異世界のんびり料理屋経営

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第6章 開拓とエルフ国へ家族旅行!

第149話 モンブランとサリアからの打診。

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突然のことに戸惑う拓哉。

「エルフの国にですか?どういうことか詳しく教えてくれませんか?」

そもそも、エルフとは排他的種族ではないのか?と思うが、サリアやリーリヤを見ていると意外にもフレンドリーなのかもしれないと思ってしまう拓哉。

「以前、遊びに来ませんかとお尋ねしたのを覚えていますか?ちょうど、2代目が育ったので拓哉さん一家を案内できるなと思いまして。良ければ旅行がてら遊びにきませんか?」

確かに、以前サリアが言っていたなと思う拓哉。遊びに行ってみたいのは事実ではあるが距離と日数がなと。

「あまり長居はできませんよ。お店をずっと空けるわけにもいきませんし。それでもいいなら是非行ってみたいですね」

「心配にはお喚びませんよ。転移でお連れ致しますので。ですが、1つお願いがありまして...」

サリア的には、こちらが本心であった。拓哉は、面倒なら嫌だなと思うのである。

「なんでしょうか?面倒事なら行きたくないのですが...娘達もいますので」

「人によっては面倒かもしれませんね。前に私の店に王様が来る話をしたと思うのですが、王様と話している時にポロっと拓哉さんのことを話したら、是非料理を食べてみたいと言われまして...お願いします! 作ってはもらえませんか?」

一気に行く気がなくなり、王様とはまた面倒なと思う拓哉。

「面倒くさい王様なら嫌なのですが...偉そうとかすぐ文句言うとかないですか?」

「大丈夫です。抜け出してお店にくるくらいの方なので、無礼だから何かするような方ではありませんよ」

「私なんか普段と同じ言葉遣いをしてるわよ。でも、なんにも言われないから平気よ」

サリア曰く無礼を働いても、即打首とかはなさそうだ。リーリヤの口調は、同じエルフだからか?諦められてるか?ではないのかと思う拓哉。

「わかりました。作りに行きましょう。いつですか?」

「日程を調整しますので、また食事にきた時にお伝えしますね。それより、菓子をください」

急だなとは思ったが、お腹が満たされてデザートを食べたくなったようだ。

「それなら、この栗を使ったモンブランと言うのがありますよ」

そういうと拓哉は、厨房に行きモンブランを用意する。

「モンブランお待たせ致しました。飾りとかではなく全て食べられますので、ごゆっくりどうぞ」

ちょうど、バルトと小次郎から注文が入ってそちらに行く拓哉。

「リーリヤ、これは本当に飾りじゃないのでしょうか?」

「拓哉曰く飾りじゃないらしいわよ。とりあえず、さっきの栗がメインの菓子らしいし、まずいとかはないと思うわ。頂きましょう」

恐る恐る1番上の栗を食べる二人。栗の甘さとおいしさに思わず声が漏れる。

「ん~甘くておいしいわ。栗本来の甘さと砂糖の甘さかしら。下の生地も早く食べるわ」

「ふわぁ~おいしいです。それにしても、さっきの栗ご飯の栗とは食感も味も全然違いますね。主食と菓子に使える栗...恐ろしい食材ですね」

同じ料理人として分析するサリアとは正反対にバクバクと食べているリーリヤ。

「サリア、この糸みたいなのも生地も凄くおいしいわ。甘いだけじゃなくてちゃんと栗の味がしてるから食べてみてほしいのよ」

ただバクバク食べているわけではなく、ちゃんと味わって食べていたようだ。

「あら、本当ですね。菓子って無理矢理砂糖を固めた物が多いけど、これは全然違いますね。ふわふわしていて滑らかておいしいですね」

この世界では甘ければいいと、砂糖を沢山使った物が、高級でおいしい菓子とされて貴族などが、こぞって買う。魔国では、エルマーナ(マドレーヌ)が流行り、従来の砂糖を沢山使った菓子は廃れていっている。

「生地に甘みがないから周りのふわふわと合わせたらより食べやすいわ。他にもおいしい菓子があるはずだし買って帰るわよ」

リーリヤが、菓子に魅了されていくのだった。

「わかりました。買って帰りましょう。最近、魔国でエルマーナという菓子が流行ってるらしいけど、もしかしたら拓哉さんが広めたのかもしれませんね。もし、エルマーナも手に入るなら買って帰りませんか?」

食に対する情報を色々仕入れているサリアは、エルマーナのことも知り合いから聞いており、いつか食べてみたいと思っていた。ヴァレリーが来ているからか?ここが発祥ではないかと推測する。

「いいわね。買って帰るわよ。家でもこんなおいしい菓子が食べられるのは最高よ」

この後も、モンブランを追加注文して盛り上がる二人であった。
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