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第50話 打ち合わせ
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帰ってすぐに渡された書類は、アレクが提案したお祭り炊き出しの概要だった。
ひとつ大きな問題が出ていた。それについて話を聞くために四公爵を呼び出した。
「当主は必ず出て来るように」書き添えられた一文は重かった。
ダイナ公爵は嫡男のギルバードと一緒にやって来た。遠くまで炊き出しに行った。他の公爵家との違いを見せるつもりだ。
スペーダ公爵は嫡男のロバートと一緒にやって来た。カーラはアリス様と友人となっている。秘密を打ち明けられて、それを友人にそっと話しているのであちこちのお茶会に招かれている。他の公爵家には出来ないことだ。今日はそれを見せつけてやる。
ハトン家は当主と嫡男のマイルスがやって来た。当主は先日呼び出しに応じなかった。今日はそれを詫びるつもりでやって来た。
クラーブ公爵は先日アリスから、ピクニックの準備を国王に頼んでアリスに押し付けたことを指摘されている。そのときは出てこなかった嫡男も今日は同行している。
今日は、二人揃って侘びるつもりでやって来た。
指定の部屋にはいると、アレクはもうそこにいて文官を話をしていた。
「ハトン公爵だね。ちょっとそこに座って待っていて、ちょっと打ち合わせが長引いていて。悪いね」
そういうとアレクは書類を熱心に見ながら話をして、最後にうなずきながら署名した。
文官はハトン公爵に会釈すると部屋を出て行き、アレクは向かいに座ると
「マイルスさんは、先日お会いしましたね。これからお付き合いが長くなりそうですね」と言った。
予想外の言葉にマイルスも公爵も驚いて
「あっいえ・・・恐縮でございます」「あっせがれは・・・その」とドギマギして返事をした。
その時、スペーダ公爵とロバートが入って来た。
既にハトン公爵が来ていてアレクと話していた様子を見てアレクに挨拶するより早く
「おや、ハトン様、お体はよろしいので?」と皮肉な口調でロバートが言った。
「いや、父の体調は」とマイルスが答えかけると
「わたしは大丈夫だ。君に心配して貰う必要はない」とハトン公爵が答えた。すると
「そうみたいだね。愚息が失礼した」とスペーダ公爵が言った。
その時、ダイナ公爵とギルバード。クラーブ公爵と嫡男が揃って部屋に入って来た。
「おや、皆さま、おそろいですか? アレク様まで・・・示し合わせたのですか?」とダイナ公爵が言って
「抜けがけとは、人が良いと損しますね。父上。皆さんを見習わないと」とギルバードが言った。
クラーブ公爵は
「時間より早く始めたのですか」と困惑した声で誰にともなく言っただけで椅子に腰を下ろした。
「時間より早く皆さまが揃いましたね。始めたいと思います。初めての方もいらっしゃいますが、お名前はわかりますのでこのまま続けます。先日、炊き出しを兼ねたお祭りで、民をもてなそうと提案いたしました。特務部が雑用を致しますので皆さんは当日、顔を出して公爵家が民を大事にしていることを示して下さればと言った趣旨だったのですが、問題が・・・」とアレクは全員を見た。
「道具がないんです」と言って間をおいた。
「道具?」「ないとは?」「道具など作れば」「・・・道具」と反応は様々だった。
アレクはこれからどう、料理してやるかと思いながら
「ギルバード殿、炊き出しから戻って道具を点検して片付けましたか?」と名指しで問うた。
「それは・・・その・・・」とギルバードが口ごもった。
アレクは単純な質問を繰り返した。その様を見ていたロバート・スペーダの口元は歪んだ笑いを浮かべた。
そして
「なんと、炊き出しをすると威勢良く北の町まで行って、なにもせずに帰って来られたとは・・・あまつさえ、民の炊き出しをわけて貰ったとは・・・はるばる物乞いの旅に出られたのですね。真似出来ませんなぁ。ね!みなさん」と最後を全員に振った。
