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めでたし、めでたし?
しおりを挟む背後に、怒りの青い炎をメラメラと立てながら、
仁王立ちしてる美人って………。
怖い怖い。ガクブルもんでっせ……。
「だってさ、ケイトリン、
いくら僕のことが好きと言っても、
皆に意地悪するのは~~~って、
思うし~、ペロンもそう思うよなっ?」
イヤイヤ、ハブとマングースの闘いみたいやねん。
嫌や~!巻き込まへんでんな~~!!!
「さて、殿下、いつかケリをつけなくてはいけないと思っておりましたが……。」
うっひゃ~~!
青い炎の次は、ブリザード?
やっぱ、ブリザードでんな?
「幼き頃から、呼ばれては、待ちぼうけされたり?
池に渡り鳥を見に誘われたと思いきや、落とされたりしましたね。
それと、派手な顔にドレスが地味過ぎるとか散々泣かされましたね?
数え上げたらキリがないですね?
本当に、姑根性丸出しで、アレコレ仰られましたよね?
そうそう、令嬢方や、クリスティを嫉妬のあまり苛めたとか?
父や母から、 サボり癖が酷いクリスティの言動を見張るよう言われてるだけですし?
令嬢方?わたくし、売られた喧嘩は買うようにしておりますの。
再度、その、足りない脳みそに説明しますね。
……………
王太子妃なんて、クソくらえ!!こっちから、お断りします!
では、ごきげんよう。」
「ま、待ってくれ!ケイトリンっ。」
アブデン嬢の腕を掴み、引き留めようとする殿下に、
『ドガッ!!』うわっ……アブデン嬢の見事な右ストレートアッパーが決まった……。
コレって、王家に対する不敬罪では?
「で、殿下~!」
ど、どないしよっ??やばすぎるねん!
白目剥いてる~!
誰か~!殿下が~!って、人を呼んだら、捕まってしまう?
見なかったことにして、逃げるべき?
はっ、ケイトリン嬢を置いて行く訳には~~!
それは、やったらあかんねん。
人として、どないでっしゃろう?
「ケイトリン嬢、一緒に逃げましょう!」
「はいっ♪喜んで!」
えっ?どこぞの有名居酒屋?
待て待て、ドアの前は、近衛騎士だっ~!
落ちつけってば!
いやいや、逃げれへん、無理だっちゅうねん!
いきなり、ドアが開き、そこには、王妃様が……あかん、終わってもうた…。ち~ん。
「ケイトリン、久しぶりよのう?」
「叔母様、お久しぶりでございます。」
「ミカエルは?」
「なにやら、急に倒れられまして……」
「馬鹿息子が迷惑をかけたの。ケイトリン、考えは、かわらぬのかい?」
「はい、わたくし、婿殿と、我がアブデン家を護り、王家をお支えいたします。
それでは、これにて失礼いたします。」
ん?婿って、美味いんかいな?って、思っていたら、
ケイトリン嬢には腕を、ガシッと掴まれ、(かなりの握力で、腕折れそうねん)そのまま拉致られ……まさしく、ドナドナでっせ~~!
そのまま、アブデン公爵領に拉致られ、阿呆になりそうなほど、
(元から阿呆やって?えらいお世話だっちゅうねん!)
教育係やら、アブデン家のかたに、色々と詰め込まれ、
気付けば、はや数年……。
一度も、男爵家に帰らず、(近々、孫を見せに帰ろうかな~)
ケイトリン嬢によく似た娘(オレに似なくてよかったねん)と、
相変わらずの美貌の持ち主のケイトリン(ケイトリンって、呼び捨てにせえへんと、怒られるねんで)
に囲まれ、公爵領の運営を任されている日々を過ごしている。
それでも、やっぱり、
オレの地味さはかわらんし、どうしてこうなったか、いまだにわからんねん。
ひとつわかるのは、初恋の相手が忘れられへんのか、未練たっぷりな王太子殿下が、時々、奇襲攻撃かけにきては、ケイトリンに
追い払われてるねん。
きょうびの小学生でもせえへん、好きな子に意地悪するから、嫌われるんだっちゅうの。
「オレの奥さんに、なにすんねん!」って、強く言えたらいいんやけど、
王太子殿下にとっては、オレなんて、壁のシミくらいにしか見えへんねんだろうしな。
なぜに、美貌のケイトリンが、オレの奥さんになってくれたんか、いまだにわからへん。
1度聞いてみたら、「女には、秘密のひとつふたつくらいあります。」と、意味深に、笑って言われたねん。
時々、これは、夢でないのかと思ったりもする……。
夢なら、覚めとうないねん。
モブで、壁のシミでも幸せになれるねんで。
しかし、これでええんやろか?
嫁さんソックリな娘を、膝に抱えて、自分の頬をツネってみたら、やっぱり痛い……。まっ、幸せだから良しとするか……。
ほな、皆さんも、幸せになってんか~!
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