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陰謀篇
第25話 派遣調査──冒険者への依頼
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「おはようございます!」
翌朝、一階に降りるとカウンターの少女が元気よく挨拶する。彼女はこの宿での私の世話係だ。前の宿では監視らしき幼女が世話係だったので気が抜けなかったが、この宿では特に問題ないようでしっかり休めた。監視が居なくなったということが警戒を緩めてくれたということなのか、昨日の様子を見て恐るるに足らずと判断したのかはわからないが、どちらにしても監視の目が緩くなった今は北の視察へ向かうには絶好のチャンス。今日中に一度北側の街へ行ってみたい。
「おはようございます。昨日の金貨で足りました?」
「はい! 勿論です!」
少女が嬉しそうに言う。金貨三枚もあれば、男爵領屈指の高級宿で一ヶ月は泊まれる。
「次の街に向かおうと思っているので今日でこの街を出ます」
「え? そ、そんなぁ…………」
少女が目に涙を溜めて激しく落ち込んだ。あまりにも可哀想に見えて申し訳なくなってくるが、致し方ないのでチップを渡して帰りにも寄ると伝える。どうせ王都へ帰る前日は男爵に挨拶に行く為に戻ってくるつもりなので、またこの宿に泊まっても問題ない。少女はまた来ると聞いて嬉しそうにカウンターの奥へ引っ込んでいった。
「行きましょう」
「畏まりまりました」
今日はルーシーと姉妹の設定で過ごすことにした。私は髪の色でバレないように宿から出た後に小さな店に入って鬘を被り、軽く化粧をして印象を変えている。この世界では貴族は幼い間から化粧をすることが多く、三歳の私が化粧をしたところで少し背伸びしたい年頃の幼女に見えるだけだろう。勿論ルーシーも化粧をしている。姉妹に見えるように目元を似せてみた。
準備万端の私たちはある建物の前に立っている。眼前で威風堂々と聳え建つのは────冒険者ギルド。
カランカラン
木の扉を開けると扉の上部に掛けられた木の板がぶつかり合って軽い音を出す。しかし木札の軽快な音とは真逆にギロッとでも聞こえてきそうな目つきを向けられる。いかにも冒険者なその風貌と鋭い目つきはとてつもなく凶悪だ。普通の三歳児だったら号泣だ。
「あの…………」
「どうしたの? お嬢ちゃん」
カウンター席に座っている女性に声をかけると優しい声で答えてくれる。やはり冒険者とは言っても女性は子供には優しい。テンプレ通りならここで悪漢が絡んできてイケメンが颯爽と助けるのだが、誰も絡みに来る様子はない。
流石に好き好んで問題を起こす馬鹿は居ないか
「あの、依頼をしたいんですけど、どうすれば…………」
そう言うと女性は私を連れて受付カウンターらしき場所に連れて行く。そして受付嬢と少し話した後、受付嬢が笑顔で話しかけてきた。
「依頼書はある?」
「ないです。ここで書けますか?」
「布は銅貨一枚、羊皮紙は金貨三枚、インクは貸出し一回で銅貨三枚よ。ある?」
「はい!」
この世界では植物紙が発明されていない。基本的に貴族は羊皮紙や木簡に炭を溶いた物で文字を書き、平民は羊皮紙を買う資金がないので布に文字を書くか、帝国との間に位置する魔の森の入口あたりで小さな木札を拾って使う。平民で木簡を買うのは貴族を相手にする商人くらいだ。
私はルーシーにお金を払うように目配せする。ルーシーは無造作に革袋に手を突っ込み金貨と銅貨を数枚を取り出し、三枚ずつ取り分けた。その様子を見た冒険者たちはざわつく。無造作に手を入れて適当に取り出した貨幣が金貨なのだ。相当の金額が革袋の中に入っているということは容易に予想できる。これだけアピールすれば依頼を受ける冒険者もすぐに見つかるだろう。
「羊皮紙を一枚とインクをお願いします」
「はい」
ルーシーがカウンターにお金を置いてそう言う。
「はい、どうぞ」
私が必死に手を伸ばすと、受付嬢は私に羊皮紙とインクを渡してくれた。自分の手の大きさくらいの羊皮紙に拙い文字を書いて渡すと、受付嬢はほんわかした笑顔で依頼書を受け取る。
文字を下手に書くのって意外と難しい……
「依頼内容は護衛ね」
「はい!」
