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第33話 バレンタイン③ 面倒なコト
しおりを挟む「友也は俺の女なんだから男に戻るなよ。」
深い意味があるような言葉に戸惑いを覚えた。
昼休みも終わろうとしている生徒会室、農家の長男パワーに呆気なく屈する非力な市職員の長男の俺、作業テーブルの上からバラバラと遼太の戦利品のチョコが床に落ちる。
俺が女の子に告白されたことを怒っているのか、遼太に両肩を掴まれて作業テーブルの上に押し倒された、腰が不自然に曲がってて痛いんだが、そんなに怒ることだろうか?俺だって好きで告白されたワケじゃない。
だったら女の子から貰ったチョコを大量に抱えて来た遼太はなんなんだ。
「俺は女の子に超モテてます!」を俺に見せたかったんじゃないのか?
モテる遼太が好きだから俺は全然構わない、その理屈で行くと俺が女の子にたまにモテても別に構わないはず。
バレンタインデーが男の人気投票日だとしたら、遼太は圧倒的勝者なのに何故怒る?
肩を押さえつけられて睨まれる、何が気に食わないのか、俺にどうして欲しいのかを聞いてみた。
「何が気に食わないを言ってくれれば対処する。」
「さっきの告白、今すぐ付き合わないって断って来いよ。」
「付き合うなんて言ってない、わざわざ言わなくてもいいじゃないか。」
「ぐいぐい来られたらどうするんだ?」
「適当に流すかな?どうせすぐに飽きるよ。」
「飽きなかったらどうする?」
「飽きなかったら…?そんなことあるのか?だとしたら面倒…。」
「面倒なら今すぐ断って来いよ。」
「今すぐ…。」
いつも穏やかな態度の人が怒ると焦る、焦るけど「分かった」と言えない。
面倒すぎる、すごく面倒だろ、それっ!!
そもそも付き合うとも言ってないのに、今さっきの告白に「やっぱり貴女とは絶対に付き合いません!きれいさっぱり諦めて下さい!」と断るヤツはいないだろう?
俺、副会長になんて言ったっけ?
好きと言って貰えて嬉しいと、好きという気持ちを受け取る…だったかな。
期待を持たせるつもりは無いのだけど、傷つけるのも嫌で曖昧と言えば曖昧、ハッキリ断ってあげた方が無駄な労力を使わせないから親切なのだろう…。
遼太がすぐに行って来いみたいなコトを言うけど、気乗りしない、面倒すぎて顔が曇る。
逆に俺が遼太にチョコ貰った相手に返して来いって言ったら困るだろうに、何故俺には強要するのか。
嫉妬でもしてる?誰に?俺?副会長?
怒られる理由が分からないけど宥めようと思い口を開いた。
「…大丈夫、副会長とは仲良くならないし、関わらない。」
「分からないだろ?強く迫られたらどうする。」
「逃げるかな?」
「捕まったらどうする。」
「副会長は女の子だから、俺を捕まえてどうこうはしないよ。」
「分からないだろ?」
「分からないだろ?」と遼太がしつこい、ここは明るく「友也もモテて良かったじゃん!」とか言うところなのでは?
漁師の娘は網でも使って男を捕縛するのが通常なのか?そのまま漁船に乗せられたら逃げられないというか犯罪だな。
眼鏡は掛けているけど副会長は俺より身体能力が高そう、本気で狙われたら捕まりそう。
って!!絶対ないっ!そんなことはっ!!
捕まるとか捕まらないとかなんの話だ?
いいかげん腰も痛いし、イラついて来た、昼休みも終わる、遼太に怒られる理由も分からないから脚をバタつかせながら吠えた!
「もう離せよ!どうするかは俺が決めるから!!」
「友也は俺の女なんだから男に戻るなよ。」
俺の発言と被り気味言うから、聞き取りづらかった。
ん?今、俺の女とか言わなかったか?
遼太にとって俺は女の子って認識なのか?
そのようなコトはしていると言えばしている。
男に戻るなって、俺は元々男だけど…。
深い意味があるような言葉に戸惑いを覚えずにいられない、怒りの色が見える彼の目の真意が分からず膠着する。
キ―ンコ―ン カ―ンコ―ン…
5時限目の予鈴の音を聞き「やばい、遅れる!」と呟いて遼太が押し倒した俺の体を引き起こした。
不自然すぎる格好をしてたから腰が痛い、「いたたっ!」と腰をさする俺に「おんぶしてやろうか?」と真面目に聞いてきた。
「おかしいだろ!」と吠える俺の背中や腰を「ごめんな」と言いながらごしごし擦ってくる。
もう怒って無さそうで安心するけど、なんだったのだろうさっきの怒りと発言は。
俺には紳士的な態度を取ることが多い遼太だけど、昔から付き合っている男友達といる時はあけすけにガハガハと笑っている。
気を使わせているというか、女の子扱いをされているのかもしれない。
甘く優しい顔を見せる遼太、普通に女好きなのに俺を女だと思うことにして付き合っているだろうか。
「走れるか?」と聞いてくる遼太に「俺は男なんだが。」と言うと「すごく知ってるぞ。」と返された。
5時限目が始まっている、誰もいない廊下、静かな校内。
走っても間に合わないけど、とりあえず廊下を走る俺達、先を行く遼太の背中を追いかけながら彼を面倒なことに巻き込んでいるのは俺ではないかと思えてきた。
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