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「え、父さんがレインズフォード家に引き取られることになった!?」
今日は、父さんの処分が決まる日だった。そのため僕は王宮へ行っても父さんに会えないから、家でどうなったのかの報告を待っていた。それをオーラフ様が報告に来てくれたのだけど、その結果に驚いてしまった。
父さんは自らの意志ではないにせよ、油断が招いた結果ラフヘッド家に嵌められアリミルス王国の戦争に加担してしまった。その責任で幽閉処分となったそうだ。
だけどその幽閉先を、アレクシス様が魔法騎士を辞めることで引き取ることになったのだという。
ただ一つ良かったのは、レインズフォード家では冷遇されることはないとのこと。むしろアレクシス様が守ってくれるし、僕との面会も自由。父さんと魔力回路不全の薬を作ることも出来るそうだ。
その代わり、レインズフォードのお屋敷からは出ることは出来ない。自由はなくなってしまうが、アレクシス様のところなら安心だ。よかった。
そして翌日には父さんはレインズフォード家へ移るらしい。午後からはヴィーと一緒に家に来なさいとアレクシス様からの手紙を貰った。
それで早速午後にレインズフォード家へとお邪魔することにした。迎えの馬車も来てくれてヴィーと共にそれに乗り込む。
お屋敷に到着すると、久しぶりに見る執事のカールさんが出迎えてくれた。そのままカールさんに案内されて応接間へと移動する。中へ入れば父さんとアレクシス様が待っていた。
「二人共よく来たな。さ、掛けてくれ」
席に着くと、早速お屋敷の使用人さん達がお茶の用意を始めてくれた。たくさんの軽食にケーキ、それから香り高いお茶がカップに注がれる。それを一口飲むと、このお屋敷で飲むいつもの味でなんだかほっとした。昔は高級すぎてびくびくしていた僕も成長したなと思う。
「シモンの処分のことは聞いたと思う。今後、シモンはこの家で過ごすことになるし、私の領地経営にも手を貸してもらうことになる。だがシモンは薬師としての仕事もあるから、リュークと共に存分に行えばいい」
調合室にあった機材はそのまま残してくれるのだそう。今後は僕が自由に使えばいいと言ってくれた。将来薬師の資格を取ったらそこが僕の仕事場になる。
父さんと一緒に調合する時は、このお屋敷に新たに用意する調合室で行うことになるそうだ。
「それとお前たちの婚約の件だが、俺も認めよう。婚約誓約書を用意した。二人で名前を書きなさい」
アレクシス様が用意してくれたその用紙に、ヴィーと共に名前を書く。これを教会に預ければ僕達の婚約は成立する。一週間後には王室が僕のことを正式に発表するそうだ。それに間に合った形になる。
これを明日、アレクシス様が教会へと提出してくれるそうだ。
「それとね、リューク。その、あの……」
僕達の婚約のことも終わると、父さんが何かを言おうとする。だけど歯切れ悪く、口を空けたり閉じたりを繰り返してなかなか言葉にしてくれない。一体どうしたんだろうか。
「俺から言おう。正式に届けを出すことは出来ないが、シモンは事実上私の『妻』という立場になる。二人にもそれを知っておいて欲しい」
「はい? つま……?」
「ち、父上……え、つまり……え!? そういうことですか!?」
ようやく意味が分かったヴィーがガタンと音を立てて椅子から立ち上がる。まだ僕は飲み込めていない。
つま。つまってどういう意味? 僕はヴィーと父さんたちを交互に視線を動かしているだけ。ヴィーだけわかるなんてずるい。
「リュークはまだわからないか。よく見ていろ。こういうことだ」
アレクシス様は父さんの顎をくいっと持ち上げると、父さんの唇にちゅっと音を立てるキスをした。
へ? キス? えええええ!? つ、つまって、『妻』!? え、なに!? 父さんたちってそういう仲だったってこと!?
