大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

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第五章 弟子

第120話 夢ですね

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「ん……ここは?」

 目を覚ますと、そこには見知らぬ光景が広がっていました。広い部屋。いや、部屋というよりは倉庫と表現した方がいいでしょうか。物が乱雑に捨てられた床。きつい煙草の匂い。ランプの明かりが中を照らしてくれていますが、薄暗くて奥の方まで空間を見通すことができません。

「って、何これ!?」

 体を動かそうとする僕。ですが、それは叶いませんでした。僕の体は椅子に座らされ、その手足は縄でぐるぐる巻きに縛られていたのですから。自由に動かせるのは首くらい。

 これはつまり……。

 …………

 …………

「夢ですね」

「いや、現実だから」

 突然、僕の横から聞こえた声。そちらに顔を向けると、見覚えのある男性の姿。ローブが付いた灰色のフード。不気味に光る金色の瞳。

「えっと……僕、もしかして誘拐されました?」

「正解。なんだよ。お前、えらく落ち着いてるな」

 感心したようにそう告げる男性。

 まあ、僕も師匠のもとで鍛えられてますからね。ちょっとやそっとのことで取り乱したりなんてしませんよ。そう。誘拐されたくらいで取り乱すなんて。そんなことあるわけないじゃないですか。

 ハハハ。

 ハハハハハ。

 ハハハハハハ……ハ。

「と、というか、あなた誰なんですか!? 何でこんなことするんですか!? 早く家に帰してください!? 僕、お金なんて持ってませんからー!」

「……急にうるさくなりやがった」

 男性の顔は、まるで得体の知れないものを見るように引きつっていました。

 得体の知れないものとはいったい誰でしょう。

 そう、僕です。
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