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第十九話
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ミマルンは、時間が空くたびに高級住宅街を散歩した。教会の周囲だけの警備が長くなると、怪しくないと分かっていても怪しむ住人が出て来た。
肌の色が違う異国人を警戒する心理は理屈では抑えられないと感じたベリリムが、高級住宅街の方も警備する事を許可し、行動範囲を広げたのだ。
行動範囲が広がればミマルンを目撃する頻度が下がるので、住民の不安が薄まるだろうと踏んでの事だった。
元々、街を歩き回って空き巣や魔物が出没しないかと注意するのも勇者の仕事。人手が増えるのは大歓迎だった。
結果、テルラ達の家がバレた。長期間留守にする家は少ないし、定期的にトキミが掃除しているので、真面目に警備していれば当然の流れだった。
だが、バレてもベリリムは良しとしていた。
レインボー姫が帰って来る家が分かっていれば、ミマルンの焦りや不安が薄まるだろうと思ったからだ。
その考え通り、高級住宅街の散歩をしている間はミマルンの表情から緊張が抜けている様に見えた。
住人全員に説明するのは現実的に無理なのでミマルンの方が通報されたりしたが、勇者の二人が役所や警備兵に話を通しているので、不審者として捕まったりする事はなかった。
「ん? あの人、この前見たイケメン。……なんだか怪しいわね」
レインボー姫が拠点にしている屋敷の門の前に金髪の男性が立っていた。佇まいが只者ではないので、近付き過ぎない様に気を付けながら話し掛けるミマルン。
「あの、以前もお見掛けしたのですが、レインボー姫のお知合いですか?」
ミマルンの風貌に一瞬驚いたイケメンは、何事も無かったかの様な真顔になって応えた。異国人との会話に慣れている様な落ち着きっぷりだった。
「知合いと言えば知り合いだが……朝からずっと無人な様だが、どこかにお出掛けだろうか」
「かなり前に魔物退治に行って、まだ帰って来ていないそうですよ」
「そうなのか? この家に荷物が届いたので、すぐに帰って来ると思って準備を始めたんだが……」
「荷物はレインボー姫の鎧だそうです。北の地に行くとの事で。異常気象で極寒になっているそうで、金属の鎧を着たままだと危ないらしくて」
「なるほど。俺の勇み足だったか」
「私もレインボー姫に用事が有るので、早くお帰り願いたいのですが。――ところで、準備とは何の準備ですか?」
「この街に住む全員の命と引き換えに死者を蘇がえらせる魔法の準備だよ。見たところ、君は南の国からの旅行者みたいだが、丁度良いタイミングでこの街に来たものだ。君も運が悪い様だな」
「え?」
とんでもない事をサラっと言われ、思わず聞き返すミマルン。
しかしイケメンは他人を全く気にしない目付きで口を動かし続ける。
「レインボー姫達が居れば復讐出来たのだが、俺の思う通りに行かないのは承知している。残念だが、彼女達の帰りは諦めよう。さぁ、発動せよ!」
不思議な呪文を唱えた金髪のイケメンは、魔法結晶を地面に叩き付けた。
虹色に輝きながら砕け散った魔法結晶は、空気に融ける様に消えた。
肌の色が違う異国人を警戒する心理は理屈では抑えられないと感じたベリリムが、高級住宅街の方も警備する事を許可し、行動範囲を広げたのだ。
行動範囲が広がればミマルンを目撃する頻度が下がるので、住民の不安が薄まるだろうと踏んでの事だった。
元々、街を歩き回って空き巣や魔物が出没しないかと注意するのも勇者の仕事。人手が増えるのは大歓迎だった。
結果、テルラ達の家がバレた。長期間留守にする家は少ないし、定期的にトキミが掃除しているので、真面目に警備していれば当然の流れだった。
だが、バレてもベリリムは良しとしていた。
レインボー姫が帰って来る家が分かっていれば、ミマルンの焦りや不安が薄まるだろうと思ったからだ。
その考え通り、高級住宅街の散歩をしている間はミマルンの表情から緊張が抜けている様に見えた。
住人全員に説明するのは現実的に無理なのでミマルンの方が通報されたりしたが、勇者の二人が役所や警備兵に話を通しているので、不審者として捕まったりする事はなかった。
「ん? あの人、この前見たイケメン。……なんだか怪しいわね」
レインボー姫が拠点にしている屋敷の門の前に金髪の男性が立っていた。佇まいが只者ではないので、近付き過ぎない様に気を付けながら話し掛けるミマルン。
「あの、以前もお見掛けしたのですが、レインボー姫のお知合いですか?」
ミマルンの風貌に一瞬驚いたイケメンは、何事も無かったかの様な真顔になって応えた。異国人との会話に慣れている様な落ち着きっぷりだった。
「知合いと言えば知り合いだが……朝からずっと無人な様だが、どこかにお出掛けだろうか」
「かなり前に魔物退治に行って、まだ帰って来ていないそうですよ」
「そうなのか? この家に荷物が届いたので、すぐに帰って来ると思って準備を始めたんだが……」
「荷物はレインボー姫の鎧だそうです。北の地に行くとの事で。異常気象で極寒になっているそうで、金属の鎧を着たままだと危ないらしくて」
「なるほど。俺の勇み足だったか」
「私もレインボー姫に用事が有るので、早くお帰り願いたいのですが。――ところで、準備とは何の準備ですか?」
「この街に住む全員の命と引き換えに死者を蘇がえらせる魔法の準備だよ。見たところ、君は南の国からの旅行者みたいだが、丁度良いタイミングでこの街に来たものだ。君も運が悪い様だな」
「え?」
とんでもない事をサラっと言われ、思わず聞き返すミマルン。
しかしイケメンは他人を全く気にしない目付きで口を動かし続ける。
「レインボー姫達が居れば復讐出来たのだが、俺の思う通りに行かないのは承知している。残念だが、彼女達の帰りは諦めよう。さぁ、発動せよ!」
不思議な呪文を唱えた金髪のイケメンは、魔法結晶を地面に叩き付けた。
虹色に輝きながら砕け散った魔法結晶は、空気に融ける様に消えた。
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