「本当に信じられないことが起きたようです」とアレクがロバートに言い始めた。あなたはピクニックの際、使用した道具の片付けが遅れて叱責されましたね」
「はい、不徳の至りでございました」と急いでロバートは返事をした。
「自覚はあるようですね」とアレクが言うと
「はい、申し訳ございません」
「誰に謝罪しているかわかりませんが・・・」とアレクが答えた。
「あ、あのあれから片付けに参りました。片付けは終わっております」とロバートが言い終えると、アレクは「なるほど」と大きめの独り言を言うと
「倉庫に問い合わせて、実際に足を運んで調査しました所、今倉庫に道具はありませんでした。係りの者はスペーダ家のものが道具を乱暴に荷車に積み込んで出て行ったと言ってますね・・・出て行った荷車は戻って来ないそうです。まぁ彼らは呆れてました。大事な道具を乱暴に荷車に放り込んで、壊れるのもおかまいなしに放り込んだそうですよ」
「まさか、まさか、そんなこと・・・なにかの間違いだ」とロバートが言うと、不自然に優しい声でアレクが
「道具は汚れて臭かったと係りが言ってました。どこで洗うように指示を出しましたか?ご自宅?別宅?本宅?・・・隠れ家とか?」
「いえ、そんな・・・調査します」とロバートが青い顔で言うと
「僭越ながら調査させていただきました。『あぁちゃんと片付けた。捨てたぞ。臭くてかなわんかった』だそうです。片付けたようですね。徹底的に!」とアレクが苦笑しながら言った。
「そんな馬鹿な・・・そんなことを」とロバートは頭を抱えた。
「ギルバード殿は炊き出しに道具を持たずに行ったのですね」とスペーダ公爵がギルバードに話しかけた。
「いや、ちゃんと確認し・て・・・・」とギルバードが答えると
「ギルバード殿は道具があるのを確認している。道具はあったのです。証言したものはなにか勘違いしたのではありませんか? ギルバード殿は道具を持って炊き出しに行っておる。炊き出し中になにかあったのでは?いや、炊き出しはしておらんな。道中でなにかあったのでは?」とスペーダ公爵がギルバードを問いただし始めたが、アレクが割って入った。
「確かに責任は誰かにあります。だが、責任うんぬんは置いといてお祭りの話をしましょう」
公爵たちはお互いの顔を見ながらうなずいた。
「先ず、道具をなんとかしないといけませんね」とアレクが言うと侍従がドアを開けに行った。
「お話って改めて・・・」と言いながら、アリスが入って来た。
「あら、お揃いで」と立ち止まり軽く頭を下げると侍従が素早く用意した椅子に座った。
「アリス、早速で悪いけど、ピクニックのお肉を焼く道具ね。あれって壊れたことある?」
「ありますよ。終わって点検するとどこかしら、壊れていました。古い物ですしね。毎年修理してました」とアリスが言うと
「ア・アリス様申し訳ない」とクラーブ公爵が震える声で言った。
アリスは無言で公爵を見た。なにかしらと首をかしげている。
「ピクニックの準備をアリス様に押し付けまして、お詫びしようと思っておりました。申し訳ありませんでした」と公爵と嫡男は深く頭を下げた。
「謝罪の言葉は先日、伺いましたが」
「国王陛下の名前を出してしまいました。その分の謝罪でございます」
「はい」とだけアリスは答えた。
「アリス。続きをどうぞ」とアレクが言うと
「修理は王都の鍛冶屋に頼んでました」とアリスがあっさり言うと
「馬鹿な・・・あれは大事な国の備品・・・」とスペーダ公爵
「あれは、長く受け継いだ・・・大切な」とダイナ公爵がつぶやき
他の二人も驚きで目を見開いている。
アリスは公爵たちを見ると
「今更、なにを言ってるんです。責任をはたしてないくせに・・・鍛冶屋が修理をしてくれます。だけど大事に扱って下さい。鍛冶屋は呆れています」
と言った。
