29 / 75
29
しおりを挟む
エンダラインを出て二日後、パルティア一行は無事エルシドに到着した。
湯浴みして支度を整えてからセリアズ別邸に挨拶に行こうと考えていたパルティアを、借りているコテージ前で待ち受けていたのはセリアズ公爵父子。
「パルティア様!」
「パルティア嬢!」
声まで揃えて、出迎えてくれた。
まるで張り合っているかのように、どちらが先に前に出るか、腕を広げて牽制し合っている。
「ご無沙汰しておりました、ア、セ、セリアズ公爵様、アレクシオス様。ご健勝で何よりでございます」
パルティアは一瞬アレクシオスを呼びそうになったが、なんとか踏みとどまった。
ランバルディは満足そうに、アレクシオスは少し悔しそうに、それでも貴族らしく笑って応える。
「ご紹介いたしますわ」
ダルディーンと彼の現場監督を手招きし、横に立たせると
「アレクシオス様、こちらは設計士のダルディーン・ムイゾリオと現場を監督いたしますミルツ・ジョワユーズでございます」
「ああ、よろしく頼む」
今度はアレクシオスがにっこりと反応した。
「私ども、二日の旅路を参りましたもので、一旦身繕い致しましてから改めてお伺いしてもよろしいでしょうか?」
馬車の中にいても、乾いた陸路を二日も走れば車内は砂埃にまみれてしまう。
パルティアも早く汗を流したかった。
「もちろんだ!早く顔を見たかっただけだから・・・」
何かを言い淀むアレクシオスを差し置き、ランバルディが前に出た。
「屋敷に夕餉を用意させるので、のちほど迎えを出してもよいかな、パルティア嬢?」
「はいっ、お招きありがとうございます。ではのちほど」
名残惜しそうなアレクシオスを連れ、ランバルディが馬車に乗り込むと自らパタンと扉を閉め、行ってしまった。
「相変わらずでございますわね、セリアズ公爵様は」
ニーナもうっすらと笑みを浮かべている。
「セリアズ公爵・・・すごい圧でしたね」
ストレスを感じていたらしいダルディーンが、ぐしゃぐしゃと髪を掻きむしった。
「私には優しい方ですわ。コテージでも食事を用意させますが、町におりてもいいし、門限だけ守ってね」
「はい、ありがとうございます。では私はコテージで頂戴致します」
パルティアはニーナたちとセリアズ公爵邸へ、他のものは思い思いに外に出たり好きなように、エルシドの夜を楽しんで過ごした。
湯浴みして支度を整えてからセリアズ別邸に挨拶に行こうと考えていたパルティアを、借りているコテージ前で待ち受けていたのはセリアズ公爵父子。
「パルティア様!」
「パルティア嬢!」
声まで揃えて、出迎えてくれた。
まるで張り合っているかのように、どちらが先に前に出るか、腕を広げて牽制し合っている。
「ご無沙汰しておりました、ア、セ、セリアズ公爵様、アレクシオス様。ご健勝で何よりでございます」
パルティアは一瞬アレクシオスを呼びそうになったが、なんとか踏みとどまった。
ランバルディは満足そうに、アレクシオスは少し悔しそうに、それでも貴族らしく笑って応える。
「ご紹介いたしますわ」
ダルディーンと彼の現場監督を手招きし、横に立たせると
「アレクシオス様、こちらは設計士のダルディーン・ムイゾリオと現場を監督いたしますミルツ・ジョワユーズでございます」
「ああ、よろしく頼む」
今度はアレクシオスがにっこりと反応した。
「私ども、二日の旅路を参りましたもので、一旦身繕い致しましてから改めてお伺いしてもよろしいでしょうか?」
馬車の中にいても、乾いた陸路を二日も走れば車内は砂埃にまみれてしまう。
パルティアも早く汗を流したかった。
「もちろんだ!早く顔を見たかっただけだから・・・」
何かを言い淀むアレクシオスを差し置き、ランバルディが前に出た。
「屋敷に夕餉を用意させるので、のちほど迎えを出してもよいかな、パルティア嬢?」
「はいっ、お招きありがとうございます。ではのちほど」
名残惜しそうなアレクシオスを連れ、ランバルディが馬車に乗り込むと自らパタンと扉を閉め、行ってしまった。
「相変わらずでございますわね、セリアズ公爵様は」
ニーナもうっすらと笑みを浮かべている。
「セリアズ公爵・・・すごい圧でしたね」
ストレスを感じていたらしいダルディーンが、ぐしゃぐしゃと髪を掻きむしった。
「私には優しい方ですわ。コテージでも食事を用意させますが、町におりてもいいし、門限だけ守ってね」
「はい、ありがとうございます。では私はコテージで頂戴致します」
パルティアはニーナたちとセリアズ公爵邸へ、他のものは思い思いに外に出たり好きなように、エルシドの夜を楽しんで過ごした。
240
あなたにおすすめの小説
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!
パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
どうしてあなたが後悔するのですか?~私はあなたを覚えていませんから~
クロユキ
恋愛
公爵家の家系に生まれたジェシカは一人娘でもあり我が儘に育ちなんでも思い通りに成らないと気がすまない性格だがそんな彼女をイヤだと言う者は居なかった。彼氏を作るにも慎重に選び一人の男性に目を向けた。
同じ公爵家の男性グレスには婚約を約束をした伯爵家の娘シャーロットがいた。
ジェシカはグレスに強制にシャーロットと婚約破棄を言うがしっこいと追い返されてしまう毎日、それでも諦めないジェシカは貴族で集まった披露宴でもグレスに迫りベランダに出ていたグレスとシャーロットを見つけ寄り添う二人を引き離そうとグレスの手を握った時グレスは手を払い退けジェシカは体ごと手摺をすり抜け落下した…
誤字脱字がありますが気にしないと言っていただけたら幸いです…更新は不定期ですがよろしくお願いします。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜
みおな
恋愛
子爵令嬢のミリム・アデラインは、ある日婚約者の侯爵令息のランドル・デルモンドから婚約破棄をされた。
この婚約の意味も理解せずに、地味で陰気で身分も低いミリムを馬鹿にする婚約者にうんざりしていたミリムは、大喜びで婚約破棄を受け入れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる