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23-2.正当な理由
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正当な理由があれど、男が女の子の裸を見ただなんて言語道断。
穫は、内線で巧を呼んで彼が慌ててやって来てから、彼には佐和の隣で正座させたのだ。
巧自身にはまだ理由を話していないために、意味がわからないと穫や佐和を交互に見ているが。
「あの~……穫ちゃん? 俺、なんで呼ばれたん?」
「巧さんに色々聞きたいことがあるからです!」
「おん?」
「介抱するためとは言え、佐和ちゃんの裸を見たと言うのは本当ですか!?」
「み、穫!?」
「は、はぁ!? お……俺が……………………あ」
少し前のことだが、なんとか思い出したようだ。巧は頭をガシガシ掻くと、佐和に向き合う形で綺麗に正座してからすぐさま土下座をしたのだった。
「巧氏?」
「不可抗力と言や不可抗力や!! けど、ほんまに着替えさせただけや!!? 眺めてはない!!」
「は……はあ……?」
「けど、巧さん? 謝罪だけじゃないはずですよ??」
「……マジで?」
「マジです」
正直言って、巧が佐和を好きかどうかだなんて、穫にはわからない。わからないが、友人の恋は応援したいのだ。
穫が笑也に片思いしていた時も、佐和は応援してくれたのだから。親友、と言っていいか穫からは恥ずかしくて聞けないが、それくらい大事な友達の恋は応援したい。
だからこそ、責任を取る意味ではないにしても巧の心情もはっきりさせておきたかった。
「……え? 俺何すればええのん?」
「率直に聞きます。巧さんはなんとも思わなかったんですか??」
「俺が……琴波《ことは》さんに?」
「可愛くて綺麗な女の子に何にもときめかなかったんですか!?」
「!……お、おお。そーゆーことか」
「そーゆーわけです! 私は笑也さんのとこに行きますので、場所は貸します」
「おん。わかった」
「み、穫……?」
「ちゃんと話し合ってね?」
と言うことで、穫の出番はここまで。
佐和が助けを求めるような感じではあったが、しっかり話し合った方がいいからお邪魔虫はここで退散だ。笑也のところに行くと、またいつものように腐海の森状態だったため、羅衣鬼に頼んで大雑把に掃除をお願いしてから笑也を発掘した。
「や、穫ちゃん?」
発掘してから、穫はインスタントのミルクティーを淹れて、笑也にも佐和と巧の事を話したのだ。
「巧と琴波さんがねー?」
「私は佐和ちゃんを応援します」
「うん。うまく行くといいけど」
「いってほしいです」
あの様子だと、心配する必要はなさそうだが。
ピンポーン。
インターフォンが鳴ったので、誰だろうと笑也が確認しに行くと。笑也は苦笑いしながら振り返った。
「ちょっと久しぶりのお客さんだよ?」
来い来いと穫を手招きしたので、誰だろうとモニターを覗くとすぐに声を上げた。
「斎さん!」
万乗の本家当主であり、穫とは遠縁の間柄の女性。
そして、呪怨の事件が終わってから、分家の水無とは婚約したそうだが。
数ヶ月ぶりに、こちらにやって来たのだ。
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