上 下
96 / 100
第二十章 説明だらけ

第1話 説明……と

しおりを挟む

「……ダンジョンコアを破壊せずに済んだ結果、でしたが」


 リクシアの街に、また馬車で戻った僕らは……エクレアさんの執務室に通された。僕とジェフさん以外に、マシュさんとレイザーさんだ。

 だいたいの説明を……僕もだけど、ジェフさんがしっかり話した後に、エクレアさんは頭を抱えたのだ。


【ヒトの子は抱え込み過ぎじゃのぉ?】


 移動の時は隠れていたけど、コウシャさんも同席している。僕の頭を撫でてくれるんだけど……子供扱いしているんだろうなあ? 実際、ここに居る中だと一番歳下だからね……。


「抱え込みと言いますか……あなた方に、トラディス君は気に入られた。その上で、あなた方には都合の良い結果になったんです。ギルドマスターとは言え、すぐに『はい、そうですか』と納得させるわけにはいきません」


 エクレアさんの立場のこともあるから、たしかに『大丈夫』だけで終わらせるわけにはいかない。あんまり賢くない僕にも、なんとなくわかったけど。


【ほぉ? よく考えておる】

「あなた方ほどではありませんが、少しばかり長く生きていますから。しかし……ダンジョン破壊とならずに、ダンジョンコアからの願いを叶えて……むしろ元に戻した。であれば、トラディス君達『シリウスの風』には称号報酬を与えねばいけませんね?」

「称号……報酬??」

「コンビとして適切な報酬だなあ?」


 ジェフさんが喜んでいると言うことは、いいことなのだろう。ランクとは別でも、チームとしてふさわしい報酬になるのなら僕も何も言わない。

 コウシャさんには相変わらずなでなでされっぱなしだけど。


「レイザー君達には、討伐応援としての報酬を追ってお渡ししますね? マシュにも」

「わかりましたの」

「……おう」

「レイザーさん?」


 ちょっと、いやだいぶレイザーさんに不満があるように見える。どうしたのだろうか??


「……レイザー? 報酬とかについてじゃねぇだろ?」

「……ああ」


 ジェフさんが何故か、笑いながらレイザーさんの肩を強く叩いた。やっぱり、前から知っている者同士……ジェフさんには、レイザーさんの考えていることがわかるのかも。


「? 報酬ではない?」

「ですの?」


 エクレアさん達にもわからないようなので、少し首を傾げちゃった。


【ほっほ。そこな、わろしは羨ましいのであろう? 見たところ、パーティーやチームを組んでおらぬ。トラディスらのところに加わりたいのじゃろうて】

「え!?」

「……ああ。ジェフが気にいるだけある。俺も混ぜさせろ!!」


 A級冒険者で知名度の高い、レイザーさんが興味を持つとこだなんてないと思ってたのに!?

 ジェフさんを見ても、苦笑いされただけだった。


「こいつが気にいることを、お前があのダンジョンでやった。俺としては……まあ、こいつなら大丈夫だと思う」

「……上から目線だなあ?」

「一応、リーダーは俺だしなあ?」

「……そーかよ」

「であれば……討伐応援の報酬は通常。レイザー君本人は『シリウスの風』に加入したいと?」

「おぅ!」

「なるほど。……トラディス君の顔が面白いことになっていますが?」

「ですの」


 だって……僕の周りに、どんどん有名人が集まってくるから!?

 混乱しないわけないです!!
しおりを挟む

処理中です...