上 下
7 / 30

7話 カード戦士、受付嬢から自分の評価を知る

しおりを挟む
冒険者ギルドに到着すると、周囲にいる人々が俺に注目する。
俺の思い過ごしというわけではなく、明らかに俺を注視している。

「あいつら、勧誘ついでに俺の追放を話したな」

時折、《あいつがカード戦士?》という言葉が、周囲から聞こえてくる。
昨日の今日で、情報がここまで拡散しているとは。

同業者達からの視線の大半が《同情》のようだが、一部ニヤニヤして気持ち悪い笑みを浮かべる男女もいる。ああいった手合いと関わると碌なことにならないから、視線を合わせないようにしよう。

あいつらは……いた!

俺のいる正面入口から左手の方向には、冒険者達の憩いの場となる《食堂》がある。ここの食堂には区画分けする壁などなく、高さ五十センチ程の洒落た柵で周囲を囲っているだけのため、ここからでも奴等が何をしているのかがわかる。ロゼスト達は、同年代の女性二人と談笑していて、俺に気づいていないようだ。

幸い、俺の行く受付は、反対方向にある。
奴等に見つからないよう、受付にいるリダさんのところへ行き、冒険者カードを更新しておこう。

俺が受付の方を見ると、丁度リダさんが俺に向けて手招きしているのが見える。彼女は獣人族で、男女共に惹かれる程の綺麗な容姿をしている。獣人の狐種に入るから、黄色い髪と特徴的な茶色い耳と尻尾、それらの先端部が白くなっていることもあって、かなり目立つ。十八歳で容姿端麗、冒険者達からも頻繁にナンパされている。俺がそちらに行くと、リダさんは開口一番追放の件を話してきた。

「フィックス、《追放の件》は既に周囲に知れ渡っているわよ」

相変わらず、ストレートな物言いだ。
でも、この人の場合、全く悪意を感じない。

「やはり、そうですか。俺に同情を向ける視線が多かったので、すぐにわかりましたよ。あれから隠れ家へと帰り、一人部屋内で自問自答したおかげもあって、状況を受け入れることができました。かなりショックでしたが、もう吹っ切れています」

いつまでもクヨクヨしていると、スラム街の子供達から叱られる。ロゼスト達を含めた俺達四人は、スラムの子供達から尊敬の眼差しでいつも見られている。あいつらが去った以上、俺がしっかりしないといけない。

それにしても、リダさんのピクピク揺れ動く耳と尻尾を見ると、さっきまで蓄積されていた怒りと悲しみが、少しずつ緩和されていくのを感じる。

「偉いわ、それで良いのよ。ただ、気になるのはスキルね。ここだけの話、ギルド職員達は皆、あなたの偵察能力を認めているのよ。その力だけで言えば、あなたは《五等星》の力を有しているわ」

「え!」
五等星!?
そんな話、初耳だぞ!

「でも、あなたは危機的状態を自力で脱するための強さを兼ね備えていないわ。だから、これまでギルド職員や他の冒険者達があなたを補佐していたのよ。これまでの任務には、最高四等星のものだってあったのよ」

偵察任務、盗賊達の縄張りに侵入し、ギルドの求める物や情報を探し出すため、時にはスパイとして潜入し敵と話し合わないといけない。たとえ、貴重な情報を得たとしても、そこで殺されたら身も蓋もない。言われてみれば、俺自身が単独でそういった任務をしたことがない。必ず、誰かが傍にいてくれたが、あれは俺を影から護ってくれていたのか。

「あなたの能力を考慮すれば、《交渉》《友好》《情報分析》《並列思考》《気配察知》《危機察知》《隠蔽》《潜伏》といったスキルを習得しているはずなのよ」

「何一つ、習得していませんが?」

そういったスキルは、俺が強く求めていたものだ。

「そこよ! これは私の推測に過ぎないけど、原因は恐らく職業《カード戦士》に関係しているわね。本来備わるべきノーマルスキルの力を、職業固有スキルに注がれている可能性が高いわ。そういった事例は、少数ながらあるのよ。そういう意味で考えると、あなたは将来有望よ」

その推測、当たっているかもしれない。

俺には、《カードガチャ》がある。《うんち》や《痛い上での針》カードの効果は、常識を逸したものだ。その効果を現実で引き起こすため、取得するはずだったノーマルスキルの力がカードガチャに注がれていると考えれば納得できる。ただ…

