隣の席の美少女が何故か憐れむような目でこちらを見ているけど、僕には関係がないのでとりあえず寝る ひとりが好きなぼっちだっているんですよ?

プル・メープル

文字の大きさ
32 / 63

第32話 妹は来客に厳しい

しおりを挟む
「第二の我が家だー!」
「僕の家だけど」

 唯斗ゆいとが玄関を開けて中に入ると、その後に続いて夕奈ゆうなもやたら楽しそうに入ってくる。
 もう3度目ということもあってかなり堂々としているように見えるが、トイレのドアを開けながら「あれ、洗面所改装した?」と聞いてくるあたり、記憶力は相変わらず残念なようだ。

天音あまねちゃん、こんちゃ!」
「師匠だぁ!」

 リビングにいた天音は、夕奈が入ってくると興奮気味に駆け寄ってきて再会のハグをする。
 唯斗はその光景を見ながら、「お兄ちゃんには?」と聞いてみるが、「それはいいかな」とあっさり断られてしまった。

「ふふん♪さすが夕奈ちゃん、女児の心を鷲掴みやで!」
「お前ウザイよ」
「どこの忍者や!」

 ドヤ顔を見せつけてくる夕奈を軽くあしらってリビングに入ると、コップにお茶を注いで運ぶ。
 並べて机に置いてから、唯斗はドアの向こうでオドオドしている人物に向けて手招きした。

花音かのんもおいで」
「ひゃい!お、お邪魔します!」

 彼女はトコトコと歩いてくると、おそるおそるソファに腰かける。緊張しているのか、背もたれに背中をつけようとはしない。
 この前は自分から乗り込んでくるということをされただけに、唯斗からすれば少し意外だった。今回は誘われて来たからなのだろうか。

「どちら様?」
「天音、花音だよ。夕奈の友達」
「ふむふむ、兄がいつもお世話になってます」
「い、いえいえ!私こそお世話になってますぅ……」

 無邪気にじゃれついていた姿から一転して、丁寧に頭を下げる天音の姿に、花音も一度立ち上がってお辞儀をする。
 唯斗は買い物に出かけている母さんに心の中で『あなたの教育は間違っていませんでした』と報告しつつ、花音の隣に腰掛けた。
 それを見た夕奈は、少し不満そうな顔をしたものの、大人しくお茶の置いてある前に腰掛け、それにくっつくように天音も腰を下ろす。

「ところで、カノちゃんさんはどうして我が家へ?」
「さ、誘われたのでせっかくならと。迷惑でしたか……?」

 申し訳なさそうにする花音に、天音は「むしろ歓迎だよ!」と笑って見せた。

「でも、一応お兄ちゃんの家なわけだし。カノちゃんさん、もしかしてお兄ちゃんのこと好きなの?」
「ふぇっ?! ち、違いますよ!あ、違うというのは嫌いって意味じゃなくて……その……えっと……」

 一度否定した天音は、唯斗を気遣って別の言い方をしようとするも、逆に混乱してしまって訳が分からない状態に。
 彼女は3分ほどひとりあたふた劇場を上演した後、深呼吸を促されてようやく落ち着きを取り戻してくれる。

「唯斗さんのことは、お友達として大好きです!」
「ふむふむ、カノちゃんさんは妹審査合格!」
「やりました!わーい!」

 ハイタッチをして喜びを分かち合う天音と花音。
 唯斗からすれば、いつの間にそんな審査制度を取り入れたのか聞きたいところだが、合格したのなら深く気にする必要も無い。
 そもそも、何があったら不合格になるのかも分からないし。質問的に兄を好きな人なら落とされるのだろうか。なら、世界で誰一人落とされないけど。

「師匠ってゲームも上手いの?」
「もちのろんよ!夕奈ちゃんに不可能はない!」
「どの口が言うんだか」
「唯斗君?ちょっと黙ってて」
「それ、僕が常日頃思ってることだけど」

 夕奈は「わーわー!何も聞こえませーん!」だとか言って唯斗の声を無視する。耳元でもう一度言ってやろうかと思ったけど、面倒臭いからやめておいた。

「カノちゃんさんは?」
「わ、私はあまり……ゲームにもよりますけど……」

 言われてみれば、唯斗にとって花音のゲームの強さは未知数だ。性格的にもあまり上手そうには見えないが、人は見た目に寄らないと言うからね。
 事実、ゲームばかりしてそうな夕奈があそこまで下手なわけだし。

「じゃあこれにしよ!」

 そう言って天音が取り出したのは、某有名ぶっ飛びアクションゲーム。その名も『大乱争マッシュルームブラザーズ』。
 通称『マシュブラ』と呼ばれているやつだ。前から思ってたけど、語呂が悪すぎるよね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

学校1のイケメン♀️から逃げ出した先には地獄しかありませんでした

山田空
ライト文芸
ハーレムを目指していた主人公は転校してきたイケメンによってその計画を壊される。 そして、イケメンが実は女の子でありヤンデレであったことを知り逃げる。 逃げた途中でむかし付き合った彼女たちとの過去を思い出していく。 それは忘れたくても忘れられない悲しき記憶 この物語はヒロインと出会いそして別れるを繰り返す出会いと別れの物語だ。 そして、旅の最後に見つける大切で当たり前なものとは

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

処理中です...