無能を装って廃嫡された最強賢者は新生活を満喫したい!

えながゆうき

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確認した方が良さそうだ②

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 それほど間を空けずに、次の団体が飛び出して来た。今度は俺とリリアがグラスウルフが飛び出したタイミングでストーン・アローの魔法を放った。
 数十本の石の矢が一斉にグラスウルフに襲いかかる。あっという間に魔石に変わった。

「恐ろしいな、お前たち……」

 レイザーさんがつぶやいた。マルチダさんは首を左右に振っている。それなりに手加減したつもりだったけどダメだったらしい。今度マルチダさんに普通のストーン・アローを見せてもらおう。

「さすがはコリブリの街の冒険者。王国内でも五本の指に入るほどの冒険者ギルドに所属しているだけはありますね」

 サンチョさんが感心した様子で声をかけてきた。どうやらそのまま休憩に入るようである。やはりコリブリの街は、冒険者がたくさん集まる、国内有数の冒険者ギルドがある街だったようである。俺たちの選択に間違いはなかったようだ。

 散らばった魔石を回収すると、俺たちもその辺りに座り水を飲んだ。今日は天気がいい。雨が降るよりかはずっと良いが、汗をかくのが難点だ。
 休憩中、アナライズに反応があった。

「だれかが向こうの茂みに隠れている。たぶん、こっちの様子をうかがっているんじゃないかな?」
「本当ね。一人で何をしているのかしら? ――どうやら緑色の服を着てるみたいね。パッと見た感じではどこにいるか分からないわ」

 馬車の高さまで飛び上がって確認したリリアがすぐに降りてきた。相手に姿を見られないようにしたのだろう。

「どう思う?」

 ライナーが聞いてきたので、俺の意見を返す。たぶん、みんな同じ意見だろう。ライナーも分かっているはすだ。だが、認めたくないのだろう。

「盗賊団の斥候だろうね」
「やっぱりか」
「そりゃそうだろ。こんな危険な草むらの中に一人で、しかも緑色の目立ちにくい服でいるんだぞ」

 レイザーさんが締めくくった。明らかに、ライナー、ルシアナ、ベールスの顔色が悪くなった。どうやらまだ覚悟が決まっていないようである。

「盗賊団に会うまでにはまだ時間がありそうだ。それまでに覚悟を決めておけ」
「ためらうと死ぬわよ、あなたたち」

 レイザーさんとマルチダさんがしっかりと釘を刺していた。三人はまだうなり声を上げていた。

「レイザーさん、グラスウルフがいる草むらに隠れていて大丈夫なんですか? 襲われたりしないのですか?」
「そうだな、グラスウルフは匂いに敏感だからな」
「匂いに敏感?」
「たぶん、臭いんだろう。グラスウルフが寄りつきたくないほどに」

 レイザーさんの言葉を聞いたリリアの顔が年老いた老婆のようにクシャクシャになった。どうやら匂いを想像したようである。俺の顔も同じようになっていたに違いない。なるべくなら近づきたくないな。

 草むらに盗賊の斥候らしき人物が隠れていることはサンチョさんにも伝えておいた。驚きはしていたが、俺たちが事前にそのことを察知していることで安心している様子であった。

「今から来た道を引き返しても、途中で野宿することになるでしょう。そっちの方が危険だと思います。それで、このまま進もうと思うのですが、どうでしょうか?」

 サンチョさんが俺たち臨時パーティーのリーダーであるレイザーさんに尋ねた。

「進みましょう。この人数を見て、襲ってこない可能性も十分にありますからね。それにこの道沿いにはまだ盗賊団の本体がおらず、品定めしている段階かも知れません」
「なるほど。これから報告して、明日の襲撃の手はずを整えている可能性もあるということですね。それではこのまま進みましょう」

 サンチョさんはうなずくと、そのまま次の町に向かって出発を指示した。
 結局、その日は町にたどり着くまで盗賊団の襲撃はなかった。
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