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閑話―マグナス・2
しおりを挟む『最小限の労力で、最大限の効果』
作戦を立て冒険者達にそれを説明している時のウォルフハルドは、それをよく強調していた。
この場合労力の大半をウォルフハルドが払っているというのに、全く気にした様子もない。
普通なら死地に赴くような絶望的な戦いに見えても、ウォルフハルドは剣の切っ先を勢い良く振って『作戦開始!』と宣い疾走していく。
小さい、と思っていたその背中がいつの間にか頼もしく、大きく感じられた。
冒険者達に聞くと、
『ウォルフハルド様といると無茶が無茶じゃなくなる』
『勝てないと思うのが逆に申し訳ない』
『最高で最強の指揮官』
と様々な評を口にしていた。そのどれもが強く頷けるもので、いつの間にか俺は彼らと同じ目線でウォルフハルドを見つめるようになっていた。
※
「房中術の訓練に付き合ってください」
「……は!?」
勝手に俺の膝によじ登ってきたウォルフハルドが、黒い瞳でじっとこちらを見つめながらそう言った。
ぼう、ちゅう、じゅつ。房中術と言ったのか。
たった今それがイヤで自分のテントから逃げてきたと言っていなかったかこいつ。
学院に入ってからのウォルフハルドは何とか年頃の生徒に紛れて目立ち過ぎないよう生活しているようだった。
最後に会ったのは騎士団の団長として、飛竜の討伐に出た時だったから、こいつもそれは覚えているようだ。学院での初遭遇でつい馴れ馴れしく話しかけてしまったが、向こうは俺を良く知らないというのを失念していた。
適切な距離を置こうと呼び方なんかも『公子殿』とか言ってみたんだが、微妙に言い慣れないのが現状だ。
しかし何がどうして房中術なんか必要になったんだ。
フレデリックとかいう同室の少年が牽制する気満々で俺の前に現われてから、ずっとそれが気になっている。
今後、この国を救うはずのウォルフハルドが、何で性技を学ぶ必要がある?なんか騙されてんじゃねーか。
どうしたもんかと思っていると、ウォルフハルドはじっと俺の胸の辺りを眺めている。
乳首開発をされて辛かったと言っていたので、それを試したいんだろうか。
まあ、別に俺は構わないんだが……。
ウォルフハルドは初めて会った頃よりだいぶ大人びてきたが、黒い瞳の吸い込まれそうな感じは昔のままだ。
年齢なりにだいぶ切れ長な目元で、顔も男前なんだけどなあ、昔の感覚が抜けないのかもしれない。
そういや、もう四年もウォルフハルドを見つめてきたんだっけか。
「……今はウォルフで」
俺の胸にちゅうちゅう赤ん坊みたいに吸い付きながら、上目に見られて俺は迂闊に動けなくなった。
じゃあ俺もマグナスと呼べとか話しながら、ウォルフハルドのケツが俺の股間に触れないようにするので精一杯だった。
夢中になって俺の乳首をぺろぺろ舐めている、その赤い舌にゾクリとする。
そのまま俺のペニスも舐めて欲しい、と妙な願望がわいてしまう。小さすぎてその口には亀頭くらいしか入らないと思うが、そこに包まれたら即射精してしまいそうな気がした。
そんな事を考えて思考を停止させているうちに、ウォルフハルドは俺の胸に額をすり寄せながら眠りそうになっていた。
おい、無防備過ぎるだろ。どういう状況か判ってんのか。
お前のケツの下にはガチガチに勃起した俺のペニスがあるんだよ。警戒しろ少しは。
確実に怪我させるからぶち込みはしないが、尻に擦り付けたり股に挟んだりしたい気持ちはある。
……つーか、俺のウォルフハルドへの感情ってのは、こういう欲も含めてだったのか。自覚が遅すぎて戸惑ってしまった。
が、今は目の前に集中する。据え膳逃がしちゃ男じゃねえ。
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