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第二章 郵便屋さん
第50話 アホなんすか!?
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僕は、急いで会社に戻り、起こったことをありのままに報告しました。
「……というわけなんです」
「了解っす。とりあえず、残りの仕事はこっちで何とかするんで。彼氏さんは急いで、先輩を運んだっていう病院の方に行ってください」
「分かりました」
後輩さんの言葉は、とてもありがたいものでした。今、僕の頭の中は、郵便屋さんの安否を心配する気持ちが渦巻いているのですから。ですが、一つだけ気がかりなこともありました。
「あ、でも、人手が足りないんじゃ」
そう。そもそも、僕が今日この会社に来たのは、人手が足りないから手伝ってほしいという郵便屋さんの依頼を引き受けたからです。郵便屋さんことが心配なのはやまやまですが、ここで僕が仕事を放棄してしまえば、郵便屋さんを悲しませることになってしまうのではないでしょうか。
僕の言葉に、後輩さんの目が吊り上がりました。
「何言ってんすか!? 馬鹿なんすか!? アホなんすか!?」
「え?」
「そりゃ、人手が足りないのは事実っすけど、彼女のピンチに彼氏が傍にいないなんてありえないっす! ほら! 早く早く!」
僕の背中をグイグイと押す後輩さん。
僕は、「はい」と短い一言を残し、会社の出口に向かって走り出しました。
病院の一室。白を基調とした壁紙。光が差し込む大きな窓。等間隔で並べられた八つのベッド。部屋にいるのは三人。入口近くで「はあ、はあ」と息を切らす僕。ベッドの上で目を閉じている郵便屋さん。その傍の椅子に腰かけている師匠。
「し、師匠。はあ、はあ。ゆ、郵便屋さんは……」
「とりあえず、落ち着いて」
「は、はい」
僕は、何度か深呼吸をし、息を整えました。そして、ゆっくりとベッドに歩み寄ります。
「郵便屋さん」
僕の視線の先。郵便屋さんは、とても穏やかな顔で、優しい寝息を立てていました。
「……というわけなんです」
「了解っす。とりあえず、残りの仕事はこっちで何とかするんで。彼氏さんは急いで、先輩を運んだっていう病院の方に行ってください」
「分かりました」
後輩さんの言葉は、とてもありがたいものでした。今、僕の頭の中は、郵便屋さんの安否を心配する気持ちが渦巻いているのですから。ですが、一つだけ気がかりなこともありました。
「あ、でも、人手が足りないんじゃ」
そう。そもそも、僕が今日この会社に来たのは、人手が足りないから手伝ってほしいという郵便屋さんの依頼を引き受けたからです。郵便屋さんことが心配なのはやまやまですが、ここで僕が仕事を放棄してしまえば、郵便屋さんを悲しませることになってしまうのではないでしょうか。
僕の言葉に、後輩さんの目が吊り上がりました。
「何言ってんすか!? 馬鹿なんすか!? アホなんすか!?」
「え?」
「そりゃ、人手が足りないのは事実っすけど、彼女のピンチに彼氏が傍にいないなんてありえないっす! ほら! 早く早く!」
僕の背中をグイグイと押す後輩さん。
僕は、「はい」と短い一言を残し、会社の出口に向かって走り出しました。
病院の一室。白を基調とした壁紙。光が差し込む大きな窓。等間隔で並べられた八つのベッド。部屋にいるのは三人。入口近くで「はあ、はあ」と息を切らす僕。ベッドの上で目を閉じている郵便屋さん。その傍の椅子に腰かけている師匠。
「し、師匠。はあ、はあ。ゆ、郵便屋さんは……」
「とりあえず、落ち着いて」
「は、はい」
僕は、何度か深呼吸をし、息を整えました。そして、ゆっくりとベッドに歩み寄ります。
「郵便屋さん」
僕の視線の先。郵便屋さんは、とても穏やかな顔で、優しい寝息を立てていました。
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