おばあちゃん(28)は自由ですヨ

美緒

文字の大きさ
71 / 74
メルディ国編

閑話 カレーなる舞台裏だ、ヨ?

しおりを挟む
前話が書き終わり、唐突に思い付いたバカ話。
本編に関係ない気もしますが、一応閑話扱いです。





「カレーですか……」

 魔術神が苦笑しながら呟く。
 リジーが夕食にカレーを選んだ理屈は今一分からないが、歴代の異世界人が似た様な事を遣ってきた為、どうしても苦笑は免れない。
 ある種の様式美の様な物だと言っても、異世界ギャップ故に理解はされないだろう。

「カレー?」
「カレーか!」
「カレーですか?」
「カレーだなっ!」

 魔術神の言葉を拾って張り切り出したのは時空神、技工神、資源神、農商工神。時空神の贈り物の中にある物で過不足なく作れるかの確認を始める。

「……余ったら、お供えしてくれるそうです」
『何!?』
『何だと!?』
『何ですって!?』
『――!?』

 呆然とした魔術神の言葉に、その場に居る全神が驚愕の表情を見せる。
 そして、次の瞬間には。

『よしっ!』

 なぜか全神が張り切り出し、時空神の周囲に集った。

「その鍋の大きさではダメだろう。リジーは大丈夫かもしれんが、ネスフィルと赤竜王には少ない」

 鍋の大きさにダメ出しする成長神。

「あらあら。野菜の切り方がバラバラではダメでしょう? 大きさは揃えないと、火の通りが悪いのではなかったかしら?」

 野菜の切り方にダメ出しする幸運神。

「リジーは魔法を使って料理すると言っているのですから、魔力伝導率の良い素材で鍋を作るべきではないですか?」

 鍋の素材にダメ出しする魔術神。

「おい! 肉の柔らかさを損ねるのは邪道だ! 筋にそって切れ!」

 肉の切り方にダメ出しする闘神。

「……そう、じゃない。一口で、食べられるのが、良い」

 それでは食べにくいとダメ出しする獣神。

「おい! 食器とかは丈夫なのにしておけよ。そうじゃねぇと、赤竜王が壊しちまう」

 食器類にまでダメ出しする竜神。

「……」

 他の神々の言葉にいちいち頷き、鋭い視線を投げ掛ける表裏神。

「分かってる。次はこれ――」

 ダメ出しに返事しつつ、必要と思われる物を贈り物の中から取り出し、専門家――ならぬ専門神に手渡し加工を施してもらってから贈り物内に戻す時空神。

「お前等、細か過ぎだろう!」

 文句は言いつつも、喜々として作業を進める技工神。

「魔力伝導率が良くて、保温効果もバッチリな素材は――」

 ダメ出しの意見を取り入れつつ素材を吟味して持ってくる資源神。

「どーせだから、地上に存在する辛さとか隠し味とか全部揃えっか!」

 楽しそうに、調味料他を集めて時空神に手渡しまくる農商工神。

 こうして。
 結果的にリジー曰く『過保護レーダー、凄過ぎ。そして、甘やかしの対応が早過ぎ』という事態になり。
 お裾分けだと言って、時空神の贈り物の中に入れられた神々用の全9種あるカレーに歓喜し、味わいながら食して涙する。

 そして、「自分達は間違っていなかった!」と謎の自信を付け、リジーの為に! と言って更なる贈り物を届けた。

「リジーが……『食材とかありがとう』と言ってます」

 リジー、無自覚のダメ押し。
 狂喜乱舞した神々の過保護具合がエスカレートするのは……自明の理だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

処理中です...