護衛というのは建前で実際は南へ向ってもらうダミーだが、詳細に関しては別室で詰めれば良いだけの話だ。互いに了承していれば多少の差異は問題ない。
「それ、俺たちが受けるよ」
依頼書が貼り出されても居ない状況で、ある四人組のパーティーが声をかけてきた。うち二人は女性で一人は私と同じくらいの子供のように見える。ドワーフだろうか。とにかく変装してもらうには丁度良い。
「パーティーには女も居るし、良いだろ。嬢ちゃん」
「細かい条件は別室でいいですか?」
ルーシーが私の代わりに対応する。流石に私が対応したら怪しすぎる。
「あぁ」
私たちは早速、個室を借りて説明をすることにした。
「俺たちはCランクパーティーの『宵闇の明星』だ。俺はリーダーのリーフェン。よろしく」
Cランクは上級者寄りの中堅から中堅寄りの上級者だ。CランクからBランクに上がるには護衛依頼を達成する必要があるが、護衛の依頼はCランクから受けられるようになるものの、大抵はBランク以上の冒険者を条件にしていることが多い。今回の依頼は彼らにとっても今後の活動の幅を広げるチャンスなのだろう。
「ルーシーです。よろしくお願いします。早速依頼内容の説明ですが、今回は南に向かってもらいます」
「南? 南なら護衛はいらないだろ?」
領主も言っていたように南は比較的安全なのだろう。実際に領都までは南を通って来たが、活気は良いし浮浪者や路上生活者も少ない方だった。
「ダミーです」
ルーシーがそう言うとリーフェンは首を傾げて聞き返す。
「私は妹と一緒に北へ向かいます。女性二人には私たちに変装して貰い、男性二人には護衛の振りをして南へ向ってほしいのです。勿論、道中の費用はこちらで持ちます」
「北?! そっちは一番治安が悪いだろう?」
戸惑いの表情を浮かべる冒険者たち。しかし背が高い方の女性だけが他の冒険者たちと様子が違っていた。彼女は戸惑いの表情を浮かべることはなく、何かを精査するかのような目つきで私たちを見ていた。他の冒険者の困惑した様子に混じっていると殊更目立つ。不審に思った私はルーシーの袖を掴んで思ったことを伝える。するとルーシーはあえて正直に北の様子を見るために王都から来たことを伝えた。
まぁ、打てる手は打ったし今はこれが最善か……
好きなように行動する為に男爵の前で無知な子供らしさを強調して警戒を解いておいた。宿の監視も外されたことから確実に監視は緩くなっている。最も、調査を始めてしまえば男爵程度の人間が持つ権力では王女である私の行動を止める事が出来ないので、今後は特に自重するつもりはない。例え私の異様さに気づいたところで、私を止める術を持たない男爵は指を咥えて見ていることしか出来ない。
「王都? 視察か何かか?」
「そのようなものです。それで、依頼を受けて頂けますか?」
「勿論だ。依頼料は要相談とあったが……」
「金貨四枚を予定しています。それと、可能であれば街で最近何か変わったことは起きていないか調べて貰えませんか? 噂でも何でも構いません。勿論、情報には依頼報酬とは別途で相応の対価を支払います」
「本当に……何の視察に来ているのやら」
「秘密です」
ルーシーが唇の前で人差し指を立てて可憐に笑う。透明感のある雰囲気を醸し出すルーシーに微笑まれると女性ですら頬が染まる。しかし今回は違った。表情は笑っていたが瞳の奥は冷めている。その表情は少し不気味に見えた。
「……余計な詮索は無用ということか…………」
「理解して頂けて何よりです。話した通り女性二人には私たちに変装して貰いますので奥へ……」
「「はい」」
私はルーシーが二人を変装を終えるまでの間、リーフェンに北の様子を細かく聞いていた。特に危険な場所には近づかない為に教えて欲しいと言うと快く教えてくれた。
二刻ほどしてルーシーが私たち二人に似せた女性二人を連れてきた。近くで見なければバレない程度には似ている。勿論、化粧後の私たちの変装なので一時しのぎにしかならないが、それだけでも十分なはずだ。
「変装は終わりましたし、カウンターへ行きましょう」
「あぁ」
カウンターへ行くと受付嬢が手続きをする。パーティ内に一人不審な人間が居たのは気になるが、本人も危ない橋を渡っている自覚はあるだろう。王都からの役人代理と男爵のどちらを敵に回すと厄介かくらいは判断できると思いたい。
