【完結】パンでパンでポン！！〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

第88話 お休みのモーニング

「じゃじゃーん！！」


　おうちに戻ったら、さすがにおかあさんたちも起きていたわ。まだしょぼしょぼだったけど……宙太そらたがぐずってたの。おなかがすいてたんだって。

　だから、おかあさんが宙太にミルクをあげている間に、あたしとおじいちゃんで持ってきた『モーニングセット』をテーブルに並べたの。


「俺と桜乃さくので作ったんだ」

「あら、本当？」

「桜乃も？　疲れてたんじゃないの？」

「だーいじょうぶ！」


　さっき、美濃みのさんからひと口ってパンを食べさせてもらったんだよね？　樹いつきおじいちゃんのときみたいじゃないけど、元気いっぱいなんだ。それは、おかあさんやおばあちゃんにはナイショだけど。


「そーいや、涼太りょうたは？」

「あれー？」


　ちょっと探したけど、おとうさんがいなかった。あたしとおじいちゃんが抜けるときは、ぐーすか寝てたのに？

　すると、足音が聞こえてきて……おとうさんがやってきたわ。


「悪い。トイレ行ってた。……あれ？　朝飯？」

「よぉ、涼太。一足先に俺と桜乃で作った」

「モーニングセットだよ、おとうさん！」

「！　そうか。ありがと、親父に桜乃」


　あれ？　なんで、泣きそうになっているんだろう？

　なんか変なことしたかな？　でも、おとうさんは泣かずにあたしのとこにきて、頭をなでてくれたわ。


「「「「「「いただきます」」」」」」


　けど、朝ご飯をみんな一緒に食べるのって……ずっとしてなかった。

　お店がお休みのときも、おとうさんとかすっごくいそがしそうにしているんだもの。なんでかな？　って今日聞いてみていいかな？

　でも、今はごはん！

　バターで金色にかがやいてるトーストに、ゴロゴロ苺のジャムを乗っけて……ひと口食べれば。


「おいひー！！」


　ちっちゃい頃はバターよりジャムだけで食べてたけど。

　ふたつが一緒だと甘いけどしょっぱいのもあって……すっごくおいしいの！！

　ぱくぱく食べちゃうんだけど、おやさいも大事だから……サラダとかスープも食べた。どっちもおいしい！！

　おじいちゃんもだけど、美濃さんと作ったごはんってなんでこんなにもおいしいんだろう。


「んー！　美味しいわ！　ゆで卵も半熟加減すごい！！」


　おかあさんにもすっごく喜んでもらえたわ！

　おばあちゃんもおとうさんもぱくぱく食べてくれる。

　お休みのモーニングセットは大成功だわ！

　できたら、今日もう一回くらい美濃さんとパン作りたいなあ……楽しいもん。

　でも……宿題もうちょっとがんばってから、おじいちゃんに大丈夫か聞こうって決めたわ。