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幼少期
32 帰還
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「で、マックス様。どういうことか教えていただけますか?」
「ま、なんとなくみんなもわかってるだろうけど、このアーティファクトの効果は素早く動ける、だな」
「……素早く? 見えないほどでしたよ?」
「でも、移動したのは分かる程度だったろ? それに、どうも戦闘中に限ったものみたいだな」
「ふむ、移動用には使えないと」
「多分な。クルトが構えた瞬間から周りの動きが遅くなったように感じたし」
「……あまり強力なアーティファクトではないですね」
「だな。……ま、俺は気に入ったよ。使いどころは限られるだろうけど」
「ですね。対人戦……特に少数対小数の戦いならかなり有用かと」
領主となれば軍団戦になるから、たかが1人が少々早くなったところであまり意味がない。
とはいえ、主人公たちにとられていたらかなり厄介なアーティファクトだったから、こちらで確保できたのは大収穫だな。
攻略報酬自体はこれだけだけど、ダンジョン内で確保した回復アイテムや装備品もあるから、ダンジョン攻略で使った分の金も補充できるしな。
「ん~、アーティファクトの確認もできたし、伯爵邸に帰るか~」
「はい、皆さまも首を長くしてお待ちでしょう」
「ま、なんだかんだと帰りも同じだけの日程はかかるから、あと半月は旅の空だけどな」
「最後までお付き合いしますよ」
「んじゃ、ぼちぼち出発しますかね」
これで俺の目的もようやく半分。
残りはマナの指輪の確保だが、こっちのダンジョンにはレナの協力が不可欠だから、今の段階でどうにかできるものじゃない。
そもそもマナの指輪自体は魔力自動回復のアーティファクトで、正直なところ俺が装備したところで全く意味がないものなんだ。
なにせ、俺はゲーム内では中ボス……つまり、ステータスが主人公が倒せる範囲ではあるもののそのほかの人物と比べて高い。
ゲームの設定ではレベル30で出現するマックスは、HP8,000、MPは1万を超える。
このゲームの魔法は消費MPが最大でも100程度だから、普通に戦っている限りマックスがMP切れになることはない。
ま、ゲーム内のマックスは自分の魔法適性に絶望していて、魔法を使ってくることはないんだがな。
全属性なことがコンプレックス……この世界では純属性ほど高威力の魔法を覚えられるから仕方がないことではあるが……だから、剣技だけを極めたマックス。
確かに、高レベルで覚える純属性の魔法は殲滅性が高く、範囲攻撃もできるから、領主としては必須レベルだが、実は辺境では魔法にこだわっている人間は少ない。
父上も3属性持ち、爺様は4属性持ちだし、母上は純属性……ま、要するに結婚相手として属性がどうだから結婚するみたいのは無いってことだ。
うーん、レベルも上がったし、魔法の訓練も帰ったら始めないとなぁ。
基本的な魔法はゲーム内で使えていたものらしいのはわかっているんだが、シナリオライターの設定内だけで作られていた魔法がどれくらい実装されているのかが気になる。
ま、あとは本当にMPが増えないのか、魔法の威力が変わらないのか、っていう異世界転生あるあるの確認もしてみたいしな。
「マックス様、また考え事ですか?」
おっと、先に歩いて周囲を警戒していたクルトに注意をされてしまった。
考え事をすると歩けなくなるというほどではないが、周囲への警戒はおろそかになるし、そもそも口数が極端に減るから直ぐにバレるんだよな。
「悪い悪い。伯爵邸に帰ってからのことを考えていた」
「皆さん、心配していますよ」
「だなぁ。母上に叱られて、レナを抱きしめて……」
「奥様には怒られるでしょうね、ダンジョンを攻略するだなんて」
「そんなつもりはなかったとしか言いようがないな」
ま、そんなつもりで旅をしていたわけだが、そこは馬鹿正直に言うことでもないだろ。
「旦那様はどう仰いますかね?」
「喜ぶ? いや、小言を言われそうだな」
「快挙であることは間違いないですよ」
「快挙過ぎるんだよな……冒険者組合から国王陛下にも話は通ってそうだし……最悪、王都に召喚されるかな」
「……そこまでですか?」
「この国では100年ぶりくらいの快挙だからなぁ。ま、そんときはクルトに護衛を頼むか」
「……旦那様が付き添うのでは?」
「そりゃ、父上は一緒に来るさ。でも、それとは別に護衛は必要だろ? 伯爵と次期伯爵がそろって王都に行くんだからさ」
「……はぁ。また、旅ですか」