何はともあれ、依頼を出した初日に次の行動に移れるとは思っていなかったので、まずは喜ぶとしよう。
今日は運が良かった……のかな…………
翌朝、一階に降りるとカウンターの少女が元気よく挨拶する。彼女はこの宿での私の世話係だ。前の宿では監視らしき幼女が世話係だったので気が抜けなかったが、この宿では特に問題ないようでしっかり休めた。監視が居なくなったということが警戒を緩めてくれたということなのか、昨日の様子を見て恐るるに足らずと判断したのかはわからないが、どちらにしても監視の目が緩くなった今は北の視察へ向かうには絶好のチャンス。今日中に一度北側の街へ行ってみたい。
「おはようございます。昨日の金貨で足りました?」
「はい! 勿論です!」
少女が嬉しそうに言う。金貨三枚もあれば、男爵領屈指の高級宿で一ヶ月は泊まれる。
「次の街に向かおうと思っているので今日でこの街を出ます」
「え? そ、そんなぁ…………」
少女が目に涙を溜めて激しく落ち込んだ。あまりにも可哀想に見えて申し訳なくなってくるが、致し方ないのでチップを渡して帰りにも寄ると伝える。どうせ王都へ帰る前日は男爵に挨拶に行く為に戻ってくるつもりなので、またこの宿に泊まっても問題ない。少女はまた来ると聞いて嬉しそうにカウンターの奥へ引っ込んでいった。
「行きましょう」
「畏まりまりました」
今日はルーシーと姉妹の設定で過ごすことにした。私は髪の色でバレないように宿から出た後に小さな店に入って鬘を被り、軽く化粧をして印象を変えている。この世界では貴族は幼い間から化粧をすることが多く、三歳の私が化粧をしたところで少し背伸びしたい年頃の幼女に見えるだけだろう。勿論ルーシーも化粧をしている。姉妹に見えるように目元を似せてみた。
準備万端の私たちはある建物の前に立っている。眼前で威風堂々と聳え建つのは────冒険者ギルド。
カランカラン
木の扉を開けると扉の上部に掛けられた木の板がぶつかり合って軽い音を出す。しかし木札の軽快な音とは真逆にギロッとでも聞こえてきそうな目つきを向けられる。いかにも冒険者なその風貌と鋭い目つきはとてつもなく凶悪だ。普通の三歳児だったら号泣だ。
「あの…………」
「どうしたの? お嬢ちゃん」
カウンター席に座っている女性に声をかけると優しい声で答えてくれる。やはり冒険者とは言っても女性は子供には優しい。テンプレ通りならここで悪漢が絡んできてイケメンが颯爽と助けるのだが、誰も絡みに来る様子はない。
流石に好き好んで問題を起こす馬鹿は居ないか
「あの、依頼をしたいんですけど、どうすれば…………」
そう言うと女性は私を連れて受付カウンターらしき場所に連れて行く。そして受付嬢と少し話した後、受付嬢が笑顔で話しかけてきた。
「依頼書はある?」
「ないです。ここで書けますか?」
「布は銅貨一枚、羊皮紙は金貨三枚、インクは貸出し一回で銅貨三枚よ。ある?」
「はい!」
この世界では植物紙が発明されていない。基本的に貴族は羊皮紙や木簡に炭を溶いた物で文字を書き、平民は羊皮紙を買う資金がないので布に文字を書くか、帝国との間に位置する魔の森の入口あたりで小さな木札を拾って使う。平民で木簡を買うのは貴族を相手にする商人くらいだ。
私はルーシーにお金を払うように目配せする。ルーシーは無造作に革袋に手を突っ込み金貨と銅貨を数枚を取り出し、三枚ずつ取り分けた。その様子を見た冒険者たちはざわつく。無造作に手を入れて適当に取り出した貨幣が金貨なのだ。相当の金額が革袋の中に入っているということは容易に予想できる。これだけアピールすれば依頼を受ける冒険者もすぐに見つかるだろう。
「羊皮紙を一枚とインクをお願いします」
「はい」
ルーシーがカウンターにお金を置いてそう言う。
「はい、どうぞ」
私が必死に手を伸ばすと、受付嬢は私に羊皮紙とインクを渡してくれた。自分の手の大きさくらいの羊皮紙に拙い文字を書いて渡すと、受付嬢はほんわかした笑顔で依頼書を受け取る。
文字を下手に書くのって意外と難しい……
「依頼内容は護衛ね」
「はい!」
護衛というのは建前で実際は南へ向ってもらうダミーだが、詳細に関しては別室で詰めれば良いだけの話だ。互いに了承していれば多少の差異は問題ない。
「それ、俺たちが受けるよ」
