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小話系
フェティッシュ 3
しおりを挟む「見た目…」
「ああ」
吉継は、ドヤ顔の厚木に、これ以上は喋ってほしくなかった。
スタート地点からわからないものが、ゴールへ向かうにつれて理解が深まっていくとは到底思えない。つまり無駄なのだ。
それよりも厚木さん、お腹が空きました。
という口下手な吉継の、やめてくださいと切に懇願する表情は、厚木にさらなる燃料を投下しただけだった。
「お前の顔は地味なつくりで、陰鬱としている。にも関わらず、見ていて飽きのこない不思議な顔をしている。そして気づいたのは、地味で主張しない顔のパーツ配置は見事な黄金比だ。顔の横に慎ましくついた耳たぶは風に揺れる木の葉のようで、そのように見てみると、お前が自然の作り上げた美しい景色のように見えてこなくもない。多少表情筋は死んでいるが、その目は夜空を思わせる。唇は花の花弁、肌は琥珀の光沢があり、触るとなめらかだ。体のバランスもいい。高い身長に、長い脚、締まった足首、上に続くしなやかなふくらはぎとふとももは弾力があっていい、なにより尻の形がいい。空間を躍動感で切り込むラインだ。触り心地も申し分なく、しっとりと手のひらに馴染む。腰は、力強さと優美さを兼ね備えてセクシーだ。背中は繊細な筋肉が浮かび上がり、翼が生えているかのように思えるうえ、体もほとんど黄金比に近い。食べては寝てを繰り返しているように見えるが…お前は神様にどのように取り入ってその素晴らしい体を手に入れたのか…。いままで、どんな下着を穿いても品を損なわずに穿きこなしてきたな。その野暮ったい服ははっきり言って邪魔だ。お前は、裸体が一番美しい。着飾るなら、そのレースが適しているだろう。まあ、総じてお前の体は、自然が彫り上げた芸術品…、完璧だ」
「????」
厚木は、働きすぎて妄想の吉継が見えるようになってしまったのだろうか。心配だ。何一つ共感が生まれない話を長々と聞かされて、吉継の頭はエンストを起こした。見る人が見たら頭から煙が出ているはずだった。
異星人が話す言語を理解しようなど、天才学者、有識者のみなさんが揃っても難しいことだろう。ごく平凡な一般市民の吉継にわかるわけがない。ポイッと匙を投げた。
「ほら、穿いてみろ」
「…はぁ、はい…」
考えることを放棄し、絶無の表情となった吉継を、厚木が見逃すわけがなかった。
着替えるために脱衣場へ行こうとして「ここでいい」と言われたときも、素直にその場でシャツのボタンを外していた。
仕事帰りにそのまま寄ってきたので、白いカッターシャツにスラックスという、社会人のごく一般的なスタイルだ。野暮ったいといわれたそれらを一枚ずつ脱いでいく。無防備という以外に例えようもない姿が、厚木の目を愉しませていることも知らず。
吉継は今日も丸め込まれて、くすみの入ったブルーレース下着の着用に至った。
「これでいいですか」
「ああ、いいな」
「…」
厚木の、”いい”が知りたかっただけなのに、どうしてこんなことに…。
「ウエストはキツくないか」
「ちょうどいいです」
本当に気持ち悪いくらいちょうど良く、体に沿っている。肌への当たりも普段吉継が穿いている綿素材とは違う。違いがわかっても、どう違うのかはわからない。見た目はレースで、厚木に丸め込まれなければ一生穿かないタイプのデザインなのに、穿いてみると、悪くない。
「ならいい、座ってみろ」
「はい」
言われた通り、ソファに座る。
「立ってみろ」
「はい」
組体操のようなポーズもさせられ、普段開かないくらい広く足を開かされたりした。
厚木がジロジロ吉継の姿を、下着を見るので、居心地が悪い。
「見ないでください」
「なぜ」
「嫌だからです」
「まあ、そう言うな。あとでご褒美をやろうな」
「ご褒美…」
厚木の甘言に乗せられた吉継だった。
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