「俺としては、必要最低限のノーマルスキルが欲しかったです」

スキル補正が付けば、俺の力もかなり向上したはずだ。

「ふふふ、そう悲観することもないわ。あなた自身の中に、これまでに築いてきたものが深く刻まれている。さっき言ったスキルも、感覚的にわかるはずよ?」

確かに、剣術や身体強化、気配遮断といったスキルこそないものの、俺はそれらを感覚的に使用できるし、自分に流れる魔力も制御できるから魔法だって行使できる。

「それにここだけの話、《スキル》を取得した際の補正率は、約1.5倍と言われているわ」

その話は、初耳なんだけど!?
補正効果は1.5倍程度、もっとあるものと思っていた。

「スキルを磨けば磨く程、その補正値も上昇するけど、身体に備わる基礎能力を磨かないと、大きな意味をなさないわ。ここ最近、《基礎能力》と《スキル》を同一視する人が増えて、スキルばかりを強化させる人達が多くて困っているのよ。だから、スキルが封印されてしまうと、すぐに死んじゃうのよね」

スキルは、あくまで補助的役割ということか。

「要は、身体に備わっている基礎能力こそが、最も重要なの‼︎」

基礎能力、つまり基礎を磨きつつスキルを熟練させていくことで、本当の意味での強さを得るわけか。

「俺の場合、基礎を磨き続けていけば、冒険者としてもまだまだ活躍できるってことですか?」

俺の問い掛けに、リダさんは優しく微笑んでくれる。彼女は話をする際、その時の感情が、耳や尻尾に現れる。ゆっくり揺れ動くそれらを見ると、強い説得力を感じさせる。

「ふふふ、そういうこと。どう、元気が出てきたでしょう?」

爽やかに微笑むリダさんを見たことで、俺の中に希望が流れ込んでくる。多分、俺とロゼストの強さには、二倍近くの開きがあるだろう。しかし、俺が諦めず修練を人の倍以上も実行していき、更にカードの力を利用して冒険を重ねていけば、奴等を見返すことができるかもしれない。

「はい、ありがとうございます! あ、冒険者カードの更新をお願いします。それと一人で試したいことがあるので、二等星で手頃な討伐依頼はありませんか?」

俺は、自分のカードをリダさんへ差し出す。

「わかったわ、ちょっと待ってね」

本来、冒険者自身が掲示板に貼られている数多くの依頼の中から、ランクに対応したものを自由に選択するものけど、今の俺はソロだ。自分の力だけで、何処まで通用するのかがわからない。だから、ある程度俺の強さを把握しているリダさんに言えば、適切なものを選んでくれるはずだ。

「はい、更新が終わったわよ」

これまでの冒険者カードには、自分の顔・名前・性別・年齢・冒険者ランク・パーティー名・パーティーランク・懲罰などが記載されていたけど、パーティー関係の欄が空欄へと変化している。

「それと……偵察や潜伏に長けているあなたなら、とりあえずこれが妥当かしら?」

リダさんから手渡された依頼票は、魔物の【定期討伐依頼】だった。
二等星の中でも、ソロだと少し厳しいものだ。

【定期依頼 《コボルトの討伐》】
討伐数:パーティー→十体     ソロ→三体 
対応ランク:一~二等星
期限:受理されてから四日以内
内容:
10km程離れた西の森で、コボルトの出現が頻発しています。《コボルト動乱》が起きる前に、皆で削減していきましょう。
報酬:パーティー→銀貨五枚   ソロ→銀貨二枚

俺はスキルこそないが、気配や魔力を消せるし、物陰に隠れて潜伏することも得意だ。なによりも、危険な森内で一人野宿することにも慣れている。期限が四日以内ということを考慮すると、武器カード《イーグルソード》の斬れ味を思う存分試せる!

「ええ、これでお願いします」
「了解。ロゼストから聞いたけど、あなたには《カード化》があるわ。だから、野営に必要な物も一部カードに出来るし、効率性も考慮すれば、十分間に合うはずよ」

ここから、10km程離れた位置にある西の森は広大だ。数多くの魔物が棲みつき、定期的な討伐を実施しないと、《動乱》が起こる。同種の魔物達が大群となって、人のいる地域へ進軍してくる動乱、俺自身それを見たことがないものの、一度起きれば、大きな被害が発生すると言われている。俺としても、動乱を未然に防ぐ仕事に着手出来るのだから嬉しい限りだ。

コボルトは森の浅い区域に棲んでいるから、危険度も低い。調子に乗らず進めていけば、俺一人でも大丈夫だろう。

「あ、この時期、学園生が西の森で実戦を兼ねた校外実習を行っているはずよ。多分、あなたも遭遇すると思うから注意してね」

学生か、もしかしたら俺と同じ年代かもしれない。
王族貴族もいることから、一応気にかけておこう。
必要な物資を整えてから、森へ出発だな。


○○○


「凄いぞ、イーグルソード!」


俺は必要な物を全てカード化させ、徒歩で西の森へ向かった。コボルトの討伐証明部位は耳と魔石、奴等は獣人のなりそこないと言われており、知性も低く獰猛な魔物だ。背丈は百五十センチ程と小柄だが、石斧などを装備しているため、油断しているとやられてしまう。

