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番外編 鑑定士の受難 1

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ピーノは鑑定の能力を持っていた。この能力を持つものは少ない。普段は商店に招かれて品物の鑑定をしている。

人の鑑定は神殿に頼まれた時、まれに犯罪者の鑑定をすることがあるが・・・だいたいなんの犯罪を犯した者なのか教えられずに鑑定をさせられる。断れない依頼だが、報酬はとてもいい。そして鑑定結果は自分でもよくわからない。

たとえば、『言葉を飾る才能』これはなんなのだ。

後にその犯罪者は刑が確定した。なんでも書類の偽造が出来たそうだ。言葉に嘘を飾ったと解釈できたらしい。

神殿の依頼は楽勝だった。異世界人はわかりやすい。かならず能力があるし魔力も高い。どう方面に訓練しても伸びていくだろう。

それなのに、最後の一人はなにも見えなかった。というよりなにかに覆われていた。それをくぐり抜けようとしたら気分が悪くなった。

とんでもないものを持っているとわかった。だが、わたしが教えなければ能力を知らないままだ。

それでいい、このわたしを不愉快にさせたのだ。報いを受けろ!


「あなたにはなんの能力もありません。なにも見えません」

「え?」と戸惑った相手の顔に溜飲が下がった。

「下がらせて、不愉快だ」の声に神官が彼女の腕をつかむと部屋の外にひきづりだした。

彼女が外に出ると、気分が良くなった。


その後、少し悪いことをしたなって思ったが、すぐに忘れた。番に大事にしてもらえない異世界人なんてどうでもいい。

ただ、あの時の神官の彼女の扱いが腑に落ちなかった。乱暴じゃないか?



理由が今、わかった。

「お前がサミー様を王室の意を受けておとしめたのはわかっている。神殿の半数も王室の手に落ちていたからな」

俺は、目の前の男をぼんやりと見た。誤解だ。俺は王室とは無関係だ。釈明しなくては・・・あのフィルとかいう元王太子と通じていたと思われるとは俺は必死で

「違います。本当にわからなかったんです。見えなかったんです」

「嘘を言うな。他の番の方たちは、ちゃんと鑑定してではないか? お前はサミー様を能力なしと貶め神官たちはみなでサミー様を侮辱した。お前が嘘を言ったから、神官たちに口実を与えたのだ。公爵家でもな・・・そりゃ公爵家も悪いが、お前が元凶だ」

「違います。本当にわからなかったんです。本当です」

「嘘を言うな。お前は鑑定料で優雅に暮らしているではないか!」

「ですから。ですから。あの番だけ」ここで睨まれて言い直した「番様だけは見えなかったんです」


「どう思いますか?」とその男が言うと



「わたしが引き取って詳しく調べる。そいつの財産はこちらで処理する。あーーと使用人は次を紹介してやれ」

こいつはわたしを地獄へ落とした。

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