初恋の味はチョコレート【完結】

カシューナッツ

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初恋の味はチョコレート・アイス

〖第2話〗永遠の別れ

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私は昔は身体が弱かった。小児喘息だった。空気がいいからと、山の中にあるばあちゃんの家に預けられた。

良く遊んだ子は、ばあちゃんの従弟にあたる、簡単にいえば遠縁の家だ。一つ年上の男の子。

オミ。結城惟臣。 

覚えているのは、博識で、
他の子、男の子にも女の子にも意地悪だったけど私にはとびきり優しかった。
蒼白い、整った顔の造作をしていた。


 ──そして心臓が弱かった。 


「一度、由梨とかけっこしたい。由梨は足が早いね。いつか出来るように、なれたらいいなあ」

夢見るように語るオミは、
それが実現しないと知っていた。

ただ、私が山を降りるとき、オミは普段歩くのも億劫がるのに


──今となっては身体を動かすこと自体がつらかったからだと解るけど──


そのオミが、私を乗せた軽トラックを追いかけて、坂道なんて絶対に走ってはいけないのに、躓きながら手を伸ばし、私の名前を掠れた声で呼び続けた。

オミを追ってオミの家のおじさんおばさんがオミを押さえつけ止めにかかった。それでも、苦しそうに立ち上がり、私の名前を叫び続けた。

ああ、身を切られるというのはこういうことを言うんだ。涙が止まらなかった。オミ、ごめんね。苦しい思いをさせてごめんね。

次の瞬間、恐れていたことがおこった。
オミは発作を、おこした。
地面に胸を押さえて倒れ込むオミを見て、私は泣きながら、 

『降ろして!ばあちゃん!オミが、オミが!』

と言ったがばあちゃんは、 

『未練が残る。見るんじゃねぇ。あの子はだめだ。だめなんだよ。後がつらい。綺麗な思い出にしてあげろ』

と言い車を停めなかった。オミは何か薬を飲まされていた。私は窓にかじりついてただ泣きながらオミを見ているしかできなかった。
 
最後に見えたのは視界の遠くにぐったり力を失って小さくなったオミ。

これが、私が山で療養した生活の最後だ。
 
  
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