「アリス、ありがとう。またいやな思いをさせたね。鍛冶屋の情報は特務部で詳しく話してくれ。お疲れさま」
とアレクが言うとアリスは少し怒っているのを隠さずに部屋を出て行った。
ひとつ大きな問題が出ていた。それについて話を聞くために四公爵を呼び出した。
「当主は必ず出て来るように」書き添えられた一文は重かった。
ダイナ公爵は嫡男のギルバードと一緒にやって来た。遠くまで炊き出しに行った。他の公爵家との違いを見せるつもりだ。
スペーダ公爵は嫡男のロバートと一緒にやって来た。カーラはアリス様と友人となっている。秘密を打ち明けられて、それを友人にそっと話しているのであちこちのお茶会に招かれている。他の公爵家には出来ないことだ。今日はそれを見せつけてやる。
ハトン家は当主と嫡男のマイルスがやって来た。当主は先日呼び出しに応じなかった。今日はそれを詫びるつもりでやって来た。
クラーブ公爵は先日アリスから、ピクニックの準備を国王に頼んでアリスに押し付けたことを指摘されている。そのときは出てこなかった嫡男も今日は同行している。
今日は、二人揃って侘びるつもりでやって来た。
指定の部屋にはいると、アレクはもうそこにいて文官を話をしていた。
「ハトン公爵だね。ちょっとそこに座って待っていて、ちょっと打ち合わせが長引いていて。悪いね」
そういうとアレクは書類を熱心に見ながら話をして、最後にうなずきながら署名した。
文官はハトン公爵に会釈すると部屋を出て行き、アレクは向かいに座ると
「マイルスさんは、先日お会いしましたね。これからお付き合いが長くなりそうですね」と言った。
予想外の言葉にマイルスも公爵も驚いて
「あっいえ・・・恐縮でございます」「あっせがれは・・・その」とドギマギして返事をした。
その時、スペーダ公爵とロバートが入って来た。
既にハトン公爵が来ていてアレクと話していた様子を見てアレクに挨拶するより早く
「おや、ハトン様、お体はよろしいので?」と皮肉な口調でロバートが言った。
「いや、父の体調は」とマイルスが答えかけると
「わたしは大丈夫だ。君に心配して貰う必要はない」とハトン公爵が答えた。すると
「そうみたいだね。愚息が失礼した」とスペーダ公爵が言った。
その時、ダイナ公爵とギルバード。クラーブ公爵と嫡男が揃って部屋に入って来た。
「おや、皆さま、おそろいですか? アレク様まで・・・示し合わせたのですか?」とダイナ公爵が言って
「抜けがけとは、人が良いと損しますね。父上。皆さんを見習わないと」とギルバードが言った。
クラーブ公爵は
「時間より早く始めたのですか」と困惑した声で誰にともなく言っただけで椅子に腰を下ろした。
「時間より早く皆さまが揃いましたね。始めたいと思います。初めての方もいらっしゃいますが、お名前はわかりますのでこのまま続けます。先日、炊き出しを兼ねたお祭りで、民をもてなそうと提案いたしました。特務部が雑用を致しますので皆さんは当日、顔を出して公爵家が民を大事にしていることを示して下さればと言った趣旨だったのですが、問題が・・・」とアレクは全員を見た。
「道具がないんです」と言って間をおいた。
「道具?」「ないとは?」「道具など作れば」「・・・道具」と反応は様々だった。
アレクはこれからどう、料理してやるかと思いながら
「ギルバード殿、炊き出しから戻って道具を点検して片付けましたか?」と名指しで問うた。
「それは・・・その・・・」とギルバードが口ごもった。
アレクは単純な質問を繰り返した。その様を見ていたロバート・スペーダの口元は歪んだ笑いを浮かべた。
そして
「なんと、炊き出しをすると威勢良く北の町まで行って、なにもせずに帰って来られたとは・・・あまつさえ、民の炊き出しをわけて貰ったとは・・・はるばる物乞いの旅に出られたのですね。真似出来ませんなぁ。ね!みなさん」と最後を全員に振った。
「本当に信じられないことが起きたようです」とアレクがロバートに言い始めた。あなたはピクニックの際、使用した道具の片付けが遅れて叱責されましたね」
