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第38話 シナモンロール仕上げ②

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 型に入れるために、棒になっている生地を切るんだけど。

 そこは、美濃みのさんがやってくれることになったわ。固いから子ども用の包丁だとあたしがケガをするかもだって。

 痛いのは嫌だから……ここは見学ね?


『ほい……ほい』


 美濃さんは、トントンと音を立てて切っていくわ。切ったところから……黄色い生地と茶色のクリームでぐるぐる巻きになっていたの!! かわいい!!


「かわいい!!」

「巻き加減と発酵次第だが……凸凹にならんよな?」

「でこぼこ?」

桜乃さくのはどう焼けると思う?」


 おじいちゃんからの宿題だわ!

 ちょっと……がんばって考えてはみたんだけど。

 パン作りをはじめたばっかりのあたしじゃ……ちょっとしか考えられなかった。


「ふくらむ?」

「その膨らみが普通じゃねぇんだ」

「うーん?」

『ほほほ。焼いてみたら、すぐにわかるえ? 桜乃、また時間短縮クイックを頼みたい』

「はーい」


 すぐに時間短縮クイックをしていくと……生地が型の中でぷくーってふくらんでかわいくなっていくわ!!


『これを焼きに入れるとの?』


 おじいちゃんがオーブンに入れてくれたのを、待っている間にちょっとお片付けともうひとつ。


「……こなのお砂糖?」


 それにちょっとのお水を、美濃さんが用意したの。


『そうじゃ。仕上げに『アイシング』と言うものをシナモンロールにかけるのじゃ』

「……あいしんぐ?」

「ばあちゃんが作ったりしてるだろう? 色んな色の、表面がツヤツヤしてるクッキー」

「!」


 わかったわ。パンにあれが大事なのね!

 けど……色をつける道具とかはなかったわ。


『ほほほ。下手に色をつける見栄えが悪い。今回は白が良い』

「そうなの?」

「基本的に茶色だからな? カップケーキじゃねぇ」


 粉砂糖をたっくさんボウルに入れて……ちょっとずつお水を入れると、すぐに溶けて。

 どろどろになったら、パンが焼けたわ!


『さてさて……冷ましてからが仕上げじゃ』


 美濃さんが、シナモンロールを出したんだけど。

 おじいちゃんの言ったとおり、ぼこぼこしてた!!

 ふんわりじゃないよ!?

 あと、ほんとーに茶色い!!

 でも、サクサクしてて……おいしそう!!

 型から出した時は、ぽんって取れたわ!!


「わぁ!!」


 なんか、ぼんってふくらんだのとか。

 ぐるぐるがそのままとか。

 いろんな焼けたのが出来たわ!!

 これに……お砂糖を溶かしたの、どうつけていくの?

 美濃さんを見ると、あのあんベラでお砂糖を少し取って。

 お絵描きのように、ぬりぬり塗っていったわ!?

 かわいい!!


『さあ、桜乃も。たくさん塗り過ぎては甘いだけじゃ』

「はーい」


 だから、美濃さんのを見ながら真似っこしたの。
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