必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
65 / 541
15♡

15♡

しおりを挟む

─葉璃─



 聖南のバッシングは日に日に沈静化されつつあった。

 怪我をしてから目覚めるまでは心配の声が多かったはずなのに、聖南が退院する頃からは過去のスキャンダルをも取り沙汰されてひどい言われようだったらしい。

 俺は意地でも、聖南に関する報道は見なかった。

 通学の時の電車内とか学校での女子達の会話は嫌でも聞こえてきてたけど、聖南の言葉だけを信じたかったから、嫌な情報は右から左に聞き流しておいた。

 さすがに聖南不在でのメディア出演は出来ないみたいで、収録もの以外ではめっきりCROWNを見なくなった。

 でも、ドラマで活躍するアキラさんとケイタさんが普段通りにラジオで喋ってるのを聞くと、バッシングなんて屁とも思ってない様子だった。

 それどころか、「セナ早く戻ってこーい!」と呼び掛けたりしていて、CROWNの仲の良さが窺える内容に世間の目も和らぎ始めてる。

 春香が言ってたように、聖南が関わった事のある業界の人はみんな揃って擁護派で、悪評に相槌を打っているのは何も知らないコメンテーターと世間だけ。

 過去に関係があった女性達も軒並みプラスコメントしかしないせいで、報道する側もそれ以上話を大きくしようがなかったみたいだ。

 聖南バッシングが長引きそうな気配にヒヤヒヤしてたけど、近々早めに終わりを見そうだ。

 毎日少しだけど連絡のやり取りをしてるからか、俺は例えようのない不安を感じなくて済んでるし、それは俺への聖南の計らいかもしれないと分かっていてもその気持ちが今はすごく嬉しい。


「今日は筋トレの日かぁ」


 聖南から、ランニングマシーンに乗っている姿の写メが送られてきて、元気そうな姿にホッとする。


『葉璃も自撮り送って』


 ……とメッセージ付きで来たけど、俺が自撮りなんか出来ないの分かってて言ってくるから困ったもんだ。

 筋トレの邪魔しちゃいけないって俺の中で理由を付けて、自撮りの件はスルーしておいた。

 笑って既読無視をしていると、すかさずまたメッセージが入る。


『はる、好き』


 絵文字や顔文字をほとんど使わない聖南のメッセージは、直接脳内に彼の声で再生される。

 はる、好き。

 俺の名前の漢字がややこしいから、いつもひらがなで「はる」と打つ聖南が愛おしい。

 背が高くて一見怖そうなチャラ男だと認識してた第一印象が、今やその影もない。


『聖南さん、すきです』


 緊張しながら返事を打ったら、肝心なところで変換をミスってひらがなになってしまった。

 でも聖南は、こんな俺を好きだって言ってくれる。

 ジムで筋トレしてたはずなのに、すぐに「聖南♡」からの着信があった事で俺の心は満たされていく。

 泊まりたいってゴネた日から、もう二週間が経とうとしていた。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

すべてはあなたを守るため

高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...