「今度は馬車旅になるから、そこまで大変じゃないって」
「……期待しておきます」
「ま、なんとなくみんなもわかってるだろうけど、このアーティファクトの効果は素早く動ける、だな」
「……素早く? 見えないほどでしたよ?」
「でも、移動したのは分かる程度だったろ? それに、どうも戦闘中に限ったものみたいだな」
「ふむ、移動用には使えないと」
「多分な。クルトが構えた瞬間から周りの動きが遅くなったように感じたし」
「……あまり強力なアーティファクトではないですね」
「だな。……ま、俺は気に入ったよ。使いどころは限られるだろうけど」
「ですね。対人戦……特に少数対小数の戦いならかなり有用かと」
領主となれば軍団戦になるから、たかが1人が少々早くなったところであまり意味がない。
とはいえ、主人公たちにとられていたらかなり厄介なアーティファクトだったから、こちらで確保できたのは大収穫だな。
攻略報酬自体はこれだけだけど、ダンジョン内で確保した回復アイテムや装備品もあるから、ダンジョン攻略で使った分の金も補充できるしな。
「ん~、アーティファクトの確認もできたし、伯爵邸に帰るか~」
「はい、皆さまも首を長くしてお待ちでしょう」
「ま、なんだかんだと帰りも同じだけの日程はかかるから、あと半月は旅の空だけどな」
「最後までお付き合いしますよ」
「んじゃ、ぼちぼち出発しますかね」
これで俺の目的もようやく半分。
残りはマナの指輪の確保だが、こっちのダンジョンにはレナの協力が不可欠だから、今の段階でどうにかできるものじゃない。
そもそもマナの指輪自体は魔力自動回復のアーティファクトで、正直なところ俺が装備したところで全く意味がないものなんだ。
なにせ、俺はゲーム内では中ボス……つまり、ステータスが主人公が倒せる範囲ではあるもののそのほかの人物と比べて高い。
ゲームの設定ではレベル30で出現するマックスは、HP8,000、MPは1万を超える。
このゲームの魔法は消費MPが最大でも100程度だから、普通に戦っている限りマックスがMP切れになることはない。
ま、ゲーム内のマックスは自分の魔法適性に絶望していて、魔法を使ってくることはないんだがな。
全属性なことがコンプレックス……この世界では純属性ほど高威力の魔法を覚えられるから仕方がないことではあるが……だから、剣技だけを極めたマックス。
確かに、高レベルで覚える純属性の魔法は殲滅性が高く、範囲攻撃もできるから、領主としては必須レベルだが、実は辺境では魔法にこだわっている人間は少ない。
父上も3属性持ち、爺様は4属性持ちだし、母上は純属性……ま、要するに結婚相手として属性がどうだから結婚するみたいのは無いってことだ。
うーん、レベルも上がったし、魔法の訓練も帰ったら始めないとなぁ。
基本的な魔法はゲーム内で使えていたものらしいのはわかっているんだが、シナリオライターの設定内だけで作られていた魔法がどれくらい実装されているのかが気になる。
ま、あとは本当にMPが増えないのか、魔法の威力が変わらないのか、っていう異世界転生あるあるの確認もしてみたいしな。
「マックス様、また考え事ですか?」
おっと、先に歩いて周囲を警戒していたクルトに注意をされてしまった。
考え事をすると歩けなくなるというほどではないが、周囲への警戒はおろそかになるし、そもそも口数が極端に減るから直ぐにバレるんだよな。
「悪い悪い。伯爵邸に帰ってからのことを考えていた」
「皆さん、心配していますよ」
「だなぁ。母上に叱られて、レナを抱きしめて……」
「奥様には怒られるでしょうね、ダンジョンを攻略するだなんて」
「そんなつもりはなかったとしか言いようがないな」
ま、そんなつもりで旅をしていたわけだが、そこは馬鹿正直に言うことでもないだろ。
「旦那様はどう仰いますかね?」
「喜ぶ? いや、小言を言われそうだな」
「快挙であることは間違いないですよ」
「快挙過ぎるんだよな……冒険者組合から国王陛下にも話は通ってそうだし……最悪、王都に召喚されるかな」
「……そこまでですか?」
「この国では100年ぶりくらいの快挙だからなぁ。ま、そんときはクルトに護衛を頼むか」
「……旦那様が付き添うのでは?」
「そりゃ、父上は一緒に来るさ。でも、それとは別に護衛は必要だろ? 伯爵と次期伯爵がそろって王都に行くんだからさ」
「……はぁ。また、旅ですか」
「今度は馬車旅になるから、そこまで大変じゃないって」
「……期待しておきます」
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