最強の魔帝の少年〜魔力がゼロの無能と思われているが実は最強。落ちこぼれの令嬢を守る為に力を奮い無双する

黒詠詩音

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13話 波瀾万丈な入学

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トントンと扉をノックする音が聞こえる。これが朝の合図。
起きると体がバキバキで痛かった。先日の執事長との喧嘩? みたいな物にこの化け物。
ベットの近くに、立て掛けられている刀剣袋を見ながら──ため息が出てくる。
この化け物を学校に持っていくのか。
考えると頭が痛くなる。

「取り敢えず食堂に向かうか」

いつもの服装をして食堂に行く。すると少しボロボロの執事長と、先日貰った服装に似ている服を着たユウナさんが座っている。
食堂の入口で立ち止ってしまった。その時執事長と目が合う。
会釈をし自分の席に着く。
特に話す事もなく会話をせずに、黙々と朝食を食べ終わり、仕事に移ろうとしたら。

「待って! クロ君どこに行くの?」
「え? 仕事に……」
「クロさん今日から貴方も学園に入学ですよ」

は? ちょっと待って!? 聞いてない! 待て? 実は言われているのか?  と思い思い出してみる。
いや言われてねぇな。

「もしかしてお嬢様言ってないんですか?」
「え……言ってないや」

ユウナさんは誤魔化すように笑った。執事長は肩を落とす。言葉に出さずとも呆れているのが分かる。
これボク悪くないな、今から着替えてこればいいのか? と考え、部屋に戻ろうとした時。ユウナさんが叫ぶ」

「あー! もうこんな時間だ。行くよクロ君!」
「えっちょ!?」

ユウナさんはボクの腕を引っ張り、有無を言わさずに玄関にまで行く。

「クロさん。これだけ持っていて下さい」

執事長は刀剣袋を投げ渡して来た。掴んだ瞬間。再び走りだし──学校に着いた。
ユウナさんはぜぇはぁと息切れをしていた。息を整えるに必死なようだ。その反対にボクは……絶賛吐き気に襲われています。
まじで本当きっつ。ユウナさん速いし体力があり過ぎ。リステリ邸から止まる事なく走り続けた。
よく自分より体格が上のボクを、掴んで走り続けれる物だ。

「ここが私が通っている学校。魔法院ソロモン」

息を整え終わったのかユウナさんは、手を広げて紹介してくれた。
前に一回だけ見た事が合った。その時も思ったがやたらと立派だ。
白銀の門が二つ並び、奥にもある。所謂いわゆる二重構造の門。
ここに関してはリステリ邸を超えるだろう。
比にならない程の厳重さ。今回はあの時みたいな黒い光はない。
まだリグの時の黒い炎も、解明されていないし怪しんどくか。

「どうかしたクロ君?」
「いえ何でもないです」

ボクたちが門のまで滞在していると、何人のも人が通っていく。
通っていく人はユウナさんと一緒で、白を基調とした黒い線が入っている制服を着ている。
その中で不恰好な服装をしているのがボク。まさか執事服で入学するとは思ってもいなかった。
過ぎた事を考えても仕方ない。

「ユウナ様。ボクたちもそろそろ行きませんか?」
「え、そうだね」

学園の中、正確に前ではあるが、そこでリステリ当主をさん付けは流石にまずい。小声でユウナさんは怒っていた。
仕方ないんです。ごめんなさい。
これもユウナさんの品を落とさない為の物。
ユウナさんは文句を言いながらも、学園の中を案内してくれた。門から建物までの道には、白い通路がひかれていた。
建物内に入ると壁も床も白一面。
真正面には大きな掲示板があり、左と右で道が分かれている。
どうやら中は想定していた以上に広い。
ユウナさんは先導して前を歩く。
左の通路を通ると、四つの部屋があり、最奥には階段が合った。
階段は螺旋状になっており、ある程度登ると再び通路が見えた。

「ここを真っ直ぐ進むよ」

階段はまだ続いているが、今回はここの通路に用があるらしい。
真っ直ぐ進むとやたらと魔力が溢れている部屋がある。看板が立てられていた──理事長室と書かれていた。
ユウナさんが扉をノックすると、声が返ってくる。

「はーい」
「二年のリステリです」
「入っていいよ」
「失礼します」
「失礼します」

扉を開け中に入ると凄まじい威圧感と、魔力を目の当たりにする。目の前には執事長よりは若いが、貫禄のある老人がいた。
存在感で圧倒的な強者と一目で分かる。
表情は凄く柔らかいが、目の奥にある黒い何かを見逃せなかった。
先日の執事長の時よりいっそ気を、抜いてはいけない。
慎重に警戒をしながら臨む!

「そこに座って」

理事長と思われる人物は、ボクらの横にある。机を挟んだソファを指差し言う。
従うかのように座ると、理事長も対面になるソファに腰を下ろす。

「君がうちの学園に新しく入学する子か。一つ疑問なんだけど? なんで執事服?」
「え、それはその……」
「私から説明します」

ユウナさんは一通り説明すると、理事長は笑みを溢して笑っていた。

「バッカだね~もう少し主人としての威厳を持ちな」
「ごもっともです」

ユウナさんは畏まった。庇いたいけど、立場以前にユウナさんが原因だしな。
何も言葉を発さずに理事長を見ている。
こちらの視線に気付いたのか、咳払いをし本題に移った。

「前々からリステリ君から君の話しは聞いてた。こちらとしては歓迎と言いたいんだが」
「何か問題が?」
「まぁな」

理事長が言う問題は思わぬ内容だった。
それにはユウナさんも複雑な表情をしている。





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