「はい、不徳の至りでございました」と急いでロバートは返事をした。
「自覚はあるようですね」とアレクが言うと
「はい、申し訳ございません」
「誰に謝罪しているかわかりませんが・・・」とアレクが答えた。
「あ、あのあれから片付けに参りました。片付けは終わっております」とロバートが言い終えると、アレクは「なるほど」と大きめの独り言を言うと
「倉庫に問い合わせて、実際に足を運んで調査しました所、今倉庫に道具はありませんでした。係りの者はスペーダ家のものが道具を乱暴に荷車に積み込んで出て行ったと言ってますね・・・出て行った荷車は戻って来ないそうです。まぁ彼らは呆れてました。大事な道具を乱暴に荷車に放り込んで、壊れるのもおかまいなしに放り込んだそうですよ」
「まさか、まさか、そんなこと・・・なにかの間違いだ」とロバートが言うと、不自然に優しい声でアレクが
「道具は汚れて臭かったと係りが言ってました。どこで洗うように指示を出しましたか?ご自宅?別宅?本宅?・・・隠れ家とか?」
「いえ、そんな・・・調査します」とロバートが青い顔で言うと
「僭越ながら調査させていただきました。『あぁちゃんと片付けた。捨てたぞ。臭くてかなわんかった』だそうです。片付けたようですね。徹底的に!」とアレクが苦笑しながら言った。
「そんな馬鹿な・・・そんなことを」とロバートは頭を抱えた。
「ギルバード殿は炊き出しに道具を持たずに行ったのですね」とスペーダ公爵がギルバードに話しかけた。
「いや、ちゃんと確認し・て・・・・」とギルバードが答えると
「ギルバード殿は道具があるのを確認している。道具はあったのです。証言したものはなにか勘違いしたのではありませんか? ギルバード殿は道具を持って炊き出しに行っておる。炊き出し中になにかあったのでは?いや、炊き出しはしておらんな。道中でなにかあったのでは?」とスペーダ公爵がギルバードを問いただし始めたが、アレクが割って入った。
「確かに責任は誰かにあります。だが、責任うんぬんは置いといてお祭りの話をしましょう」
公爵たちはお互いの顔を見ながらうなずいた。
「先ず、道具をなんとかしないといけませんね」とアレクが言うと侍従がドアを開けに行った。
「お話って改めて・・・」と言いながら、アリスが入って来た。
「あら、お揃いで」と立ち止まり軽く頭を下げると侍従が素早く用意した椅子に座った。
「アリス、早速で悪いけど、ピクニックのお肉を焼く道具ね。あれって壊れたことある?」
「ありますよ。終わって点検するとどこかしら、壊れていました。古い物ですしね。毎年修理してました」とアリスが言うと
「ア・アリス様申し訳ない」とクラーブ公爵が震える声で言った。
アリスは無言で公爵を見た。なにかしらと首をかしげている。
「ピクニックの準備をアリス様に押し付けまして、お詫びしようと思っておりました。申し訳ありませんでした」と公爵と嫡男は深く頭を下げた。
「謝罪の言葉は先日、伺いましたが」
「国王陛下の名前を出してしまいました。その分の謝罪でございます」
「はい」とだけアリスは答えた。
「アリス。続きをどうぞ」とアレクが言うと
「修理は王都の鍛冶屋に頼んでました」とアリスがあっさり言うと
「馬鹿な・・・あれは大事な国の備品・・・」とスペーダ公爵
「あれは、長く受け継いだ・・・大切な」とダイナ公爵がつぶやき
他の二人も驚きで目を見開いている。
アリスは公爵たちを見ると
「今更、なにを言ってるんです。責任をはたしてないくせに・・・鍛冶屋が修理をしてくれます。だけど大事に扱って下さい。鍛冶屋は呆れています」
と言った。
「アリス、ありがとう。またいやな思いをさせたね。鍛冶屋の情報は特務部で詳しく話してくれ。お疲れさま」
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