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受け入れるもの、変わるもの
吉継の休日
しおりを挟む吉継は、洗濯機から取り出した下着を見て、眉をひそめた。
この下着としての機能は果たさないのに、下着と名乗る布を履いてプレイしたのは昨日のこと。
厚木の前で裸になるのは初めてではないが、あれほどお尻を強調していれば絶対に揶揄されて好きにされると思っていた。
履くか帰るか。酷い交換条件だと思った。吉継には厚木しかいない。いつも足元を見られていると感じている。
吉継は厚木のパートナーだが、厚木はその気になればSubなどいくらでも相手にできるDomだ。吉継がゴネるからパートナーという名前をくれただけで、パートナーになって浮かれている吉継で遊んでいるのだ。
吉継は療法士とのプレイも、厚木がいうからしているのに…。
療法士とプレイをすればそれだけ厚木のプレイが変だとわかる。厚木は吉継が自分から離れるのを待っているのかもしれない…と思ってふて寝していたのだ。
でも、昨日の厚木は、なんだかいつもと違った。
厚木といえば、噛むか吸うか、からかうかである。
あんなふうに綺麗だとか言われながら優しく触られ、見ているだけでいいと言われたのは初めてのことだ。
いや、生まれてこの方、誰からも綺麗だとかなんだとはいわれたことはない。
吉継には、”笑いものにされる”ために何かをすることは理解できても、それ以外にも”Domの満足”があることはわかりにくいことだ。
ただ、嫌ではなかった。
吉継が厚木から欲しかったものだった…ように思う。
とはいえ、厚木は信用ならない。すぐに手のひらを返す。
これはとてつもなく変な下着だが、厚木が喜ぶのならちょっとは履いてあげてもいいかと思えるくらいだった。
この下着はマンションの小さなベランダには干せない。視界に入れたくないが、部屋干しにするしかなかった。
洗濯物を干し終え、ベッドと本棚の隙間に落ちて放ったらかしにしていたスマホを救出する。厚木に執着しているが、あんな性格の厚木にプレイ以外で色々言われるのは鬱陶しい。なので何を言われても携帯する気になれない。
電源の切れたそれに充電器を差し込んだ。
散歩がてら近くの公園へ行き、外周を気がすむまで走る。
吉継は何も考えずに体を動かしている、この時間が好きだ。
だいたい週に一回、市民体育館で開放バレーに参加している。上手い人も下手な人もみんな楽しんでプレーするので、選手としてプレーしていたときよりもバレーの面白さを感じている。吉継には今のほうが合っていた。
マンションに戻り、汗を流す。充電ができたスマホを見ると、長い間放ったらかしにしていたので、着信履歴がすごいことになっていた。ほとんどが厚木からで、時々笠井と山科から。
山科には折り返し電話をかけ、電源が切れていたことを謝る。吉継が元気だとわかると安心してくれたが、山科に元気な姿を見せて欲しいと言われたら断れない。
明日の仕事帰りに立ち寄ると約束する。
厚木にも電話したほうが良いかと迷ったが、やめておいた。
この履歴を見る限り、またすぐかかってくる。
昨日の厚木を思い出す。今度かかってきたらちょっとは出でもいいかと思いながら。
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