二時間程で森に到着し、周辺の気配を窺いながら森へ入ったのだが、三十分もしないうちにコボルト三体と遭遇したため、俺は咄嗟にイーグルソードで応戦したが……なんと石斧ごと奴等を袈裟斬りできた。

「恐ろしい斬れ味だ。さすが、鉄の中でも最上位と言われている玉鋼だ。そして、鉄なのに軽いし、魔力も通しやすい!」

どの金属でも、内部に自分の魔力を通すことで、斬れ味を増強させることができる。鉄の場合、魔力の伝達速度はそこまで速くないのだが、ガチャで得られたもののせいか、魔力を剣全体に通すまでの時間が通常のものよりかなり速く感じた。


ありがとう、カードガチャ!
耐久度が0になったら消滅するけど、そうならないよう定期的にメンテナンスを施せば良い。

新たに得たイーグルソードの攻撃力は本物だ。
今の俺にとって、非常に扱いやすい!
これまで短剣二つで魔物達と戦闘していたけど、こちらの方が断然良いよ!

俺は、短剣でコボルトの心臓部から魔石を取り出し、耳を削ぎ落とす。

「食用にならないから、あとは他の魔物や魔獣達に任せればいいけど、こいつらの出現の仕方が妙におかしくなかったか?」

まるで《何か》から慌てて逃げている途中に、俺と遭遇したかのような印象を受けた。しかし、周囲からは強大な魔物の気配や存在感を感じさせない。こういった魔物が周囲にいれば、たとえ魔力や気配を消せていたとしても、その存在だけで周囲を圧迫させる空気感を感じさせるものだ。

どうにも、嫌な予感がする。
もしかして、俺の感覚で拾えない遠方で、何かが起きているかもしれない。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした

水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」 子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。 彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。 彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。 こんなこと、許されることではない。 そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。 完全に、シルビアの味方なのだ。 しかも……。 「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」 私はお父様から追放を宣言された。 必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。 「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」 お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。 その目は、娘を見る目ではなかった。 「惨めね、お姉さま……」 シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。 そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。 途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。 一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。

好きだと言ってくれたのに私は可愛くないんだそうです【完結】

須木 水夏
恋愛
 大好きな幼なじみ兼婚約者の伯爵令息、ロミオは、メアリーナではない人と恋をする。 メアリーナの初恋は、叶うこと無く終わってしまった。傷ついたメアリーナはロメオとの婚約を解消し距離を置くが、彼の事で心に傷を負い忘れられずにいた。どうにかして彼を忘れる為にメアが頼ったのは、友人達に誘われた夜会。最初は遊びでも良いのじゃないの、と焚き付けられて。 (そうね、新しい恋を見つけましょう。その方が手っ取り早いわ。) ※ご都合主義です。変な法律出てきます。ふわっとしてます。 ※ヒーローは変わってます。 ※主人公は無意識でざまぁする系です。 ※誤字脱字すみません。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結済】冷血公爵様の家で働くことになりまして~婚約破棄された侯爵令嬢ですが公爵様の侍女として働いています。なぜか溺愛され離してくれません~

北城らんまる
恋愛
**HOTランキング11位入り! ありがとうございます!** 「薄気味悪い魔女め。おまえの悪行をここにて読み上げ、断罪する」  侯爵令嬢であるレティシア・ランドハルスは、ある日、婚約者の男から魔女と断罪され、婚約破棄を言い渡される。父に勘当されたレティシアだったが、それは娘の幸せを考えて、あえてしたことだった。父の手紙に書かれていた住所に向かうと、そこはなんと冷血と知られるルヴォンヒルテ次期公爵のジルクスが一人で住んでいる別荘だった。 「あなたの侍女になります」 「本気か?」    匿ってもらうだけの女になりたくない。  レティシアはルヴォンヒルテ次期公爵の見習い侍女として、第二の人生を歩み始めた。  一方その頃、レティシアを魔女と断罪した元婚約者には、不穏な影が忍び寄っていた。  レティシアが作っていたお守りが、実は元婚約者の身を魔物から守っていたのだ。そんなことも知らない元婚約者には、どんどん不幸なことが起こり始め……。 ※ざまぁ要素あり(主人公が何かをするわけではありません) ※設定はゆるふわ。 ※3万文字で終わります ※全話投稿済です

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

処理中です...