必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 memoryと所属事務所に迷惑がかかるため絶対に他言無用だと言い伝え、葉璃がハルカの影武者だった事を話すと、アキラは「あぁ!」と何やら大きな声を上げた。


「だからか! なんか見た事あるって思ってたんだよな」
「そうなんだ。 あの生放送の時から騒いでた相手だよね? すごい、よく付き合えたね」
「俺もすげぇと思う。 今でもまだ半分夢見てるみてぇ」
「あのハルカとかぁ! 良かったなぁ、セナ! ただしばらくそのハルって子とゴシップ撮られないようにな、今が踏ん張り時だ」
「あぁ、分かってる。 気付かれにくい相手だし万が一にもちょうどいい」
「そうだな」
「?」
「?」


 葉璃とツーショットを撮られる心配はないと断言した聖南に、どこからそんな自信がと不思議がるケイタと成田は顔を見合わせた。

 説明する際、葉璃が男だと伝え忘れたために、それを知る聖南とアキラだけはうんうんと共感していた。

 それからすぐに四人は解散し、それぞれ自車でマスコミを交わしながら順に事務所を出た。

 聖南のやるべき事が見えた今、ぼんやりと時間が過ぎ去らないよう、葉璃にメッセージを打つ。


『葉璃、俺はお前がいるから前を向ける』


 するとすぐに、何があったのかを察したような文面が届く。


『聖南さんを信じています。聖南さんなら大丈夫です』


 今の聖南に何よりも勇気をくれる返事が返ってきて、ひとりニマニマしてしまった。

 その日は真っ直ぐに帰宅したが、以降、無理のない範囲で筋トレをしたり難しい本を読み漁ったり、医師の許可が出てからはジムで体力作りに励んだ。

 合間には葉璃のための紅茶を淹れる練習もした。

 時には葉璃と通話をして元気をもらって、聖南なりに有意義に時間を費やした。

 傷口の痛みは、二週間が経つ頃には完全になくなっていた。





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