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第34話 バレンタイン④ かまってちゃん
しおりを挟む「まだぁ…、もう、いいじゃん。」
放課後の生徒会室、遼太が戦利品のチョコを食べながらパソコンに向かう俺に絡んでくる。
水曜日の放課後は生徒会活動の日と決めている。
遼太には昼休みに少し生徒会室に来るのは良いけど、放課後に来て良いのは水曜日だけと約束している。
ほっとくと毎日直行で生徒会室に来てしまうし、彼の取り巻き達にも不審がられても困る、俺を気に入ってくれるのは嬉しいけど、普通に学校生活をしていて欲しい。
今日は顧問の先生が急ぎでやって欲しいと言われた卒業生に送る在校生代表の言葉の原稿の見直しをしている。
家に持ち帰って作業しても良いのだけど、前年度の資料も確認したい、早く終わらせろと遼太が急かしてくるけど締め切りが明日だから待たせている。
「もう少しだけ待ちなよ。」と言うとデカいくせに「飽きたぁ…。」と甘えた声を出して俺の頭に顔を擦り付けて来る。
昼休みにゴタついたのに、すっかり機嫌を直しているから、まあ良いかな?
ガサガサと2箱目を開け、いかにも高そうなチョコを口に入れて「なんか苦いぞ、これ?」とか言うけど、カカオ純度の高い良質なチョコレートなんだよそれは、文句を言わずに有難くいただけよ。
「友也も食えよ。」と勧められて口に入れたら、ほろ苦い、やわらかくて口の中ですぐに溶けたけど甘くはない、チョコの香りはするのだが?高カカオのチョコは体に良いとか言うけど苦い。
「俺は普通に甘いチョコが好きだな。」と失礼なコトを言って別の箱をを開けた、今度のチョコは四角く区切られた升目の中に一口サイズのチョコが美しく並んでいる、アーモンドが乗ったチョコを口に入れて「豆が美味い!」とか言うけど豆じゃない、アーモンドだ、節分と勘違いしてないか?
遼太に高級なチョコはもったいない、普通の甘い板チョコで十分な気がする。
ハート型のチョコを摘まんで「俺の気持ちを受け取れ!」と俺の口に突っ込んで来た。
ああ、もう、仕事にならない…。
自分なりの文章を書こうと思ったけど面倒になってきた、どうせ誰も読まないし形だけのもの、前年度と前々年度の原稿も名前だけ変えてコピペでもしたのかと思う位に同じだし…。
椅子に座ってパソコンを見ている俺、背後から抱き着かれていて、息とか耳に当たるし、頭が回るワケがない。
モグモグと口の中でチョコを溶かしてから「もう、いいよ。」と言ったら、後ろから「何が?」と言ってくるからイラついて来た。
お前、何しに来てたの?
エロいコトする為に待ってたんじゃないのか?
腹が立つから無視しているとニコニコしながら「怒った?怒ってる?」って聞いてくるし、どうしてくれよう。
USBメモリに原稿データを入れて帰ろうとしたら「冗談だからぁ」とか言ってくるし、どうしてくれよう。
俺も結構かまってちゃんだから、こういうアホな構われ方は好きだな、どうしてくれよう自分。
椅子に座る俺の膝元に跪く騎士のように回り込んで来た遼太、窓から差し込む西日が彼の緩く波打つ明るい髪を光らせている。
俺の好きな人懐っこい垂れた目で見上げられると体がザワつかずに居られない。
昼間に「友也は俺の女なんだから」と言ってたけど、彼を見て普通に心躍る俺の反応は男ではなく女なのではないのだろうか?
重ねられた手も近づく顔も静かに合わさる唇も全然悪くない。
今日のキスは甘い、甘くて美味しい、いつも美味しいけど…。
遼太が好きな長い長いキスに体が痺れて堪らなくなってきた、目が曇る、俺は女でいいや。
終わらないキスをする彼の体を押しのけてネクタイを緩めてワイシャツのボタンを外した。
胸など無いけど彼の手を掴み押し当てる、抱いてもらいたくて息が上がってきた。
出す声が掠れる。
「も…、いい…、はやく…しよ…。」
フルつく俺に「どうした、友也はそんな子じゃなかったぞ!」とかふざけて言って来るから「うるさい、早くしろ!」って吠えたけど、要らない所なのに無駄にかまってくる遼太が好きだと思う自分がいて、俺もかなりいかれてきていると思った。
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