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第六話-3

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 それと、ただの勘だったが、フレデリックの話になった途端エルヴェと殿下の二人から不穏な気配が漂った。

 そもそもフレデリックが俺を強姦したと勘違いをしていたようだし、何か秘密裏に処理されてしまうと困る。きちんと説明だけはしておこう。
 あれは俺のモノだと。

 ――そうだフレデリックは、俺に忠実な犬なんだ。

 知らなければ性技を教えてくれるというし、したいことも先回りで手助けしてくれる。そこだけは今まで通りだ。
 彼の居る部屋には今日はこのままでは……帰りにくいが。明日以降、何とかすればいい。話しは通じる相手なのだから心配いらないだろう。

「――犬。犬なのか」
 
 エルヴェに言った言葉に強く反応したのはオーギュスト殿下だった。
 ベッドの準備が整ったと言われると自然に俺を抱き上げ、運んでいる。しかしその目は俺の顔色を窺っていた。

 柔らかな天蓋付のベッドに俺を降ろして、殿下は覆い被さるようにシーツに手をついて見つめてきた。

「私もお前の犬にしてくれ」
「もしかして今朝の『私の物にならないか』の意図はそれか」

 コクン、と大きく頷く殿下は縋るような目で俺を見下ろしていた。押し倒すというより抱き締めて縋られている。

 うるっとした碧眼に吸い込まれそうな気がして、俺は目を逸らした。これで一つ年上なのだから困る。
 アデラの言葉を借りると『可愛いが過ぎる』というやつではないか。流石は攻略対象。そして一番にアデラが勧めてきた王太子殿下だ。

「足に当たっているソレを鎮めてこい」
「……ッ」
「それとも踏まれてイクのが望みか?」

 膝を少し上げると丁度オーギュスト殿下の逸物が当たる。グイグイと遠慮なく持ち上げると、腰を引いて逃げる事もせず殿下は痛みと快感に耐えていた。

「エルヴェ」
「はい、ウォルフハルド様」
「……殿下の性器を拘束したいんだが何か道具はないか」
「はい。でしたら、ペニスリングがございます」
「持ってきてくれ」

 オモチャの名前が出ただけですでに期待しているのか、殿下は恍惚の表情で吐息を漏らしている。

 彼をそのままベッドの上に引き倒した。膝で体重をかけてぐりぐりと股間を揉むと『ひぐっ』と引き攣れたような呻き声を漏らした。
 それでも逃げることなく苦痛を受け入れている。ちなみに圧迫している股間は痛みに萎えることもなく、パンパンになって俺の膝を押し返していた。

 強めに押し揉んだせいでじわりと下着が濡れてきている。『ふ、うっ』と堪えるような息をして形の良い眉がぎゅっと寄った。

「オーギュスト」

 俺に呼ばれてハッと顔を上げた彼は、興奮したように頬を薔薇色に染めていた。彼の唇に親指を押しつけ、顎を掴んで持ち上げる。

 先王に似せられたお綺麗な人形。貴族の手遊びの玩具なのだこの王子は。髪の先からつま先まで操り糸に巻かれて自由などひとつもない。

 それがこの男の本当の姿なのだとしたら、なんと愚かで、哀れで、手折りたいほど可愛らしいのだろう。

「――犬と主人ごっこに、しばらくは付き合ってやる。


 上気した頬に恍惚とした表情を浮かべたまま、オーギュストは薄い唇を開いた。

 従順に俺の指を食んで、ちゅっと口づける様は、まさに淫らな犬そのものだった。
 

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