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小話系
フェティッシュ 4
しおりを挟む厚木からのご褒美にまんまと釣られた吉継は、厚木に言われるまま変なポーズを取っていた。「こっちにこい」と言われて、隣に座る。「こっちだ」と厚木の膝に乗り上げた時も、素直だった。
腰に手がかかり、下着の上から尻や足を撫でられてようやく、あれ?と思った。
「すごいな」
「え…なにがですか」
「これだけ動いてもレースがずれない」
言われてみれば、確かに。吉継が穿くボクサーパンツは、座ると一分丈が股の付け根でわだかまって、ブリーフと同じになる。
吉継としては、パンツとはそういうものだ。厚木がレースの形状に感心していても、ふぅんと思っただけだ。
「あっ、厚木さん」
「どうした」
指が裾を割って入り、つけ根を撫でていき、反対の手は腰から下りて尻の肉を揉んでいる。
「どうした…って…」
厚木は手を止めることもなく平然として吉継の胸に吸い付く。
びっくりして固くなった体を、ソファに押し倒され、足の先から指の股まで撫でられた。
「んん…」
「感じるのか」
「…わかりません…」
性感を煽るような触り方でも、直接的な場所でもない。下着の中に侵入してきた手も、
その手に性の匂いはなく、ふくらはぎに太もも、足のつけ根…と体を撫でられて、気まぐれに唇があたる。気持ちいいが、身の置きどころはない。プレイでもない、興奮もなく、緩やかに優しく、唇と手に撫でられるだけ。そういうものには慣れていない。そうして頭の先まで全身に骨ばった手が辿り終える。
「もういい」
手を引かれて体を起こす。
「厚木さん…なに…」
「ブラッシングだ」
「なにそれ…」
よくわからない。
でも。
「癒やされましたか」
「ああ、ありがとう」
もう着替えていいと言われて、早速レースに手をかけ、いち早く脱ごうとした吉継に、「それはおまえのだ。穿いておけ」と声がかかる。
「いらないです」
「なぜ、穿き心地は悪くないはずだ」
「見た目が嫌です」
「どんなものがいい」
「どんな…普通の…」
下着にこだわりがないので、なにも浮かばない。
体を動かすときには、動きやすそうなサポーター、普段は3枚セットで綿素材のどこにでもあるやつだ。体が大きいので、サイズさえ合えばなんでもいい。そういえば、厚木が無理やり押し付けてくる下着はいつもサイズがぴったりだ。
「普通の、か…」
厚木は少し考えるような素振りをみせ、スマホを取り出して誰かと話をはじめた。英語なのかそれ以外なのか、日本語ではなかったので、何語で何を話しているのかわからない。
その隙にさっさとレースを脱いでしまった。脱いだレースは、持て余して元の箱に入れた。捨てなかっただけ大躍進と言えた。
厚木も見ていたが、なにも言われなかった。
ご褒美は決めていた。
仕事している隣に座り、ついでにゴロリと膝に頭を乗せる。
すると骨ばった手が頭を撫でてくれる。
そういえば、さっき厚木は、吉継の体を撫でることをブラッシングと言っていた。癒やされたとも。
さっきは全くピンとこなかったが、あれのことか。飼い犬とかの毛をブラシで梳いてコミュニケーションを取るという。
吉継は厚木とコミュニケーションを取っていたのだろうか。厚木は機嫌がよさそうに見えた。厚木の嗜好は本当に意味不明だ。ただセクハラが好きなだけにも思える。
それより、吉継の”いい”ところをもう少し掘り下げてくれてもいいと思った。
「いいって言ったのに…」
「言ったが、なにが不満だ」
「…」
スマホで誰かと話をしているのに、吉継の独り言を聞いていたうえに、返事まで返してきた。またスマホで通話を始める。
不満とまではっきりしたものではない。厚木に”いい”と言われたら、”好き”と言われたのと同じではないかと思ったのだ。そう言って欲しかった。それなら吉継にもわかるし、厚木に好きだと言われたら嬉しい。単純に、好きだと言ってほしかっただけだ。しかし、厚木はわけのわからないことしか言わなかった。厚木は偏屈で、変態でいけ好かないし、ちょっと普通じゃない。変な男を好きになってしまったと思っている。とはいえ、吉継は困ったことに厚木以外を受け付けない。
でも、ご褒美で言ってもらうのは違う気がする。
「厚木さんは変だと思って…」
変態と言わなかったのは吉継の気遣いだ。
「お前がいうな」
「む…」
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