依頼書が貼り出されても居ない状況で、ある四人組のパーティーが声をかけてきた。うち二人は女性で一人は私と同じくらいの子供のように見える。ドワーフだろうか。とにかく変装してもらうには丁度良い。
「パーティーには女も居るし、良いだろ。嬢ちゃん」
「細かい条件は別室でいいですか?」
ルーシーが私の代わりに対応する。流石に私が対応したら怪しすぎる。
「あぁ」
私たちは早速、個室を借りて説明をすることにした。
「俺たちはCランクパーティーの『宵闇の明星』だ。俺はリーダーのリーフェン。よろしく」
Cランクは上級者寄りの中堅から中堅寄りの上級者だ。CランクからBランクに上がるには護衛依頼を達成する必要があるが、護衛の依頼はCランクから受けられるようになるものの、大抵はBランク以上の冒険者を条件にしていることが多い。今回の依頼は彼らにとっても今後の活動の幅を広げるチャンスなのだろう。
「ルーシーです。よろしくお願いします。早速依頼内容の説明ですが、今回は南に向かってもらいます」
「南? 南なら護衛はいらないだろ?」
領主も言っていたように南は比較的安全なのだろう。実際に領都までは南を通って来たが、活気は良いし浮浪者や路上生活者も少ない方だった。
「ダミーです」
ルーシーがそう言うとリーフェンは首を傾げて聞き返す。
「私は妹と一緒に北へ向かいます。女性二人には私たちに変装して貰い、男性二人には護衛の振りをして南へ向ってほしいのです。勿論、道中の費用はこちらで持ちます」
「北?! そっちは一番治安が悪いだろう?」
戸惑いの表情を浮かべる冒険者たち。しかし背が高い方の女性だけが他の冒険者たちと様子が違っていた。彼女は戸惑いの表情を浮かべることはなく、何かを精査するかのような目つきで私たちを見ていた。他の冒険者の困惑した様子に混じっていると殊更目立つ。不審に思った私はルーシーの袖を掴んで思ったことを伝える。するとルーシーはあえて正直に北の様子を見るために王都から来たことを伝えた。
まぁ、打てる手は打ったし今はこれが最善か……
好きなように行動する為に男爵の前で無知な子供らしさを強調して警戒を解いておいた。宿の監視も外されたことから確実に監視は緩くなっている。最も、調査を始めてしまえば男爵程度の人間が持つ権力では王女である私の行動を止める事が出来ないので、今後は特に自重するつもりはない。例え私の異様さに気づいたところで、私を止める術を持たない男爵は指を咥えて見ていることしか出来ない。
「王都? 視察か何かか?」
「そのようなものです。それで、依頼を受けて頂けますか?」
「勿論だ。依頼料は要相談とあったが……」
「金貨四枚を予定しています。それと、可能であれば街で最近何か変わったことは起きていないか調べて貰えませんか? 噂でも何でも構いません。勿論、情報には依頼報酬とは別途で相応の対価を支払います」
「本当に……何の視察に来ているのやら」
「秘密です」
ルーシーが唇の前で人差し指を立てて可憐に笑う。透明感のある雰囲気を醸し出すルーシーに微笑まれると女性ですら頬が染まる。しかし今回は違った。表情は笑っていたが瞳の奥は冷めている。その表情は少し不気味に見えた。
「……余計な詮索は無用ということか…………」
「理解して頂けて何よりです。話した通り女性二人には私たちに変装して貰いますので奥へ……」
「「はい」」
私はルーシーが二人を変装を終えるまでの間、リーフェンに北の様子を細かく聞いていた。特に危険な場所には近づかない為に教えて欲しいと言うと快く教えてくれた。
二刻ほどしてルーシーが私たち二人に似せた女性二人を連れてきた。近くで見なければバレない程度には似ている。勿論、化粧後の私たちの変装なので一時しのぎにしかならないが、それだけでも十分なはずだ。
「変装は終わりましたし、カウンターへ行きましょう」
「あぁ」
カウンターへ行くと受付嬢が手続きをする。パーティ内に一人不審な人間が居たのは気になるが、本人も危ない橋を渡っている自覚はあるだろう。王都からの役人代理と男爵のどちらを敵に回すと厄介かくらいは判断できると思いたい。
何はともあれ、依頼を出した初日に次の行動に移れるとは思っていなかったので、まずは喜ぶとしよう。
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