【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣

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第四章 会えない時間

8:スターリンとの再会(sideキャサリン)

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スターリンはリリカを見送り踵を返すと、30m程先にキャサリンが立っていた。
スターリンは思わず、口角をフッと上げた。

「……久しぶりだな」

スターリンの声はキャサリンの耳に届いたが、眉を下げてショックを受けているキャサリンには、内容は届かなかった。
そしてつい先程の、自分へ向けられた笑顔も見逃していた……


「何故ですか?」

「何がだ?」

微動だにせずに固まったまま、瞬きも忘れて言うキャサリンの第一声に、スターリンは険しい表情となる。

(せっかく久しぶりに会えたのに、このようなことを言ってはいけないわ……)

キャサリンはそう思いながらも、スターリンの顔を見ていると、口が勝手に言葉を紡ぐのだ。

「……何故、私よりも先にお姉様と会って、そのように楽しそうに会話をなさっているのですか?」

「えっ……? 偶然会っただけだが?」

「それでもです!」

(もう嫌……。ずっと我慢していたのに、止まらないわ……)

キャサリンは目からハラハラと涙を零しながら、大声で言った。

「……本当は、私よりもお姉様のほうが良いと思っているのではありませんか? ウィリアム様との話がなくなったお姉様のことを、良いと思っているのではありませんか!?」

「……そのようなことがある訳ないだろう?」

「本当はこっそり、手紙のやり取りをしていたのではありませんか!?」

「……していない」

仲の良いリリカとスターリンの姿に不安を抱いていた時に流行病が流行り出し、キャサリンは密かにずっとスッキリしない日々を過ごしていた。
一年に渡るそんな日々は、キャサリンの心を疲弊させ蝕んだ。

久しぶりにスターリンに会えると楽しみにしていたキャサリンは、馬車が到着するのを、今か今かと窓から覗きながら待ち詫びていたのだ。
そして到着するとすぐに、小走りで出迎えに行った。

すると、そこにいた久しぶりに見るスターリンは、リリカに優しい顔で話し掛けているではないか。

リリカから聞いた、手紙のやり取りはしていないと言う言葉を信じていたキャサリンは、流行病により2人の接点が無くなったことを喜んでいたのに……

(スターリン様、笑っていたわ……)

今キャサリンの目の前にいるスターリンは、先程リリカと話していた時よりも随分と表情が固い。
それはもちろん今の会話内容が原因なのだが、キャサリンにはそのようなことを考える余裕はない。

疑心暗鬼に陥っていたキャサリンは、今まで我慢していた不安や嫉妬心が一気に爆発してしまったのだ……

こうなるともう、誰にも……自分自身にも、手が付けられない。



「キャサリン! 一体どうしたと言うの!」

キャサリンの大声を聞きつけて、ローズが走って来た。

「放っておいて!」

キャサリンはローズを振り切り、走り去る。
あとを追おうとしたスターリンの前には、ローズが立ちはだかる。

「キャサリンを泣かせた者に、あとなど追わせません! すぐにこの屋敷から出て行きなさい!」

「キャサリンの誤解を解かなければなりません。追わせて下さい。お願いします」

「なりません!!! ここは私の屋敷です。今すぐ立ち去りなさい!」

ローズに鋭い目つきで睨まれたたスターリンは、警備に両脇を抱えられ、退散するほかなかった……





"コンコン"


「キャサリン、大丈夫?」

ローズは部屋に籠っているキャサリンを訪室するも、部屋にすら入れて貰えなかったのだった……



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