【R18】君は僕の太陽、月のように君次第な僕(R18表現ありVer.)

茶山ぴよ

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第15章 夢一夜

第282話 夢一夜(8)★

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象牙のように白いうなじ。

さっきまで一心に口づけをしていたそれを、シャワーの水滴が濡らしていく。

将は一瞬自分のことを忘れて、見とれた。

「あんまり、見ないで」

髪の毛をアップにした聡は、プラスチックの腰掛に乗せた体を少しだけひねって将の視界から自分の裸体を隠そうとした。

東にある清流に面した鉱泉風呂は、もはやあかりをつける必要がないほど朝の光で満ち溢れていた。

窓から今山から顔を出したばかりの太陽が、窓に面した浴槽を通り抜け、洗い場まで届いている。

背中をむけてしまっても、それは飽きる理由にならない。

贅肉がついていない背中は、手をつけていないアイスクリームの表面のようななだらかさだ。

その背骨をしゅっと中央に浮かび上がらせながら、動きによって肩甲骨がたおやかに浮き出る。

あまりにも狭いので、ときおり隠し切れなくなった前の丸みが横からぷるん、とはみ出るさまが愛らしい。

両手ですっぽりと囲めるかも、と錯覚できるほど細いウエストのすぐ下から深い割れ目が始まっている。

それは全体に華奢な聡の中では乳房と同様ボリュームがある部位だった。

目を引くものが多い『前』に比べてたぶん初めて目にする、聡の後姿は将には新鮮だった。

そして、朝日にキラキラ輝く水滴に彩られたそれは素直にきれいだと思った。



パリにいた将は子供の頃から、よく美術館というところに連れて行かれた。

そこで思っていたのが、どうしてこんなに女の裸体画が多いんだろう、ということだ。

成長してすれた今は、単なるエロ趣味だろう、という考えに落ち着いていたが、将はいま聡のそれは本当に美しい芸術品のようだと見惚れた。

将が画家なら、きっと聡を写生するに違いない。

「髪、洗ったほうがいいと思う?」

見とれていた首筋が、斜めに浮きあがり、聡が振り返ったことに気付いた。

と、今度は、顔と共に、そのぷっくりとした形の横顔を見せた豊かな乳房と上向きの小粒な乳首に、将はどうしても視線を移してしまう。

聡は石鹸を泡立てながら、将の視線を感じたらしい。

「えっち」

と軽く笑うと、泡立った石鹸を乗せた掌で自らの首筋を洗い始めた。

聡はタオルを使わず、体を手で洗う主義らしい。

さっき、ビーズのように細かい汗の粒を乗せていた首筋が、石鹸の泡で覆われていく。





1時間も経っていない、ついさっき。

聡は将を支配するように、上から見下ろしていた。

本能のままになったその顔は、いつもの柔らかさや優しさ、そして知性が一切消えていた。

野生の雌の放恣さを半開きの唇に浮かべ、瞳は哀願するようでいて、ときおり

「私に従いなさい。私をもっとよくしなさい」

という高慢さを光らせた。

しかしその次の瞬間には、鋭敏な感覚を恥らうかのように俯いて肩をすくめる。

将を支配する女王と、将に刺し抜かれて恥らう乙女。

阿修羅像のように、さまざまな顔を浮かべて聡は妖艶だった。

それも聡なのだ。

聡というひとは、どれだけの奥深さがあるのだろう。

将は、聡という騎手を乗せた馬のように従順に横たわりながら、その姿を下から観察していた。

カーテン越しの朝は、部屋の物を緑色に染めながらもほとんど明確に見えるようにしていた。

もちろん将は前の2回と違って、聡の艶かしい体の前面を思う存分に観察することができた。

将との接合部を隠しているものは、たおやかな聡の全身の中で唯一、黒々と茂っていた。

将とのそれをすり合わせるように動かすたびに、くびれた腰から上半身が大きく揺らいだ。

聡の中にいる将も同じように揺れ、かつ再び動き出した液体がだんだんと波動を強くしていく。

