7 / 8
■【チュートリアル】はじめてのレッスン
▶【チュートリアル】はじめてのレッスン「ステータス調整・競争」
しおりを挟む
――――――――――――――――
■ レッスンルーム ■
――――――――――――――――
さっきの勝負では全然物足りないとアスカの提案で、『ステータス調整を使った本気のレース』をする事になった。
先ほどの勝負で興味を持ってしまったため、これからバーチャルドールの全力が見られるのは楽しみである。
これまで何度もレッスンとして、競争や勝負のような事は行われているらしい。
大規模なレッスンだからか、現在はシスティさんも姿を現して準備を手伝ってくれている。
先ほどまでの状況をモニターしているため、説明する手間が省けて話が早かった。
ステータス調整はそれぞれが自己申請してして、システィさんに承認してもらうルールらしい。
アスカが何度もリテイクされていたが、勝負に勝ちたくてステータスを上げすぎているのだろうと、だいたい察しがついた……。
制御するための熟練度が追いついていない状態で、ステータスをむやみやたらに上げてしまうと、力加減などがうまくいかず、正常に体を動かす事さえ難しくなるそうだ。
また、大きくステータス調整をした後は、その設定に慣れるための準備運動が必要らしい。
アスカ「ぜーったい、後ろを振り向かないでよ!」
ヒナタ「マスター、驚くかな?」
サクヤ「レースが始まってからの、お・た・の・し・み♥」
みんなは私を驚かせたいらしく、準備運動の様子は絶対に見ない約束をさせられて、後ろを振り向かないようにして待っている。
みんなが準備運動をしている間に、システィさんは、レッスンルームのサイズを広げ、ビルが立ち並ぶフィールドを設定してくれている。
レースに適したコース作りをしているのか、ビルの配置を変更したりと何やら楽しそうだ。
東京ドーム何個分だろうと思うほど広大で、ここがさっきまで室内だったとは、最初から見ていても不思議でしかなかった。
――――――――――――――――
準備が全て整うと、システィさんから簡単なルール説明があった。
○この地点からスタートし、ゴール地点に最初にたどり着いた者が勝利。
○ゴールまでのルートは自由に選んで良い。
○今回は、接触行為・妨害行為は禁止とする。
最後の一文がちょっと気になったが、触れないでおこう。
システィ「位置について~! よーい、ドン!」
『ドン』の合図とともに、目で追えないほどのスピードで走りさっていく。
予想を超えるほどのスピードに言葉が出ず、私は呆然とする。
システィ「マスター、このマップとウィンドウで、みんなの様子を一緒に見ましょう」
『みんなの居場所がわかるようにアイコンが表示されたマップ』と『テレビ中継のように5人の姿が映し出されているウィンドウ』がパっと同時に表示される。
――――――――――――――――
ヒナタは、直進する道路をまっすぐに走っていくが、その速度が尋常ではなく速い。
車やバイクでも追いつけるかどうかと思うようなスピードで走っている。
システィさんのコース作りで、ビル街だが道路は碁盤目状にはなっておらず、直角に曲がる場面がいくつもある。
ヒナタは、危うくビルにぶつかりそうになりながらも、速度をあまり落とす事なくうまく曲がる。
カナエも、ヒナタの少し後ろをムリのないスピードで追いかけていく。
ニコニコ笑顔のため、勝負というよりヒナタとのかけっこを楽しんでいるように見える。
チサトは、スタートと同時に驚異のジャンプ力でビルの上に飛び乗り、ゴールまで一直線になるように建物の上を飛び移りながらゴールを目指している。
アスカは、進行方向に道をふさぐビルが見えてくると、高速スピードで走りながらも器用に地面にあるマンホールのフタを掴んで拾うと、円盤投げのようなスタイルでビルに向かってブン投げる。
とてつもない破壊力でビルに大きな穴を空けると、その穴を走り抜けてまっすぐゴールに向かっていく。
――――――――――――――――
ずっと気になっていたのだが、サクヤはまだスタート地点の近くのビルの中に入ったままで、何やら作業をしてるようだ。
絶え間なく大きな音と振動だけが聞えてくる。
サクヤ「今のステータス調整で壊さずに切り取るのは、なかなか手間ね」
やっとサクヤがビルから出てきた。
試合放棄なのかと思って、もうみんなスタートしてるけどいいのかと伝えると、
サクヤ「いつもは本気にならないんだけど、今回はマスターを驚かせてあげたくて♪」
と、ウィンクをしながら小悪魔のような笑みを浮かべる。
ビルがゆっくりとサクヤの方に倒れてくる。
私がサクヤを助けるために駆け寄ろうとすると、システィに静止される。
システィ「きっと大丈夫です。サクヤにはちゃんと考えがあるみたいでしたので、今回は特別に、経験上ではまだうまく扱えないとされるゲージの高さを承諾しました」
サクヤは地面に寝転がるように背を預けると、両足にのしかかるビルを壊さない力加減でヘッドスプリングの要領で上空に放り上げる。
ビルがまるで巨大なダンボール箱かと思うほど、軽々と宙を舞う。
サクヤは地面のアスファルトが割れるほどの脚力で踏み切って空高く飛び上がると、空中に放り上げられたビルを足場にしてゴールに向かって弾丸のようなスピードで飛んでいく。
両足で思い切り踏切ったビルは少し遅れて、サクヤの脚力に耐えられずに大きな音と共に粉々に粉砕していった。
ビルからビルへ飛び移るチサトを抜き去り、ゴール目前でデッドヒートを繰り広げるヒナタとアスカ、そして少し後を走るカナエも抜きさって、サクヤは1位でゴール地点に到着した。
ゴール地点には、サクヤが着地したであろう衝撃で、クレーターのようなものができていた。
後から来たサクヤに大逆転勝利された事に、アスカは「ズルイ! ズルイ!」と悔しがり、みんなをダシ抜く事に成功したサクヤは、モニター越しに見ている私の方に向かって、イラズラが成功した事を喜ぶ子供のように笑顔でピースした。
■ レッスンルーム ■
――――――――――――――――
さっきの勝負では全然物足りないとアスカの提案で、『ステータス調整を使った本気のレース』をする事になった。
先ほどの勝負で興味を持ってしまったため、これからバーチャルドールの全力が見られるのは楽しみである。
これまで何度もレッスンとして、競争や勝負のような事は行われているらしい。
大規模なレッスンだからか、現在はシスティさんも姿を現して準備を手伝ってくれている。
先ほどまでの状況をモニターしているため、説明する手間が省けて話が早かった。
ステータス調整はそれぞれが自己申請してして、システィさんに承認してもらうルールらしい。
アスカが何度もリテイクされていたが、勝負に勝ちたくてステータスを上げすぎているのだろうと、だいたい察しがついた……。
制御するための熟練度が追いついていない状態で、ステータスをむやみやたらに上げてしまうと、力加減などがうまくいかず、正常に体を動かす事さえ難しくなるそうだ。
また、大きくステータス調整をした後は、その設定に慣れるための準備運動が必要らしい。
アスカ「ぜーったい、後ろを振り向かないでよ!」
ヒナタ「マスター、驚くかな?」
サクヤ「レースが始まってからの、お・た・の・し・み♥」
みんなは私を驚かせたいらしく、準備運動の様子は絶対に見ない約束をさせられて、後ろを振り向かないようにして待っている。
みんなが準備運動をしている間に、システィさんは、レッスンルームのサイズを広げ、ビルが立ち並ぶフィールドを設定してくれている。
レースに適したコース作りをしているのか、ビルの配置を変更したりと何やら楽しそうだ。
東京ドーム何個分だろうと思うほど広大で、ここがさっきまで室内だったとは、最初から見ていても不思議でしかなかった。
――――――――――――――――
準備が全て整うと、システィさんから簡単なルール説明があった。
○この地点からスタートし、ゴール地点に最初にたどり着いた者が勝利。
○ゴールまでのルートは自由に選んで良い。
