「アレク様、じつはパール様が、お土産にと小麦などを下さいましたので積み込みました。出航してからお知らせするようにとのことでした」と告げに来た。
「そうか。気を使わせたな」とアレクは船長に礼を言った。
出航してからメアリーが静かなのでみなが不思議がっていると
「メアリーは船酔いがひどくて寝ています」とラズベリーが言った。
「船酔い? こんなに静かなのに」とアリスが言うと
「ほんとに不思議ですね。まぁ疲れがでたのでしょうか?ライラがついてますので、大丈夫でしょう」とラズベリーが答えた。
「船酔いですか?医者として診察だけはしましょう。ラズベリー一緒に来て貰っていいですか?」とデイビスが言って二人は、部屋を出て行った。
「船酔いって大変なんでしょうね。メアリーが静かになるほどなんですね。船で騒ぐと思ってました」とアリスが言うと
「確かに、それは迷惑だろうね。メアリーには気の毒だけど大人しくなったのは良かったな」とアレクも答えた。
「アリスお土産の装身具でも見ているか?」とアレクは箱を持って来た。
「あら、これって・・・たくさんありますね」とアリスが驚くと
「そうだな、種類が多い・・・細工が拙いが」とアレクが言うと
「わたくしは残念ながら詳しくないので・・・」とアリスがざっと見ながら言うと
「少し宝石の勉強をしないといけないね」とアレクが、言った。声の響きに感ずるものがあってアリスがアレクを見上げると
紺色の瞳に陽が当たって、紺色の海に金色が浮かんでは消えるのが見えた。
「アリス、もう少し距離を縮めていいかい? 君を守るし大事にしてるけど、ちょっとだけこの位置が辛いんだ。大丈夫、返事を待つから・・・安心して・・・」
アレクの手はアリスの手に重ねられた。
「今度、宝石を贈る」とアレクが言うとアリスの手は自由になった。
そこに二人が戻って来た。
「いやぁ普通の船酔いでしたが、この程度で起こる船酔いは普通じゃないですが、ただの船酔いです」とデイビスは自分の言っていることに首をかしげた。
「水だけは飲ませるようにライラに頼みました」とラズベリーも言った。
「ライラはどうだ?」とアレクが言うと
「鍛えがいがあります」とラズベリーが答えた。
夕方帰り着いたが、メアリーの回復を待って王宮に戻ることにして、四人は海の一族の所に行った。
メアリーはライラをつけて宿に放り込んだ。
翌日、王宮に戻った。
メアリーは取り敢えず家族の元に帰した。元の場所に返して、正直彼らは、ほっとした。
「いやよ」とメアリーが言うが
「馬に乗れないと無理です。言うことを聞きなさい」とラズベリーが静かに言っている。
アレク様とデイビスとアリスは、その声を聞きながら出発した。
馬車で一日走った場所の宿での一幕だ。
ここから馬で半日行けば鉱山だ。他にもあるようだが、見学できるのはここだけだ。
道は細くなり一列で進む。掘り出した物を運び出す道は秘密のようだ。
やがて、山の中腹の広場に到着した。
「この先に入口があります。歩いて見学ですね」と案内人に言われて歩いてなかに入った。
見学者用の整えられた坑道を歩いて奥に行くと、小奇麗な若者が壁を掘っていた。
ころっと出てきた。石を案内人が
「おや、まだこんなのが出るとは」と言いながら拾い上げが、足を止めずに奥へ進む。
何人かが、つるはしで壁を掘っているのが見えるが
「見学はここまでです」と案内人に言われて足を止めたが、アレクとデイビスは壁をさわっていた。
アリスも真似して壁をさわったり、壁をさわっているアレクをみたりしていたが
「そろそろ戻ります」の案内人の言葉で三人は歩き始めた。
最初に見た若者のそばによったアレクは
「掘ってみたいからそれを貸してくれ」と話しかけた。
「え?」と若者は案内人を見た。案内人がうなずくとつるはしをアレクに渡して彼は少し離れた。
アレクは壁に何度かつるはしを当てるが、音はしても岩はけずれない。
「もう、貸してください」とデイビスがつるはしを手に取り壁に当てる。
「こうなったら」とデイビスは言うと反対の壁に移動したが
「やめて下さい」の案内人の声で止まり、若者につるはしを返した。
「いやぁ、やってみると難しい」とアレクは言いながら一番後ろから歩いた。
外に出ると案内人は
「これはそれなりですね」と言いながらアリスに石を見せた。
「そうですか?」とアリスが言うと
「そうですよ」と案内人は笑った。
「あちらの建物に鉱石が置いてあります。買うことが出来ます。どうぞ」と案内人は先に立った。
鉱石と加工して装身具になったものをいくつかと、先ほど転がりでた石を買って宿まで戻った。
メアリーがラズベリーに指導されながら刺繍していたが、アリスを見るなり
「アリスどういうつもりなの。わたしは王女よ。なんで使用人に」
「黙りなさい。あなたは使用人よ。書類を見て署名したでしょ」とアリスが言うと
「そんなのわからないわ」とメアリーが叫ぶと
「うるさいわ。言葉がわからない人間はまっぴらごめん」とアリスが言うと
「その通りです失礼しました」とラズベリーはメアリーの腕を掴んで部屋を出て行った。目で合図されたライラも一緒に出て行った。
しばらくして戻ったラズベリーは
「ライラにまかせて来ました」
「あれを侍女にしたのは失敗だった。面倒だから早く王国に渡そう。急いで帰るか」とアレクは不機嫌に言った。
それから馬車を飛ばして、港に行くと船が待っていた。
急ぎ出航した後で船長が
「アレク様、じつはパール様が、お土産にと小麦などを下さいましたので積み込みました。出航してからお知らせするようにとのことでした」と告げに来た。
「そうか。気を使わせたな」とアレクは船長に礼を言った。
出航してからメアリーが静かなのでみなが不思議がっていると
「メアリーは船酔いがひどくて寝ています」とラズベリーが言った。
「船酔い? こんなに静かなのに」とアリスが言うと
「ほんとに不思議ですね。まぁ疲れがでたのでしょうか?ライラがついてますので、大丈夫でしょう」とラズベリーが答えた。
「船酔いですか?医者として診察だけはしましょう。ラズベリー一緒に来て貰っていいですか?」とデイビスが言って二人は、部屋を出て行った。
「船酔いって大変なんでしょうね。メアリーが静かになるほどなんですね。船で騒ぐと思ってました」とアリスが言うと
「確かに、それは迷惑だろうね。メアリーには気の毒だけど大人しくなったのは良かったな」とアレクも答えた。
「アリスお土産の装身具でも見ているか?」とアレクは箱を持って来た。
「あら、これって・・・たくさんありますね」とアリスが驚くと
「そうだな、種類が多い・・・細工が拙いが」とアレクが言うと
「わたくしは残念ながら詳しくないので・・・」とアリスがざっと見ながら言うと
「少し宝石の勉強をしないといけないね」とアレクが、言った。声の響きに感ずるものがあってアリスがアレクを見上げると
紺色の瞳に陽が当たって、紺色の海に金色が浮かんでは消えるのが見えた。
「アリス、もう少し距離を縮めていいかい? 君を守るし大事にしてるけど、ちょっとだけこの位置が辛いんだ。大丈夫、返事を待つから・・・安心して・・・」
アレクの手はアリスの手に重ねられた。
「今度、宝石を贈る」とアレクが言うとアリスの手は自由になった。
そこに二人が戻って来た。
「いやぁ普通の船酔いでしたが、この程度で起こる船酔いは普通じゃないですが、ただの船酔いです」とデイビスは自分の言っていることに首をかしげた。
「水だけは飲ませるようにライラに頼みました」とラズベリーも言った。
「ライラはどうだ?」とアレクが言うと
「鍛えがいがあります」とラズベリーが答えた。
夕方帰り着いたが、メアリーの回復を待って王宮に戻ることにして、四人は海の一族の所に行った。
メアリーはライラをつけて宿に放り込んだ。
翌日、王宮に戻った。
メアリーは取り敢えず家族の元に帰した。元の場所に返して、正直彼らは、ほっとした。
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