「ちょ、アレクっ……」
「こうでもしないとリュークがわからないみたいだからな」
「ばっ……言葉でも説明出来ただろう!?」
「こうした方が早い」
「ぐっ……リュークの前で何てことをっ……!」
「ははは! お前のそんな顔は久しぶりだな」
二人の雰囲気は今までとは全然違った。仲が良いことは知っていたけど、前は一線引いていた感じがあった。でも今はそれが全くなく、二人の距離も凄く近い。
「ま、まさか、昔父さんに好きな人がいるって言ってたの、アレクシス様のことだったの……?」
「ぐっ……そう、だよ」
真っ赤になってそれ以上何も言えなくなった父さんに代わって、アレクシス様が二人のことを教えてくれた。
学園時代の時、友人から恋人になったらしい。でもアレクシス様は後継を残さなければならず、マリア様と結婚したそうだ。マリア様も父さんたちのことは知っていたらしく、亡くなる前に父さんにアレクシス様のことを頼んでいたらしい。
その意味は父さんがアレクシス様と結婚してほしいということ。マリア様は自分のせいで二人の仲を引き裂いてしまったと思っていたそうだ。
「マリアが引き裂いたとは思っていないし、というかマリアが知っていたことも私は知らなかったんだ」
「マリアの要望だったからな。俺も堂々とシモンを迎えられた。この家から自由に出ることは出来ないが、シモンはレインズフォード家に嫁いだことになる。それにリュークとルドヴィクも将来結婚するのだから、この家はリュークの家でもある。今後も自由に来なさい」
「ありがとうございます、アレクシス様」
「違うだろう、リューク。俺のことは『お義父様』と呼びなさい」
「え!? え、と……あの、じゃあ、お義父様。これからもよろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
なんと僕にもう一人お父さんが出来てしまった。
最初に出会った時は、まさかこうなるなんて思ってもいなかった。嫌われていたヴィーには婚約しようと言われ、父さんの上司だったアレクシス様がもう一人のお父さんになるなんて。
「我が侯爵家に『救国の英雄』が来てくれるなんてな。ルドヴィク、よくやった」
「……それが理由じゃないですが。それでも俺の力でリュークを手に入れましたよ」
どういうことかと聞けば。マリア様が亡くなってからヴィーが父さんの家に住むことになったのも、僕と婚約するためだったらしい。また新たな情報が出て来て、僕はもう混乱しっぱなしだ。
それから僕のことが正式に公表されて、学園にも復学した。もう僕のことを変な目で見る人はいなくなった。とはいえ、正直どう接して良いかわからずにいるという方が正しい感じだけど。
学園では相変らずヴィーやオーラフ様と一緒にいることが多い。でも少しずつではあるけど、新たな友達も出来た。ヴィーはどうやらそれが面白くないらしく、眉間に皺を寄せていることが多くなった。
薬学科の試験は、魔力を使わないものを選択している。だけど結果は最高点を出している。どうしてこうなったのかを先生に聞くと、僕の魔力でしか作れない新薬を開発したからだそうだ。魔力回路不全や傷薬など、僕のことが公表された時にそれも一緒に発表している。
学園の試験がちゃんと合格できた時点で、僕は調合の成績はずっと最高点をつけられることになったそうだ。これでいいのかと思うけど、そう決まってしまったのなら僕にはどうしようもない。
魔力回路不全の薬は、父さんと一緒に作っていて、調合内容も僕は公開している。それで今は、いろんな薬師たちが薬草が持つ魔力効果をどうやって無効化するかの研究を行っているらしい。僕が死んでしまったら、この薬を作る事は出来なくなる。だから僕がいなくてもこの薬が作れるようになることを祈るのみだ。
