大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

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第五章 弟子

第121話 話がよく見えないんですが

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「…………」

「やっと落ち着いたか。くそ。俺もちょっと濡れちまったよ」

 悪態をつく男性。その手には、魔法使いの必需品である杖。僕たちの足元には、杖から放たれた水でできた水溜まり。

 あの後も、しばらくの間、僕は叫び声をあげていました。おそらく、そんな僕に嫌気がさしたのでしょう。男性は、イライラした様子で僕の顔に水をかけ続けたのです。

「あの……」

「何だよ」

「結局、どうして僕なんかを誘拐したんですか?」

 頬をつたう水滴。その気持ち悪さを感じながら、僕は、男性に向かって質問しました。

 僕の言葉に、男性はニヤリと笑います。そして、こう告げました。

「戦花の魔女に復讐するためだよ」

 …………

 …………

 …………え?

 戦花の魔女。つい最近、僕はその名を聞きました。確か、旅人さんが探していると言っていた魔女です。

「えっと……話がよく見えないんですが」

 僕は、戦花の魔女のことをよく知りませんし、会ったことすらありません。どうして僕を誘拐することが、戦花の魔女への復讐に繋がるのでしょうか。

 思わず首を傾げる僕。男性は最初、そんな僕の様子を訝しげに見ていました。ですが、やがて納得したように「ああ」と呟きました。

「あっはっは。こりゃ傑作だ。まさか、自分の弟子に正体を隠してるなんてな。まあ、当然っちゃ当然か。自分は戦争で有名になった『戦花の魔女』ですなんて、怖くて言えねえよ。相手が大事ならなおさら」

 醜悪な笑みを浮かべながらそう告げる男性。その言葉の意味を理解するのに、かなりの時間を要しました。

 師匠が……戦花の魔女?
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