加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

文字の大きさ
上 下
26 / 61

26話 実習の厳しさ② *リノア視点

しおりを挟む
タルパと化した私を従属化し、主人となってくれたリョウトさん。
彼がいてくれたおかげで、ルティナは生きているし、私は私でいられている。

リョウトさんは私の目標、色々と謎多き人だけど、あの魔力制御能力とギフトの力は本物だ。

聖女様より上手な人を、初めて見た。
でも、ずっと頼っていくつもりはない。
もっと強くなって、私がルティナを守るんだ。
あの子は、魔力量もギフトも恵まれていて、まさに聖女となるべき存在だ。

巫女として選ばれた私自身、あの子のことを親友だと思っているけど、同時に嫉妬の対象でもあった。いつも負けたくないと思い、必死に魔力制御訓練を重ねた事で、制御だけはルティナより優れていると思う。

多分、マクレミーサもルティナの才能に気づいてる。
だから、私たちを囮にしたんだ。

タルパになった私は付近を見渡すと、ルティナがいないことを知り一安心したけど、すぐ近くに自分の遺体があったことで、自分自身の不甲斐なさに情けなくなって泣いた。それと同時に、マクレミーサへの恨みが急速に膨れ上がってきたけど、ルティナの安否の方が気になったから、恨み自体を無理矢理抑え込んだ。

庭にいないからと言って、無事だとは限らない。

私は邸内に入り彼女を探したけど、何処にもいないとわかり、生きているんだと実感したところで、侵入者が邸内に入ってきた。奴らは、『庭で死んだガキのタルパが必ず邸内にいる。探し出して、討伐するぞ』という言葉を聞いて、咄嗟に隠れたけど、結局見つかってしまい絶望に囚われたけど、ルティナがリョウトさんを連れて助けに来てくれた。

ルティナがマクレミーサに罪を背負わされ破門になったと聞いた時、怒りが湧いてきたけど、リョウトさんが今後どうしたいのか、マクレミーサを殺したいのか、包み隠さずハッキリ言ってくれたお陰で、私は自分の心を見つめ直すことができた。

タルパになった以上、私は聖女になれない。
これからどうするか、私の心は決まっている。

【私はルティナの護衛騎士になる】

彼女は、これからどんどん目立つ存在になる。
リョウトさんだって、いつか私たちから離れる。
そうなった時、ルティナを守る存在が必要だ。
私は、もう嫉妬なんてしない。
ルティナが死んだ時、私も一緒に成仏すればいい。

そのためにも、こんな試験なんて1発で合格したいところだけど、今の私はタルパで、闇属性しか扱えない。闇属性は光と違い、謎が多い。闇自体を扱える人が、光よりも非常に少ないからだ。嫌われているわけじゃないけど、謎が多い分、どうしたらいいのかがわからない。それをリョウトさんに相談すると、意外な答えが返ってきた。

『僕の知る限り、闇魔法や闇関係のスキルは、超絶便利だよ。物質だけでなく、思念体すら燃やせる闇魔法[ダークフレイム]、影から影へ移動するスキル[シャドウムーブ]や、闇にアイテムを保管できるスキル[シャドウボックス]とかが良いね。善人の先輩タルパが見つかるまで、君が自身の望むスキルや魔法を取得できるよう、色々と試していけばいいのさ』

自分の望むものを求めるのなら、それを得られるよう自分で色々と試していく、そう言われて納得できた。

ただ、今の時点ではここで役立てられるスキルや魔法もないから、闇の魔力だけでなんとかしたい。そういえば、ヨモギ草は光属性を持っているから、ここで闇の魔力を散布すれば、他の薬草や雑草類とは違う変化を示すかもしれない。リョウトさんのように、まだ自在には扱えないけど、散布するくらいなら出来る。

「やってみよう」

私の周囲にだけ散布すると、色んな草たちがおかしな動きを見せるけど、1種類だけ魔力を仄かに発光して避けているような動きを示した。形から言って、これがヨモギ草だ。周囲には、同じ動きをするものが何個もあるけど、よくよく観察すれば、《か弱い光を輝かせながら華麗に私の魔力を回避する草》《光を発しながら、必死で闇を避けていく草》《闇に力負けして枯れていく草》などがある。

これなら、Cランク以上を選別して採取できる。

焦らず時間をかけて10本を採取して、ディムエさんのもとへ行くと、ルティナの評価が終わっていた。全てヨモギ草ということは、私と似た方法で選別したんだ。

「次、私の採取した草を評価して下さい」

ディムエさんが私の選別したものを観察していくと、何故か身体を震わせていく。何か、間違えた? ううん、私の見立てでは完璧のはずだ。

「こんな事が…Sが3本、Aが4本、Bが3本、全てがヨモギ草…ありえない、初回の合格率は20%程なのに……全く、君たちは期待の大型新人ですね。全員、合格です」

やった!!
1発合格だ!!

「ルティナ」
「リノア」
「「やったね!!」」

私たちは笑顔で顔を見合わせ、ハイタッチを交わす。リョウトさんにもやりたいから、そっちに顔を向けると、何故かハウス入口の方をじっと見つめている。顔も真剣そのもの、何かあるのと思った瞬間、リョウトさんが何かに驚き慌てて、こっちを向く。

「全員ふせろーーーーー!!」
「「え?」」

リョウトさんが私とルティナを捕まえて、地面に伏せた途端、大きな爆発音が聞こえてきて、入口から全身が吹っ飛ぶくらいの暴風が私たちを襲ってきた。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...