真ん中を震源地とする激震は聡に張り巡らされた神経を通じて全身を揺らした。

カーテンの緑で青磁のような色になった、滑らかな皮膚をうねらせる。

新雪に覆われたゲレンデ。

夕暮れのサハラ砂漠。

指で弾いたら澄んだ音がしそうな磁器。

滑らかな見た目で似ているそれらは、みんな微動だにしないものばかり、こんな風にうねりはしない。

生きている証明のようにうねる聡のその滑らかな肌の下に、真っ赤な血が流れているとは、にわかには信じがたい。

生けとし生けるものの中で、こんなに滑らかなものはあっただろうか。

たおやかな肌の表面に、ときおりその形を浮かびあがらせる骨格と筋肉の動きすらも、将にはいとおしかった。

激震にいまにも崩れそうな華奢な上半身の中で、異彩を放っていたのがまん丸い乳房だ。

その細い肩、腕、ウェストに不似合いなほど丸く張り出して、どうかすると苦しげでさえある聡の中で、そこだけ喜ぶように柔らかく弾んでいた。

そして、大きさに対してあくまでも小さな2つの粒が将を見つめる。

それを目で追っていた将だが……それに誘われてついに両手を下から伸ばす。

鏡餅のようだったものは、今は搗き立ての餅に戻ったように簡単に形を歪ませると、将の指を温めた。

聡はため息をつくと、胸を将に向かって張り出すように体をのけぞらせた。

将はそのぬくもりをさらに確かめるべく、掌に力を込めていく。

聡の体は、その頭で天井に向かって大きく円を描く様に一周し、再び将の前に戻ってきて、胸を捕まえている将の上腕につかまった。

聡は、頬を真っ赤にしながらも将に微笑んで見せた。

それを見た将は少しだけギャロップしてみることにした。

聡の揺れが、円を描く動きから、上下に変わった。

もう少し、速く駆けても大丈夫。

将は腰を浮かせると、騎手を翻弄する暴れ馬に自らを変貌させる。

騎手を放り投げるように上に弾ませては、それを自分の上に落とす。

それを最初はゆっくりとした間隔で、次第に速く。

「ああ」

ロデオの騎手になった聡が大きく揺れ、悲鳴をあげる。

騎手の苦しげな表情が、地球の引力をも味方につけた強い摩擦が……馬である将をより快感へと導いていく。

バウンドを繰り返すたびに、将に跨った騎手は小さく悲鳴をあげ、将自身はより奥へずぶずぶと刺さっていく。

聡といえば、ヘッドバンキングのように頭を揺らしながらも、振り落とされないように、将の上腕を手綱のようにぎゅっと握り締める。

それを繰り返すうちに、カーテンの隙間から漏れた光で聡がきらきらと輝き始めた。

ついに朝日が顔を出したのだろうか。

弾み揺れる乳房の向こうで、きらきらと光り始めたものの正体を確かめたくて、暴れ馬は上体をいきおいよく起こすと、落馬する寸前だった聡を抱きとめた。

「しょう」

完全に馬に屈服した騎手は、涙を浮かべて将にすがりついてきた。

将は抱き合った聡の首筋から背中に、びっしりと……まるでビーズを隙間なく貼り付けたように、 汗の粒が密集しているのを緑と白の光の中で見た。

抱きしめた体はさっきよりずっと熱を帯びていて熱かった。

将は暴れるのをいったんやめると、その首筋のビーズに舌を這わせた。

ビーズはたやすく形もなく瞬時に潰れると塩辛い味を残した。

それが面白くて、将は一心に首筋のビーズを舌でつぶし、唇で吸った。

しょっぱい聡の味を堪能しつつ、将は聡の中が再び脈動しているのに気付いた。

「あきら」

その心はもちろん、体も、名前も世界で一番愛しいひと。

至近距離で顔をもう一度みる。

呼びかけられた聡は、赤ん坊のように顔を真っ赤にして、汗びっしょりだった。

おでこやこめかみにほつれた後れ毛が汗で張り付いている。

潤んた黒目がちの瞳は、将を見つめながらどこか、呆けているようでもあった。

すべてを投げ出して、感覚だけで将を受け入れている聡のその唇に、将は何十回目かの口づけをする。

再び上と下で結びあわさる二人は、外で蝉が鳴きだしたことにも気付いていなかった。
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