最強の魔帝の少年〜魔力がゼロの無能と思われているが実は最強。落ちこぼれの令嬢を守る為に力を奮い無双する

黒夜零

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14話 問題暴発!?

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「まずそもそも教員からすれば、リステリ君の執事は不気味で仕方ない。供述からしても不安要素が大きい」
「でも私は彼に……」
「リステリ。君の考えより学園としては不気味で危険と判断している。ワシは違うが決して好ましくは思われない。それだけは肝に銘じるといい」

理事長の言葉を聞き、ユウナさんは反論の声も出さなかった。
横にいるユウナさんを見ると、複雑そうな表情で涙を浮かべていた。今にでも綺麗な顔が、グシャグシャになりそうだ。

「……ったら、だったら認めさればいいんだろう?」
「は……? 君自分が言っている事が分かっているのか?」
「ええ分かっていますよ。不気味? 危険? 大いに結構。ボクはユウナ=リステリに忠誠を誓った身。お嬢様の為にもボクを認めさせてやる!」

唐突な静寂が訪れる。
横から物凄く視線を感じる。目の前の理事長も横にいるユウナさんも黙っていた。
少し経つと理事長の硬い表情が、緩んでいき次には。

「アッハハハハ! 面白い。君いいね最高! ワシそういうの好き」
「じゃあ?」
「元々入学が決定事項だったんだよね。注意事項で言ったつもりだった。でもいい意気込みを言って貰った、期待しているよクロ」

理事長は笑みを浮かべているが、目は一切笑っておらず、目の奥では何かを企んでいる。
大口を叩いたからには、この学園で最強しかない。これは自分の為でもありユウナさんの格を守る。
それから理事長から、簡単な学園の説明をされた。話している時もやたらと刀剣袋を気にしていた。
何か気付いているなと思ったが、あえて触れないようにしていた。
学園のルールも何個が合った。
まずこの学園──魔法院ソロモンは魔法を習い立派な魔法師になる。それをもっとうにしている。
学園の内容自体は、ヒュウドルとは対して変わりない。
問題があるとすれば学園のルール。
このルールのせいでユウナさんが、怪我して帰ってくるのも納得が出来る。それに執事長が言った最強の意味。全てに点と点が繋がり納得できる。
一つは家系とか関係なしにその人物の実力で、クラス分けをされている。
入学の時の試験の結果で、黒虎、青雀、赤玄、黄龍、白麟に分けられている。
ユウナさんは白麟に所属している。
白麟はこの学園の一番の底辺。
二つ目実力が低い者は、高い者の命令には逆えない。
このルールによってユウナさんは虐められていると、考えられる。

「説明はこのくらいかな。あ、そうだ上級生には気を付けてね」
「は、はい」

ボクらは会釈して理事長室から出る。
さっきからユウナさんは体を震わしている。それには気付いているが、触れようとはしない。
螺旋階段の前に行くと、背後から気配を感じた。
直後、ユウナさんの体が異様に前に出て、階段に飛び込みそうになった。

「えっ?」

ユウナさんの言葉にならない声だけが、聞こえ、腕を伸ばしユウナさんの体を抱える。すると舌打ちする音が響く。
今、完全にユウナさんを突き落とそうとした。舌打ちを聞こえたから確信犯。
取り敢えずユウナさんを引き上げよう。
落ちないように腕にギュッと、しがみついている。
引き上げ尻目に背後を見る、と赤髪の同じ制服を着た少年が、こちらを物凄い形相で睨んでくる。
同じ学園の生徒ぽいな──小声だが信じられない発言が聞こえた。

「余計な事しやがって、後少しでリステリを消せれたのに」

さてとこの場合、ボクは一体どうすれば正解だ? ユウナさんと一緒に穏便に離れるか。それとも背後にいる生徒を叩き潰すかの二択。
背後の少年はため息を吐き、堂々とこちらに向かって言う。
その言葉はあまりにも信じられない。思わず後ろを振り向く。
ボクは思わずヒュウガの事を思い出す。そのくらいに不快で溜まりない言葉。

「おい邪魔するなよ執事。そこのゴミを消すんだから退け!」
「はぁー、ボクの視界には貴方がいうゴミはいませんが?」
「てめぇ煽ってるのか? この俺様を!」
「煽る以前にも貴方を知りませんが?」
「ちっ。俺様はソロモンの三年。ドルグアだ」

ドルグア? 何処かで聞いたな。あ思い出した。最強と謳っている「底辺家系で有名なドルグア」
「おい! 貴様」
目の前の少年は怒りを露わにしている。意味が分からなかったが、横からど突かれる。
そこで理解した。声に出してしまった事に、言い繕うと思ったが逆にこれは好機と感じた。
このままこいつを煽れば性格的に、殴り掛かるが魔法を使ってくるだろう。そうすればさっきの二択の後者が適用される。
元々二択では後者の方だ。逆に都合がいいな。

「ゴミはいませんが自称最強の底辺家系はいますねー」
「いい度胸だガキ! ぶっ殺す」

殺すね。その言葉を今まで何度も浴びせられてきた。そして殺されかけた事もある。
だけど目の前の生徒には、一つの恐怖も感じない。
それはボクが強くなったのか、こいつが弱いだけ。
どっちらでもいい。こっちは主人をバカにされて腸が煮えかりそうだ。

「お嬢様少し失礼します」

ユウナさんを離し距離を少しずつ詰め寄る。

「やるならばやろうよ。叩き潰してやる」

赤髪の生徒は拳を繰り出す。カウンターで殴打をしようと構えた。その時、ボクらの間に杖が入る。お互い静止をする。
いや正確には体が一切動かない。
全く信じられない程に動けん。それはあちらも同じ。一つ違うとしたら表情がずっと荒ぶってる。どうやら顔だけは動かせるみたいだ。
相手の方を見ると、色々と呆れてやる気を失せる。

「まさか早々と問題を起こそうとするか」

苦笑気味な声音と共に理事長が現れる。赤髪の生徒の表情が一変とする。
さっき程の勢いはなく、表情だけでも分かる。怯えている。血の気が引いてる様子。
理事長はボクらを見比べるようにして、指を鳴らした。すると体は動いた。
杖が勝手に動き、理事長の手に収まる。どうやらさっきの硬直は理事長の魔法。
体が動けるようになってから赤髪の生徒は、体を震わし腰を抜かした。
これは完全なる恐怖。
理事長は何かを言おうとしていたが、口を閉じ考えている様子。

「いい事思い付いた。ドルグア君は黄龍だったよね?」

黄龍、ユウナさんの白麟より一つ上。対して偉い訳ではない。
所詮はドルグアか。まぁバカにしてるけど勝てるか分からない。
もし完全にやるとなったら、死ぬ気で勝つだけ。

「そこの執事の恰好を少年はね、リステリの執事であり新しい新入生さ」
「こいつが落ちこぼれの執事?」
「あ!?」

ユウナさんが悪く言われ、思わず反射的に答えてしまった。
理事長も赤髪の生徒も黙ってしまった。

「えっとー、話しを戻すね。クラス分けをまだ決定をしてなかったんだけどね。ドルグアとの模擬次第でクラス分けを決める」
「え?」

ボクは何一つ理解をできていない。
一人だけ何も分かっていない。

「お、俺にメリットが……」
「そうだね。じゃあドルグア君が勝てば昇格。負ければ降格。そしてクロ──君が勝てばリステリを昇格させよう」
















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