【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

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第39話 工房に行く

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「……ツテは、あるな」


 私がうんうんしていると、スインドさんがそう言ってくれたのだ!


「え!? あるんですか!?」

「……腕のいい職人だ。少々性格にクセはあるが……話がわからない奴ではない。時間があるのなら、今から行くか?」

「ありがとうございます! ……スインドさん、お店は?」

「好きに商売しているだけだ。今日も売り上げも、ヒロ達ので十分入ってきたさ。……心配は無用だ」

「ありがとうございます!」


 顔だけじゃなくて、中身もやっぱりイケメンだなあこの人!!

 場所は、ちょっとだけ離れているらしいが……またクレハが耳を押さえ出したので、ちょっと心配になった。


「……にゃぁ。ちょいといろんな声が聞こえるんよ」

「……声?」

「あちきはアヤカシ。獣人の姿やと……必要以上に、話す以外の声も聞こえるんよ。下手すると、『心の声』までも」

「……超能力?」

「んー? よーわからんけど、多分ヒロにわかる話やとそれやろなあ?」


 ただし、少人数だったらあんまり聞こえないらしい。なので、スインドさんだけとかラインさん達とかの場合は平気だったんだとか。

 まだ、クレハはネコマタでも若い年代なので……コントロールには修行が必要らしい。モンスターも色々大変そうだ。


「……ここだ」


 スインドさんが止まった場所は……彼のお店に比べると、『ザ・工房』って雰囲気がある土壁造りの建物だった。

 看板もあって、『ザック工房』と読めたわ。

 ギルドは別だけど……この世界のお店には、自分の名前をつけるのが普通なのかな?


「……ザック。俺だ、スインドだが」


 スインドさんが軽くノックをして……少し待つと、扉がほんの少し、開いたのだ。


「なにさ~。気持ちよく寝てたのにぃ~」


 聞こえてきた声は、男の人だけど……クレハに似た怠そうな雰囲気の持つ話し方だったわ。


「客を連れて来た」

「……客ぅ?」

「ああ。店を開くのに、お前の腕を借りたい」

「……入りなよ」


 スインドさんの言葉に、扉が大きく開いた。

 出てきたのは、だらけた格好をしているけど……背はスインドさんくらい高い。

 髪は短めの黄緑で少しボサボサに見えるわ。猫っ毛というより、無造作にセッティングしてバンダナでまとめていた。

 紫の瞳は垂れ目だけど……私を見ると、何か探るような光を見せてきた。


「……はじめ、まして。ヒロと言います」


 とりあえず挨拶すると、お辞儀から顔を上げたら……ザックさんは、少し驚いてから会釈してくれた。


「……ども。スインドの古馴染みで……工房主のザック言います」


 だらけた雰囲気はあるけど……不真面目さんでは無さそうだ。


「……この女性が、今度店を開きたいと言うんだ」

「……………………女性?」

「…………登録カードです。確認してください」


 どうも、背丈と童顔のせいで……二十代にはあんまり見られていないのは仕方ないのか。カードを見せたら、ザックさんは軽く目を丸くした。


「…………俺らと、タメ?」


 どうやら、彼も二十二歳のようだ……。海外の人もだけど……異世界の人達もなんで童顔以上に整った顔ばっかりなのかな!?


「事実だ。とりあえず、入らせてくれ」

「あ、ああ。……茶くらい出すから、適当に座っててー」


 スインドさんの言葉で、改めて中に入らせてもらうことになり。工房の中は……テレビ程度の知識だけど、鍛冶場のような設備が奥にあって、あとは作業台がいくつかある感じだった。
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