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しおりを挟む「では、今からあいつを呼ぶか。早めの方が良いだろう。……来い、ラウム。」
サナトスがそう声をかけると、サナトスの前に黒い渦が生まれ長身の男が現れ跪く。
「御前に。魔王様。」
「ラウムよ。我は番の召喚に成功した。タケルだ。」
「おめでとうございます、魔王様。番様、初めまして。魔族のラウムと申します。番様にお会いできて光栄です。」
そういうと、ラウムはにっこりと微笑んだ。コイツもまた物凄い美形だな…。この世界は美形しかおらんのか。
「タケル、コイツは我の右腕だ。この世界では何かと力になってくれるだろう。遠慮せずなんでも申すがいい。…してラウムよ、我はタケルと共にタケルの世界へ行く。その間愚か者が勝手をしないよう力を尽くせ。心配せずとも1週間に一度は戻ってくる。」
「かしこまりました。こちらの事はお任せくださいませ。…では、早速部下達に指示を出して参ります。また何かあればお呼びくださいませ。」
そう言って、来た時と同じく黒い渦に飲まれて消えた。
「よし。これでこちらは大丈夫だ。では、この国の者に説明をしなかればな。」
そう言うと、スッと手から黒い鳥が現れて飛んでいった。
「サナトス、今のは?」
「ああ、あれは我が作った伝言鳥だ。今この国の王へあの鳥を飛ばした。面会希望の文を載せてな。しばらくすれば誰か呼びにくるであろう。それまでゆっくりとすれば良い。…さ、こちらへ。」
…またこれですか。魔王様は俺をお膝に乗せるのがお好きなようで…。
それから甲斐甲斐しく、実は部屋に用意されていたお茶やお菓子を食べさせられた。それもめちゃくちゃ良い笑顔で。…俺のこと、本当に好きなんだな。なんか恥ずかしいのと照れくさいので落ち着かない。
しばらくサナトスとのティータイムを過ごしていると、王様がお呼びだと声がかかった。
2人して部屋を出る。というか横抱きにされて。やめてくれって言っても、暴れてたとしても降ろしてくれないのでもう諦めた。
「やっと会えたのだ。そなたと少しでも離れるのは嫌なのだ。許せ。」
なんて悲しそうな顔して言われたら、ねぇ。俺に会うために、長い間神様の手足となって働いたり、本当は嫌だろうに人間と友好関係築いたりしてるの聞いちゃってるからさ。
…俺ってお人好しだよな。それに嫌じゃないんだよ。これも、番ってやつが関係してんのかな…。わかんね。
そして結構歩いた先に大きな扉。どうやら国王様の執務室?らしい。
「魔王様がお見えになりました。」
との声で、扉が開いて中へ入る。…横抱きにされたまま。
王様との謁見でこれはまずいでしょ!?って言っても大丈夫だ、との一声でこのまま。ほんとかよ…。怒られても知らんからな。
「先程ぶりですね、タケル様。」
「落ち着かれたようで何よりです。こちらまでご足労感謝致します。」
あー!ラルフィーとさっきも居たおじさん!…え?おじさんが王様!? え!? さっきこの国の王様ガン無視してサナトスとチュッチュッした挙句、挨拶もせずさっさと部屋出ていったの!? ひえぇ!ごめんなさーい!!しかも今もこんな横抱きで面会なんて本当にすみません!!
「私がこのエマシュタル王国の国王、ギディオン・エマシュタルと申します。先程は挨拶もできず申し訳ありませんでした。魔王様の番、タケル様。」
「いえ、あのっ!そんな!えっと、俺、いや僕…」
「落ち着けタケル。大丈夫だ。そなたは我の番。立場としては、国王と同じだ。」
はぁ!? なんだって!? 俺が、王様と同じ立場!? 嘘だろっ!? 俺はいたって普通の高校生だぞ!? 庶民だぞ!?
ぽかーんとみっともない顔を晒してる自覚はあるが、そう言われてはいそうですか、とはなれない。
「あの…俺は普通の庶民で学生、なんです。なので、その、様付けも敬語もやめていただけるとありがたいかなーなんて…ははっ。」
苦笑いしながらそう伝えた。すると、困ったように国王様はサナトスを見る。え、俺そんな無理難題言ったの?不安になってサナトスを見つめる。
「…だめ?」
「…タケルがそう言うならば仕方がない。だからそんな可愛い顔で見つめないでくれ。我の理性が飛ぶ。」
ひえっ!それは困る!さっきの二の舞だ!
「サナトスからもOK貰ったんで、それでお願いします!」
「…相分かった。ではタケル殿と呼ばせていただこう。ははっそれにしてもタケル殿といる魔王様はなんとも優しい顔をされておる。」
「本当に。タケル様のことを、心から愛されているのが見てわかりますね。」
うわ…恥ずかしい!他人から見てそう見えるってことは、やっぱサナトスって本当に俺のこと好きなんだ。
なんかソワソワする…。
「それで魔王様、お話をお聞かせ願えますかな。」
「うむ。我は明日、タケルと共にタケルの世界へ行く。我が不在となると、人間を嫌う輩が何をしでかすかわからん。そこは我の右腕であるラウムに指示を出してあるが、不測の事態もあるやもしれん。」
「なるほど。こちらもそのつもりで対策を講じましょう。助言感謝致します。」
「まぁ、我も1週間に一度は戻るようにするゆえ。手間をかけさせるがよろしく頼む。」
「承知した。こちらもすぐに対応させましょう。」
サナトスって本当に人間側と争わないようにして来たんだ。エマの時のサナトスを知っているから、本当に不思議だ。
「…ん?どうしたタケル?」
「いや、なんか昔のサナトスを知ってるから、人間と仲良くしてる事が不思議で…。」
「ふふ。タケル様はエマ様ですからね。その時の魔王様から見れば、あまりの変わりように不思議に思うのも無理はありません。」
あれ?なんでラルフィーも俺がエマって知ってんの?
「ふむ。では魔王様、タケル殿。あちらの部屋でお茶でもしながらお話致しましょう。」
そう王様に言われて執務室を出る。そして、隣の部屋で4人でお茶会。もちろんサナトスの膝の上で。
この世界のお茶、お菓子もだけど美味しいな。すごく優しい味がする。なんか、懐かしさも感じる味なんだよな。
お茶を楽しみながらラルフィーが口を開く。
「まず、タケル様。この世界はエマ様がいらっしゃった世界というのはご存じでしょうか?そして、この国はエマ様がいらっしゃった国です。」
サナトスがいるからもしかしたら、とは思ってたけどやっぱそうだったんだ。でもこの国がエマがいた国っていうのは分からなかったな。だからか。お茶やお菓子が懐かしい味がするって思ってたの。
「昔、この国はシュタル国と言う名前でした。エマ様が当時の魔王様を倒され平和が訪れたことにより、国名にエマ様の名前を足してエマシュタル、となりました。ですから、この国は特にエマ様を崇拝しているのです。」
え、マジ!? そうだったんだ。エマが死んだ後のことだから知らなくて当然なんだけど。
なんか、昔の自分の名前がついた国名って凄いな。召喚された最初はまたかよ、って思ってたけど召喚されてエマが死んだ後の事を知れて良かったって今は思う。
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