◇
それから数年後――
「リューク先生こんにちはー」
「はーい、こんにちは。今日のお薬だよ。このお薬飲んだら治療は終わりだよ。ここまでよく頑張ったね」
「うん! このお薬、苦くないから僕でも飲めたよ! リューク先生ありがとう!」
「こちらこそ頑張って飲んでくれてありがとう。それじゃあ元気でね」
学園を卒業した僕は、すぐにヴィーと結婚した。ヴィーも魔法騎士になって近衛隊に入ることになった。今はレイン殿下の護衛任務に就いている。
そして僕は薬師の資格を取り、あの家の隣に小さな薬屋を建てて平民に向けた薬を作っている。家はそのまま父さんの家。ここでヴィーと一緒に住んでいる。
メルルさんはレインズフォード家の騎士だったのだけど、それを辞めて正式に僕達の家のメイドになった。この家で働くことが楽しいらしく、自分でそう選んだそうだ。たまにメルルさんの子供も遊びに来てくれて、その時は賑やかになるから僕も嬉しい。
魔力回路不全の薬もたまにだが依頼を受けている。まだこの薬を作れるのは僕しかいない。それでも研究は進んでいるらしく、もうしばらくすれば、どこの薬師でも魔力回路不全の薬は作れるようになるだろう。その日が待ち遠しい。不治の病が不治の病じゃなくなった。救える命があるって嬉しいことだ。
「ただいまリューク」
「おかえりなさい、ヴィー」
ヴィーが仕事から帰って来た。夜勤だったから今日の午前で終りらしい。
「テオドール陛下から手紙が届いてたぞ」
テオドール殿下はあれからアリミルスの国王になった。ルステーゼ王国の属国ではあるけど、テオドール殿下は陛下となって国を治めることになったそうだ。体が弱いのは相変らずみたいだけど、周りの人に支えられて頑張っていると聞いている。
僕の薬でテオドール陛下は魔力回路不全が治った。そのお礼を必ずすると言っていたけど、そのお礼はあの戦争が終わって一年経ってから送られてきた。ずっとバタバタとしていてそれどころじゃなかっただろうし、僕もすっかり忘れていたからお礼なんて別によかったんだけど。
それからというもの、テオドール陛下とはこうして手紙のやり取りをしている。今度、アリミルスへヴィーと共に遊びにいく予定だ。
「ふふ。僕の栄養剤が欲しいって書いてある。アリミルスにも優秀な薬師はたくさんいるのにね」
「リュークの薬は優しいからな。それに効き目も他の薬と違って抜群にいい。テオドール陛下もそれをわかっているんだろうさ」
「そうだったら嬉しいなぁ。今度アリミルスへ行くときにたくさん作って持って行かなきゃね」
「そうだな。それはそうと、そろそろ準備しろよ」
「あ、もうこんな時間! お店を閉めてすぐに準備するね!」
今日は午後からレインズフォード家へ行く予定だ。そしてそのまま父さんたちと過ごすためにレインズフォード家に一泊することになっている。
あれからヴィーとニコラス様やアメリア様達の確執もなくなり、すっかり昔のように仲良くなった。魔法騎士として職場も同じで、レインズフォード三兄弟として有名だ。三人共、本当に強いからね。
「お待たせ、ヴィー」
「ああ、それじゃ行くか」
ヴィーが手を差し出して、その上に僕の手を乗せる。出かけるときは必ず手を繋ぐようになった。
きっとこれから、どれだけ歳をとってもこのままでいるんだろうな。そんな風に僕は思う。
外へ出ると、今日も澄み渡る青空が広がっている。
魔法が使えない役立たずの僕でも、誰かを救う薬師になることが出来た。
もう僕は自分を役立たずなんていう事はない。
僕は守護の一族の末裔として、胸を張ってこれからも生きていく。ヴィーと共に。
~Fin~
お読みいただきありがとうございました!
今日は、父さんの処分が決まる日だった。そのため僕は王宮へ行っても父さんに会えないから、家でどうなったのかの報告を待っていた。それをオーラフ様が報告に来てくれたのだけど、その結果に驚いてしまった。
父さんは自らの意志ではないにせよ、油断が招いた結果ラフヘッド家に嵌められアリミルス王国の戦争に加担してしまった。その責任で幽閉処分となったそうだ。
だけどその幽閉先を、アレクシス様が魔法騎士を辞めることで引き取ることになったのだという。
ただ一つ良かったのは、レインズフォード家では冷遇されることはないとのこと。むしろアレクシス様が守ってくれるし、僕との面会も自由。父さんと魔力回路不全の薬を作ることも出来るそうだ。
その代わり、レインズフォードのお屋敷からは出ることは出来ない。自由はなくなってしまうが、アレクシス様のところなら安心だ。よかった。
そして翌日には父さんはレインズフォード家へ移るらしい。午後からはヴィーと一緒に家に来なさいとアレクシス様からの手紙を貰った。
それで早速午後にレインズフォード家へとお邪魔することにした。迎えの馬車も来てくれてヴィーと共にそれに乗り込む。
お屋敷に到着すると、久しぶりに見る執事のカールさんが出迎えてくれた。そのままカールさんに案内されて応接間へと移動する。中へ入れば父さんとアレクシス様が待っていた。
「二人共よく来たな。さ、掛けてくれ」
席に着くと、早速お屋敷の使用人さん達がお茶の用意を始めてくれた。たくさんの軽食にケーキ、それから香り高いお茶がカップに注がれる。それを一口飲むと、このお屋敷で飲むいつもの味でなんだかほっとした。昔は高級すぎてびくびくしていた僕も成長したなと思う。
「シモンの処分のことは聞いたと思う。今後、シモンはこの家で過ごすことになるし、私の領地経営にも手を貸してもらうことになる。だがシモンは薬師としての仕事もあるから、リュークと共に存分に行えばいい」
調合室にあった機材はそのまま残してくれるのだそう。今後は僕が自由に使えばいいと言ってくれた。将来薬師の資格を取ったらそこが僕の仕事場になる。
父さんと一緒に調合する時は、このお屋敷に新たに用意する調合室で行うことになるそうだ。
「それとお前たちの婚約の件だが、俺も認めよう。婚約誓約書を用意した。二人で名前を書きなさい」
アレクシス様が用意してくれたその用紙に、ヴィーと共に名前を書く。これを教会に預ければ僕達の婚約は成立する。一週間後には王室が僕のことを正式に発表するそうだ。それに間に合った形になる。
これを明日、アレクシス様が教会へと提出してくれるそうだ。
「それとね、リューク。その、あの……」
僕達の婚約のことも終わると、父さんが何かを言おうとする。だけど歯切れ悪く、口を空けたり閉じたりを繰り返してなかなか言葉にしてくれない。一体どうしたんだろうか。
「俺から言おう。正式に届けを出すことは出来ないが、シモンは事実上私の『妻』という立場になる。二人にもそれを知っておいて欲しい」
「はい? つま……?」
「ち、父上……え、つまり……え!? そういうことですか!?」
ようやく意味が分かったヴィーがガタンと音を立てて椅子から立ち上がる。まだ僕は飲み込めていない。
つま。つまってどういう意味? 僕はヴィーと父さんたちを交互に視線を動かしているだけ。ヴィーだけわかるなんてずるい。
「リュークはまだわからないか。よく見ていろ。こういうことだ」
アレクシス様は父さんの顎をくいっと持ち上げると、父さんの唇にちゅっと音を立てるキスをした。
へ? キス? えええええ!? つ、つまって、『妻』!? え、なに!? 父さんたちってそういう仲だったってこと!?
「ちょ、アレクっ……」
「こうでもしないとリュークがわからないみたいだからな」
「ばっ……言葉でも説明出来ただろう!?」
「こうした方が早い」
「ぐっ……リュークの前で何てことをっ……!」
「ははは! お前のそんな顔は久しぶりだな」
二人の雰囲気は今までとは全然違った。仲が良いことは知っていたけど、前は一線引いていた感じがあった。でも今はそれが全くなく、二人の距離も凄く近い。
「ま、まさか、昔父さんに好きな人がいるって言ってたの、アレクシス様のことだったの……?」
「ぐっ……そう、だよ」
真っ赤になってそれ以上何も言えなくなった父さんに代わって、アレクシス様が二人のことを教えてくれた。
学園時代の時、友人から恋人になったらしい。でもアレクシス様は後継を残さなければならず、マリア様と結婚したそうだ。マリア様も父さんたちのことは知っていたらしく、亡くなる前に父さんにアレクシス様のことを頼んでいたらしい。
その意味は父さんがアレクシス様と結婚してほしいということ。マリア様は自分のせいで二人の仲を引き裂いてしまったと思っていたそうだ。
「マリアが引き裂いたとは思っていないし、というかマリアが知っていたことも私は知らなかったんだ」
「マリアの要望だったからな。俺も堂々とシモンを迎えられた。この家から自由に出ることは出来ないが、シモンはレインズフォード家に嫁いだことになる。それにリュークとルドヴィクも将来結婚するのだから、この家はリュークの家でもある。今後も自由に来なさい」
「ありがとうございます、アレクシス様」
「違うだろう、リューク。俺のことは『お義父様』と呼びなさい」
「え!? え、と……あの、じゃあ、お義父様。これからもよろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
なんと僕にもう一人お父さんが出来てしまった。
最初に出会った時は、まさかこうなるなんて思ってもいなかった。嫌われていたヴィーには婚約しようと言われ、父さんの上司だったアレクシス様がもう一人のお父さんになるなんて。
「我が侯爵家に『救国の英雄』が来てくれるなんてな。ルドヴィク、よくやった」
「……それが理由じゃないですが。それでも俺の力でリュークを手に入れましたよ」
どういうことかと聞けば。マリア様が亡くなってからヴィーが父さんの家に住むことになったのも、僕と婚約するためだったらしい。また新たな情報が出て来て、僕はもう混乱しっぱなしだ。
それから僕のことが正式に公表されて、学園にも復学した。もう僕のことを変な目で見る人はいなくなった。とはいえ、正直どう接して良いかわからずにいるという方が正しい感じだけど。
学園では相変らずヴィーやオーラフ様と一緒にいることが多い。でも少しずつではあるけど、新たな友達も出来た。ヴィーはどうやらそれが面白くないらしく、眉間に皺を寄せていることが多くなった。
薬学科の試験は、魔力を使わないものを選択している。だけど結果は最高点を出している。どうしてこうなったのかを先生に聞くと、僕の魔力でしか作れない新薬を開発したからだそうだ。魔力回路不全や傷薬など、僕のことが公表された時にそれも一緒に発表している。
学園の試験がちゃんと合格できた時点で、僕は調合の成績はずっと最高点をつけられることになったそうだ。これでいいのかと思うけど、そう決まってしまったのなら僕にはどうしようもない。
魔力回路不全の薬は、父さんと一緒に作っていて、調合内容も僕は公開している。それで今は、いろんな薬師たちが薬草が持つ魔力効果をどうやって無効化するかの研究を行っているらしい。僕が死んでしまったら、この薬を作る事は出来なくなる。だから僕がいなくてもこの薬が作れるようになることを祈るのみだ。
◇
それから数年後――
「リューク先生こんにちはー」
「はーい、こんにちは。今日のお薬だよ。このお薬飲んだら治療は終わりだよ。ここまでよく頑張ったね」
「うん! このお薬、苦くないから僕でも飲めたよ! リューク先生ありがとう!」
「こちらこそ頑張って飲んでくれてありがとう。それじゃあ元気でね」
学園を卒業した僕は、すぐにヴィーと結婚した。ヴィーも魔法騎士になって近衛隊に入ることになった。今はレイン殿下の護衛任務に就いている。
そして僕は薬師の資格を取り、あの家の隣に小さな薬屋を建てて平民に向けた薬を作っている。家はそのまま父さんの家。ここでヴィーと一緒に住んでいる。
メルルさんはレインズフォード家の騎士だったのだけど、それを辞めて正式に僕達の家のメイドになった。この家で働くことが楽しいらしく、自分でそう選んだそうだ。たまにメルルさんの子供も遊びに来てくれて、その時は賑やかになるから僕も嬉しい。
魔力回路不全の薬もたまにだが依頼を受けている。まだこの薬を作れるのは僕しかいない。それでも研究は進んでいるらしく、もうしばらくすれば、どこの薬師でも魔力回路不全の薬は作れるようになるだろう。その日が待ち遠しい。不治の病が不治の病じゃなくなった。救える命があるって嬉しいことだ。
「ただいまリューク」
「おかえりなさい、ヴィー」
ヴィーが仕事から帰って来た。夜勤だったから今日の午前で終りらしい。
「テオドール陛下から手紙が届いてたぞ」
テオドール殿下はあれからアリミルスの国王になった。ルステーゼ王国の属国ではあるけど、テオドール殿下は陛下となって国を治めることになったそうだ。体が弱いのは相変らずみたいだけど、周りの人に支えられて頑張っていると聞いている。
僕の薬でテオドール陛下は魔力回路不全が治った。そのお礼を必ずすると言っていたけど、そのお礼はあの戦争が終わって一年経ってから送られてきた。ずっとバタバタとしていてそれどころじゃなかっただろうし、僕もすっかり忘れていたからお礼なんて別によかったんだけど。
それからというもの、テオドール陛下とはこうして手紙のやり取りをしている。今度、アリミルスへヴィーと共に遊びにいく予定だ。
「ふふ。僕の栄養剤が欲しいって書いてある。アリミルスにも優秀な薬師はたくさんいるのにね」
「リュークの薬は優しいからな。それに効き目も他の薬と違って抜群にいい。テオドール陛下もそれをわかっているんだろうさ」
「そうだったら嬉しいなぁ。今度アリミルスへ行くときにたくさん作って持って行かなきゃね」
「そうだな。それはそうと、そろそろ準備しろよ」
「あ、もうこんな時間! お店を閉めてすぐに準備するね!」
今日は午後からレインズフォード家へ行く予定だ。そしてそのまま父さんたちと過ごすためにレインズフォード家に一泊することになっている。
あれからヴィーとニコラス様やアメリア様達の確執もなくなり、すっかり昔のように仲良くなった。魔法騎士として職場も同じで、レインズフォード三兄弟として有名だ。三人共、本当に強いからね。
「お待たせ、ヴィー」
「ああ、それじゃ行くか」
ヴィーが手を差し出して、その上に僕の手を乗せる。出かけるときは必ず手を繋ぐようになった。
きっとこれから、どれだけ歳をとってもこのままでいるんだろうな。そんな風に僕は思う。
外へ出ると、今日も澄み渡る青空が広がっている。
魔法が使えない役立たずの僕でも、誰かを救う薬師になることが出来た。
もう僕は自分を役立たずなんていう事はない。
僕は守護の一族の末裔として、胸を張ってこれからも生きていく。ヴィーと共に。
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とっても面白くて一気読みしました!
厳しさや辛さを知っている人達の優しさと努力が切なく、それに政治の大変さもしみじみしました。
大円団で嬉しかったです。素敵な物語有難う御座います♪
さくらこ様
感想ありがとうございます😊&一気読みお疲れ様でした!
嬉しいお言葉ばっかりで小躍りしてます!書いて良かったー!
完結まで読了
いやー、最後の方でやっぱり泣かされました💦シモンさん&リューク親子の健気さに……シモンさん、兵器化させられてた時の記憶があるのが一番の罰になってしまっている。これ、トラウマですよね💧
でも、アレクさんが1人寝はさせないと思うので、安心かしら。
でもかわりに腰痛もちになりそうかも?
お薬自分で作るかリュークのお薬で回復ですね。
『救国の英雄』なんとも中二心をくすぐりそうな称号ですが(笑)
このせいと、開発したお薬のせいで、確かに縁談が山盛りで押し寄せて来そうですね(ついこの間まで差別したりしてたくせに)こういう所、貴族って感じですが💧
でも、ルドくんの兄妹の確執がなくなったのは良かったです。共同戦線のおかげもあるかな?
リュークは結果的に国も父も愛する人も隣国の王も救ってしまいましたね。
悪いことした人たちはまとめて『ざまぁ』令嬢はどうなったかしら?反省してなさそうだけど。鉄扇持って歩いてるあたり、危ない人なのは間違いないですし💦
でも、ここでも全ての巡り合わせがうまくいってちゃんと人が救われていますね。この時にリュークがいなかったら……と考えると、背筋ゾッとします😱
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これも神の采配ですね。本当に運命の女神は時に残酷ですが、自分に実直でいる人にはきちんと微笑んでくれるんですね。
エレン達の時にも似た感想書いたような。
でも、初志貫徹をしたルドくん、途中心配な事もありましたが、きちんとリュークを守りきってくれました。オーラフさん、メルルさんありがとう。アメリアさんもニコラスさんもお疲れ様。殿下、物騒な言い方で人を試すのはほど程にされた方が敵を作らないかと思います(笑)
穏便な出方の人たちばかりで良かったですが、時に殿下が黒幕に見えた事も否めませんでしたので……でも本人敢えて露悪的に振る舞ってそうですよね。それで人の本心を見極めようとしているような……💧オーラフさんこれからも苦労しそうです😅
メルルさんは転職して毎日ご機嫌で家事してそうですね♡
テオ陛下、ブラウさん?と実は……だったりして(笑)
最後までこんなにもハラハラしたのは久しぶりかもしれません。
過去作寄り道していて読了まで時間かかりましたが楽しませていただきました。
四葩様
最終話までお疲れ様でした🙏
泣いちゃいましたか…私は嬉しいです☺️
シモンさんトラウマ抱えてますが、きっとアレクさんが夢が見れないほど爆睡させることでしょう。きっと毎日抱き潰されてますよ…
リュークの体質のおかげで、自分の周りの人だけじゃなく国もまるっと救ってしまいました。
今後はルドヴィクくんと結婚したとしても、貴族の自分勝手な欲に振り回されそうです。でもそこはルドヴィクくんをはじめ、周りの人たちが守ってくれますよきっと。
あのとんでも令嬢ですが、宰相一家の人間なので何もかも失い平民落ちで、ほっぽり出されてます。きっとこの先生きていけないでしょうし…南無🙏
リュークは自分の運命にかなり振り回されましたが、この先はずっと幸せな日々を生きていけることでしょう。
ルドヴィクくんたちも元に戻ったし、テオさんたちとも仲良くなったし、お仕事も順調だし、シモンさんたちともいっぱい一緒にいられますし。
メルルさんがメイドになったことで、リュークの家でのメイド仕事は人気になりそうですね。侯爵家から『自分もやりたい!』なんて人が出てきそう。
テオさんとブレアさんの関係はもしかしたら…秘密の恋人としての関係はありそうですね🫢
今回のお話はシリアス寄りだったので、書いてる私も少々精神的に疲れました😅今度は明るい話を書きたいなと思っています。
過去作もまた読んでくださって、こちらも読了してくださって本当にありがとうございました😊
そしてたくさんの感想、本当に嬉しかったです!
44話まで読了
これは……父達を亡くした、とあるので例の国の第三?王子だったり?
自称国王がクーデターをして、自分は弱いので亡命してきていた、とか?
そのせいで(身を守るために)病の発作?
だとしたら……とんでもない事になりそう
四葩様
相変わらず鋭い!
テオさん第三王子様です。