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第二十章 説明だらけ
第2話 ベタ褒め
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なんで……なんで!!
「くぁ~!! やっぱ、湯場はいいなあ?」
「だなあ?」
ジェフさんはともかく、レイザーさんと一緒に……湯場にいるのがまだ落ち着かない。
と言うのも、僕がまだまだレイザーさんとよく話し合っていないので……だったら、裸で語り合おうとここに来ることになったのだ。主に、『シリウスの風』への加入について。
お客も、なぜか僕達しかいないのが幸いだが。
「……で、トラディス」
僕が、ぶくぶくとお湯に顔半分をつけているとレイザーさんに頭をガシガシと撫でられた。最初にお会いした時と同じ力強さ。コウシャさんがついさっきまで撫でてくれた時と全然違う。
コウシャさんは、また何か有れば来る……と、証明の紋章から消えた。と言うか、あのダンジョンに帰っていった。フランツは、当然預かり場所でアークさんと一緒だ。
「……はい」
それは置いといて、レイザーさんの質問には答えなくちゃいけない。
僕の緊張した表情が見えても、レイザーさんは隻眼を楽しそうに輝かせていた。
「そんな緊張すんなって。ま、今日出会った奴がいきなり転がり込むのはびっくりしただろうが」
「い、いえあの……」
「正直言う。俺はお前の実力に惚れた。謙遜しがちな態度もだが、ひけらかす馬鹿な冒険者よりずっと良い。あのダンジョンコアらにも……納得のいく話を出来る態度もな」
「そ、そそそ、そんな大袈裟な!?」
僕はそんな大それた人間ではない。
フランツをあそこで抜かなきゃ……最低だった元パーティーの彼らに、ずっと……奴隷のような生活を送らされることになっていた。
もともとだって、大した人間じゃない。どこの馬の骨かわからない孤児でもあるし。
ぽつ、ぽつ……とそれを話すと、なぜかさらにレイザーさんの撫で方が荒っぽくなった!?
「自分を卑下するのもだが……自慢しないとこも気に入ったんだよ。まだ実力は半分も見ちゃいねぇが……お前は間違いなく、高ランクの冒険者の素質がある」
「え、えぇ??」
「レイザーがベタ褒めするのも珍しいが、最後のは俺だってずっと思ってたさ」
「えぇ??」
本当に……フランツを抜いてから、いい人達に出会い過ぎている。エクレアさんもマシュさんもだし……この街のほとんどの人も。
どうして……僕は、幸運なのかな??
「で? 俺はお前らと組んでもいい奴になれるか?」
「! ぼ、僕が逆に足引っ張っちゃいますが」
「ねぇな? ランクだけがただのBの野郎よりも実力はある。特に脚」
「あ、ありがとうございます……」
Aランクの冒険者さんに認められたのが、フランツだけでなく……もともと僕が持っている強みの部分だとは思わなかった。
とりあえず、レイザーさんの強い申し出もあって……シリウスの風への加入が決定。ギルドへは、コンビだけでなくチーム編成に変わることを申請。
称号報酬は、文字通りチームへの賞罰などを付与する報酬。形があるものじゃなくて、ランク付のような称号だった。冒険者ランクで言うなら、Cくらいに。
「…………お前ら、なんつー武器持ってんだよ!?」
正式にレイザーさんが加入したことで、フランツとアークさんの秘密も共有することになり。
拠点にする宿屋で、フランツ達が自己紹介することになったんです。
「くぁ~!! やっぱ、湯場はいいなあ?」
「だなあ?」
ジェフさんはともかく、レイザーさんと一緒に……湯場にいるのがまだ落ち着かない。
と言うのも、僕がまだまだレイザーさんとよく話し合っていないので……だったら、裸で語り合おうとここに来ることになったのだ。主に、『シリウスの風』への加入について。
お客も、なぜか僕達しかいないのが幸いだが。
「……で、トラディス」
僕が、ぶくぶくとお湯に顔半分をつけているとレイザーさんに頭をガシガシと撫でられた。最初にお会いした時と同じ力強さ。コウシャさんがついさっきまで撫でてくれた時と全然違う。
コウシャさんは、また何か有れば来る……と、証明の紋章から消えた。と言うか、あのダンジョンに帰っていった。フランツは、当然預かり場所でアークさんと一緒だ。
「……はい」
それは置いといて、レイザーさんの質問には答えなくちゃいけない。
僕の緊張した表情が見えても、レイザーさんは隻眼を楽しそうに輝かせていた。
「そんな緊張すんなって。ま、今日出会った奴がいきなり転がり込むのはびっくりしただろうが」
「い、いえあの……」
「正直言う。俺はお前の実力に惚れた。謙遜しがちな態度もだが、ひけらかす馬鹿な冒険者よりずっと良い。あのダンジョンコアらにも……納得のいく話を出来る態度もな」
「そ、そそそ、そんな大袈裟な!?」
僕はそんな大それた人間ではない。
フランツをあそこで抜かなきゃ……最低だった元パーティーの彼らに、ずっと……奴隷のような生活を送らされることになっていた。
もともとだって、大した人間じゃない。どこの馬の骨かわからない孤児でもあるし。
ぽつ、ぽつ……とそれを話すと、なぜかさらにレイザーさんの撫で方が荒っぽくなった!?
「自分を卑下するのもだが……自慢しないとこも気に入ったんだよ。まだ実力は半分も見ちゃいねぇが……お前は間違いなく、高ランクの冒険者の素質がある」
「え、えぇ??」
「レイザーがベタ褒めするのも珍しいが、最後のは俺だってずっと思ってたさ」
「えぇ??」
本当に……フランツを抜いてから、いい人達に出会い過ぎている。エクレアさんもマシュさんもだし……この街のほとんどの人も。
どうして……僕は、幸運なのかな??
「で? 俺はお前らと組んでもいい奴になれるか?」
「! ぼ、僕が逆に足引っ張っちゃいますが」
「ねぇな? ランクだけがただのBの野郎よりも実力はある。特に脚」
「あ、ありがとうございます……」
Aランクの冒険者さんに認められたのが、フランツだけでなく……もともと僕が持っている強みの部分だとは思わなかった。
とりあえず、レイザーさんの強い申し出もあって……シリウスの風への加入が決定。ギルドへは、コンビだけでなくチーム編成に変わることを申請。
称号報酬は、文字通りチームへの賞罰などを付与する報酬。形があるものじゃなくて、ランク付のような称号だった。冒険者ランクで言うなら、Cくらいに。
「…………お前ら、なんつー武器持ってんだよ!?」
正式にレイザーさんが加入したことで、フランツとアークさんの秘密も共有することになり。
拠点にする宿屋で、フランツ達が自己紹介することになったんです。
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