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初恋の味はチョコレート・アイス

〖第4話〗あなたが好きなのはオミに似ているから

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告白の最高のシチュエーションと呼ばれる、バレンタインデー。

そこそこ好きな子はいる。
でも、あの強烈な思い出にかなうものはない。



きっと、オミは………もう私の空想のキャンバスに記憶を元に描くだけしかできないんだろうと思う。
多分会うことは、もう二度とない。
オミは、もういない。
 
『お話ししたいことがあるんで、放課後図書準備室に来てください』

我ながら陳腐だな。
もっとセンスのある文章は書けないのか、と思いつつ、一年から同じクラスの光太郎くんの下駄箱に凝ったカードを置いた。そして、チョコを袋にいれて、置いた。

──────────

『どうして光太郎くんにチョコなんて買ったの?』 

心の中の私が問いかけた。 

「嫌いじゃないから」

『じゃあ、好きなの?』 

「好きだよ。だってオミに似てるよ」

『何処が似てる?』 

「一番好きな笑った顔が似てて、笑窪の位置がオミと同じなの………もうすぐ、恋愛なんて出来なくなってくるから」
 
そう言えば、図書準備室の下の階の今改装中の、保健室、幽霊がでるらしい。

言っても保健室登校の蒼白い顔をした『幽霊』とあだ名された男子生徒のことらしいのだが詳しいことは知らない。

──────────

光太郎くんにあげるのに用意したのは、ちょっと財布に痛いゴディバのチョコレート、下手な字のメッセージカード。 

放課後、図書準備室に誰かがいた。窓から外をみていた。私は、後ろ姿に話しかけた。

『ずっと好きでした。付き合って下さい』

伝えたい言葉はこんなにも簡単なのに、どうして喉につまったように、普段は声にならないんだろう。口に出来るのはバレンタインだから?

──本当じゃないから? 
──嘘だから?

『あなたに似た人が忘れられないんです。苦しいんです。付き合って下さい』

そんなこと、言えるわけがない。そんなとき、逆光で顔が見えにくいけれど色が白い、線の細い──。
 

「何で、僕じゃないの?」

「へ?」

「バレンタインのチョコ」

「僕は一目で解った。この高校に来てから、ユリ──」

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