○今回は、接触行為・妨害行為は禁止とする。
最後の一文がちょっと気になったが、触れないでおこう。
システィ「位置について~! よーい、ドン!」
『ドン』の合図とともに、目で追えないほどのスピードで走りさっていく。
予想を超えるほどのスピードに言葉が出ず、私は呆然とする。
システィ「マスター、このマップとウィンドウで、みんなの様子を一緒に見ましょう」
『みんなの居場所がわかるようにアイコンが表示されたマップ』と『テレビ中継のように5人の姿が映し出されているウィンドウ』がパっと同時に表示される。
――――――――――――――――
ヒナタは、直進する道路をまっすぐに走っていくが、その速度が尋常ではなく速い。
車やバイクでも追いつけるかどうかと思うようなスピードで走っている。
システィさんのコース作りで、ビル街だが道路は碁盤目状にはなっておらず、直角に曲がる場面がいくつもある。
ヒナタは、危うくビルにぶつかりそうになりながらも、速度をあまり落とす事なくうまく曲がる。
カナエも、ヒナタの少し後ろをムリのないスピードで追いかけていく。
ニコニコ笑顔のため、勝負というよりヒナタとのかけっこを楽しんでいるように見える。
チサトは、スタートと同時に驚異のジャンプ力でビルの上に飛び乗り、ゴールまで一直線になるように建物の上を飛び移りながらゴールを目指している。
アスカは、進行方向に道をふさぐビルが見えてくると、高速スピードで走りながらも器用に地面にあるマンホールのフタを掴んで拾うと、円盤投げのようなスタイルでビルに向かってブン投げる。
とてつもない破壊力でビルに大きな穴を空けると、その穴を走り抜けてまっすぐゴールに向かっていく。
――――――――――――――――
ずっと気になっていたのだが、サクヤはまだスタート地点の近くのビルの中に入ったままで、何やら作業をしてるようだ。
絶え間なく大きな音と振動だけが聞えてくる。
サクヤ「今のステータス調整で壊さずに切り取るのは、なかなか手間ね」
やっとサクヤがビルから出てきた。
試合放棄なのかと思って、もうみんなスタートしてるけどいいのかと伝えると、
サクヤ「いつもは本気にならないんだけど、今回はマスターを驚かせてあげたくて♪」
と、ウィンクをしながら小悪魔のような笑みを浮かべる。
ビルがゆっくりとサクヤの方に倒れてくる。
私がサクヤを助けるために駆け寄ろうとすると、システィに静止される。
システィ「きっと大丈夫です。サクヤにはちゃんと考えがあるみたいでしたので、今回は特別に、経験上ではまだうまく扱えないとされるゲージの高さを承諾しました」
サクヤは地面に寝転がるように背を預けると、両足にのしかかるビルを壊さない力加減でヘッドスプリングの要領で上空に放り上げる。
ビルがまるで巨大なダンボール箱かと思うほど、軽々と宙を舞う。
サクヤは地面のアスファルトが割れるほどの脚力で踏み切って空高く飛び上がると、空中に放り上げられたビルを足場にしてゴールに向かって弾丸のようなスピードで飛んでいく。
両足で思い切り踏切ったビルは少し遅れて、サクヤの脚力に耐えられずに大きな音と共に粉々に粉砕していった。
ビルからビルへ飛び移るチサトを抜き去り、ゴール目前でデッドヒートを繰り広げるヒナタとアスカ、そして少し後を走るカナエも抜きさって、サクヤは1位でゴール地点に到着した。
ゴール地点には、サクヤが着地したであろう衝撃で、クレーターのようなものができていた。
後から来たサクヤに大逆転勝利された事に、アスカは「ズルイ! ズルイ!」と悔しがり、みんなをダシ抜く事に成功したサクヤは、モニター越しに見ている私の方に向かって、イラズラが成功した事を喜ぶ子供のように笑顔でピースした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
328
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる