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第十二章
『予期せぬ両軍の消耗』
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アンデッドが突如として湧き出す事態にパニックとなった。
この時に痛感したのが、物語でよくあるシチュエーションとして『周囲が馬鹿になって主人公が活躍する』というものがある。思うに、これって馬鹿になるのではなく、『今までと同じ状況だったら、コレで良い』と思い込む為ではないだろうか? 俺だって戦争中で貴族が政争するなんて馬鹿な事をするとは思わなかったし、貴族だってアンデッドが沸き出すとは思わないから馬鹿な事をしたわけだ。
何が言いたいかというと、この状況を作り出した術者にも、同じことが言える訳だな。
「アンデッドは高低差に弱い。障害物や掘りを活かして戦え! 零体系は魔法の武器持ちやゴーレムに任せるか、強化術を掛けられる魔術師に頼れ! 皆で守りながら戦えば、大して強くはないぞ!」
「「はい!」」
勇者軍で転戦したこともあり、対アンンデッドの戦法は確立している。
大昔に夏王朝を大混乱に陥れたアンデッドの災禍も、今では大きな被害を出してはいないのだ。それどころか現地の傭兵たちや貴族の軍勢により、徐々に土地を取り戻し、浄化系の術を行う事で平和になっている場所もあるという。
要するに落ち着いて戦う事が出来れば簡単に倒せるし、パニックに成って囲まれることが危険だと言えるだろう。
「この呪術を作った奴は大昔の成功体験に酔っている。俺のゴーレムでも戦術の進歩で旧式になるくらいだ。落ち着いて戦えばアンデッドは恐ろしくはないぞ。見ろ、騎士団が大型のスケルトンを駆逐した!」
「「おお!」」
ゾンビ物の映画でショッピングモールに籠る者が居るようなものだ。
対処手段として『どう戦えばアンデッドと戦い易いか』をさえ確立してしまえば、後は作業になるのである。なのでここでの戦いそのものは恐ろしくもなんともない。むしろ、出撃した後にアンデッドに囲まれてしまった一部の諸侯たちが危険なくらいだろう。彼らは生きた心地がせず、倒しても倒しても現れる雑兵に囲まれてしまっているに違いない。
そして放置すれば殺されてしまい、彼ら自体が新たなアンデッドになってしまうのが問題だった。
「騎士団と合流し、高台に孤立した諸侯を救うぞ!」
「騎士たちに続け!!」
「「うおお!!」」
みんなが馬鹿をやった結果、今回株を挙げたのはヨセフ伯だった。
俺たちが全力で支援している事もあり、彼は豪胆な盟主として活躍している。俺たちが慌てふためいている間に、明確な指示を出して攻勢に転じたわけだからな。実際にそれが正しいのか間違っているのかは別にして、大混乱を収めるのには確固とした方針が必要だったのは間違いがないだろう。
そして、想定外の混乱が敵にもあるならば、ここで攻勢に転じるのは悪くはない。
「クレメンス団長! 御無事でしたか!」
「私はな。しかし大型の骸骨どもにはしてやられたよ。せっかくの勢いが奪われてしまった。お陰であのザマだ」
恐竜めいたスケルトンを前にウッラール騎士団と合流した。
低位のアンデッドは強くはないが、恐竜サイズの大型となればタフネスである。特に苦戦していなかったとしても、全体として戦況は固定されてしまうし、ヨセフ伯に活躍の場を与えてしまった。今回の件でヨセフ伯は名声を固めたと言えるだろう。今後の運営がやり難くなるのは確かであった。
とはいえ、今はソレを靴にしている余裕などはない。
「仕方ありません。今は貴族たちを救出しましょう」
「そうだな。今は少しでも戦力が必要な時だ」
俺とクレメンス団長は苦笑するしかない。
小さくは政敵であり大きくは反乱分子でもあるヨセフ伯を助けなければならない。だが、そうしなければ今の窮地を好機へと帰る事は出来ないのだ。アンデットを呼び起こして包囲するならばもっと良いタイミングがある筈で、素人目にも此処で使うのはよろしくない様に見える。ならば、今回の件は本当に偶発的な事なのだろう。敵もまさか、罠を準備している段階でこちらが突出して来るとは思っても見ないに違いない。
さて、こうなってくると打つ手は限られてくる。
「とはいえ、この段階では得ることは一つだ。その次はどうかな?」
「そうですね。おそらく何処かに結界基がある筈です。一定区画に術を行使するための物で、ソレがある限り死体は延々とアンデットになるでしょう。これまえなら何処にあるかは不明でしたが、以前に用意した探知システムを覚えておいでですか? あれを参考に考えるならば、広い結界ならば塔のように、狭い結界ならば地下に埋めてあるはずです。諸侯が踏み入った場所に必要あると思うので、精々参考にさせていただきましょうか」
これまでの経験が活かされる時が来た。
魔力を集めたり放出するには高い場所がある方が良いと判っている。また、本拠地ゆえに場所を区切って起動する方が良い筈だ。それを考えたならば、四つから六つの結界基を用意して、その内側に敵が踏み込んだら術が起動する様な構図であると思われた。もちろん礎となる塔は起動するには多数必要でも、意地だけならば最低限の三つで良いだろう。となると幾つか破壊して、結界の面積を区切って行かねばならない。
そう言ったことを伝えつつ、俺たちはそれぞれにすることを決めた。
「塔とも限るまいがなんとかしよう。後は任せたぞ」
「了解です。ゴーレムに後ろを遮断させます」
今回の件が偶発的だと理解できるのはタイミングだけではない。
諸侯が向かったのが高台だという事だ。アンデッドは高低差に弱いので高い台に登って守りを固めたら何とかなってしまう。騎士団が救援に向かいつつ、ゴーレムで穴を掘って守りを固めたらそれ以上の被害が出ないのだ。おそらくは、その辺りにも結界基があり、相手の勢力圏に踏み込んでしまった形になったことが今回の発端ではないだろうか? おそらくだが敵から見て何も無い場所であり、こちらから見て視界を通す高い位置だったというのが、焦点が重なった原因だろう。
そう言う訳で驚きはしたが何とかなりそうだという気配はある。問題なのは戦死者が何処まで出て、士気が何処まで落ちるかだ。
(アンデッドは数の壁として厄介だが、それは敵にも言える)
(精鋭部隊は逆に動き難いからな。敵も味方も同じ条件だ)
(ドルニエ騎士団の合流も遅れるだろうが、敵の襲撃も鈍化するだろう)
(本来叩くはずだった場所への到着が遅れる……というか可能なのか? 下手をすると魔力だけ使って行動が露見とかしかねない。流石にアンデッドに襲われて自滅しないように工夫はしているだろうが……。しかしその方法は何だ? 一番簡単なのは結界の外に出る事だ。だが、今回の件は意図して起こしたことではない。何処かに籠ってるか、しばらく休むつもりで安全圏に移動してる所かな……)
ゲームのように敵味方を自動識別する術なんかまず存在しない。
たいていは敵だけを引っかけて起動する様にしたり、自分達には向けて使わない物だ。だが、相手の予定を無視して起動してしまったのだから、向こうも驚いているのではないだろうか? もちろん人間と違って魔族は低位アンデッドに囲まれてもパニックを起こすこともないだろうし、殺されてしまう事もない。こっちが脆弱な分だけ不利だが、相手がその戦闘力を活かせないという意味で条件は似ている。既に見切りをつけて島から脱出中なら追撃できないので最悪だが、それ以外なら悪い状況ではない。
もちろん洞窟か何かで相手だけ安全に休んでいる可能性もあるが、逆に言えばこちらは精鋭に襲われないとも言えるのだ。
(結果として敵味方の限界が来るな。敵は『我』を抑えるための集中力、こちらは士気の決定的な低下。どちらも長々と戦い続けられなくなる。もちろん俺の勘違いで、敵は群雄割拠だから統制できなくても構わないのかもしれないが、それはそれで士気さえ保てればこちらがいつか勝てるからな。状況が変わり、情報が集まり次第に、それに合わせて今後に備えて抜本的な対策が必要だろう)
こうしてアンデッド対策を始めた俺たちは、敵に先んじるべく戦いながら準備を始めるのだった。
アンデッドが突如として湧き出す事態にパニックとなった。
この時に痛感したのが、物語でよくあるシチュエーションとして『周囲が馬鹿になって主人公が活躍する』というものがある。思うに、これって馬鹿になるのではなく、『今までと同じ状況だったら、コレで良い』と思い込む為ではないだろうか? 俺だって戦争中で貴族が政争するなんて馬鹿な事をするとは思わなかったし、貴族だってアンデッドが沸き出すとは思わないから馬鹿な事をしたわけだ。
何が言いたいかというと、この状況を作り出した術者にも、同じことが言える訳だな。
「アンデッドは高低差に弱い。障害物や掘りを活かして戦え! 零体系は魔法の武器持ちやゴーレムに任せるか、強化術を掛けられる魔術師に頼れ! 皆で守りながら戦えば、大して強くはないぞ!」
「「はい!」」
勇者軍で転戦したこともあり、対アンンデッドの戦法は確立している。
大昔に夏王朝を大混乱に陥れたアンデッドの災禍も、今では大きな被害を出してはいないのだ。それどころか現地の傭兵たちや貴族の軍勢により、徐々に土地を取り戻し、浄化系の術を行う事で平和になっている場所もあるという。
要するに落ち着いて戦う事が出来れば簡単に倒せるし、パニックに成って囲まれることが危険だと言えるだろう。
「この呪術を作った奴は大昔の成功体験に酔っている。俺のゴーレムでも戦術の進歩で旧式になるくらいだ。落ち着いて戦えばアンデッドは恐ろしくはないぞ。見ろ、騎士団が大型のスケルトンを駆逐した!」
「「おお!」」
ゾンビ物の映画でショッピングモールに籠る者が居るようなものだ。
対処手段として『どう戦えばアンデッドと戦い易いか』をさえ確立してしまえば、後は作業になるのである。なのでここでの戦いそのものは恐ろしくもなんともない。むしろ、出撃した後にアンデッドに囲まれてしまった一部の諸侯たちが危険なくらいだろう。彼らは生きた心地がせず、倒しても倒しても現れる雑兵に囲まれてしまっているに違いない。
そして放置すれば殺されてしまい、彼ら自体が新たなアンデッドになってしまうのが問題だった。
「騎士団と合流し、高台に孤立した諸侯を救うぞ!」
「騎士たちに続け!!」
「「うおお!!」」
みんなが馬鹿をやった結果、今回株を挙げたのはヨセフ伯だった。
俺たちが全力で支援している事もあり、彼は豪胆な盟主として活躍している。俺たちが慌てふためいている間に、明確な指示を出して攻勢に転じたわけだからな。実際にそれが正しいのか間違っているのかは別にして、大混乱を収めるのには確固とした方針が必要だったのは間違いがないだろう。
そして、想定外の混乱が敵にもあるならば、ここで攻勢に転じるのは悪くはない。
「クレメンス団長! 御無事でしたか!」
「私はな。しかし大型の骸骨どもにはしてやられたよ。せっかくの勢いが奪われてしまった。お陰であのザマだ」
恐竜めいたスケルトンを前にウッラール騎士団と合流した。
低位のアンデッドは強くはないが、恐竜サイズの大型となればタフネスである。特に苦戦していなかったとしても、全体として戦況は固定されてしまうし、ヨセフ伯に活躍の場を与えてしまった。今回の件でヨセフ伯は名声を固めたと言えるだろう。今後の運営がやり難くなるのは確かであった。
とはいえ、今はソレを靴にしている余裕などはない。
「仕方ありません。今は貴族たちを救出しましょう」
「そうだな。今は少しでも戦力が必要な時だ」
俺とクレメンス団長は苦笑するしかない。
小さくは政敵であり大きくは反乱分子でもあるヨセフ伯を助けなければならない。だが、そうしなければ今の窮地を好機へと帰る事は出来ないのだ。アンデットを呼び起こして包囲するならばもっと良いタイミングがある筈で、素人目にも此処で使うのはよろしくない様に見える。ならば、今回の件は本当に偶発的な事なのだろう。敵もまさか、罠を準備している段階でこちらが突出して来るとは思っても見ないに違いない。
さて、こうなってくると打つ手は限られてくる。
「とはいえ、この段階では得ることは一つだ。その次はどうかな?」
「そうですね。おそらく何処かに結界基がある筈です。一定区画に術を行使するための物で、ソレがある限り死体は延々とアンデットになるでしょう。これまえなら何処にあるかは不明でしたが、以前に用意した探知システムを覚えておいでですか? あれを参考に考えるならば、広い結界ならば塔のように、狭い結界ならば地下に埋めてあるはずです。諸侯が踏み入った場所に必要あると思うので、精々参考にさせていただきましょうか」
これまでの経験が活かされる時が来た。
魔力を集めたり放出するには高い場所がある方が良いと判っている。また、本拠地ゆえに場所を区切って起動する方が良い筈だ。それを考えたならば、四つから六つの結界基を用意して、その内側に敵が踏み込んだら術が起動する様な構図であると思われた。もちろん礎となる塔は起動するには多数必要でも、意地だけならば最低限の三つで良いだろう。となると幾つか破壊して、結界の面積を区切って行かねばならない。
そう言ったことを伝えつつ、俺たちはそれぞれにすることを決めた。
「塔とも限るまいがなんとかしよう。後は任せたぞ」
「了解です。ゴーレムに後ろを遮断させます」
今回の件が偶発的だと理解できるのはタイミングだけではない。
諸侯が向かったのが高台だという事だ。アンデッドは高低差に弱いので高い台に登って守りを固めたら何とかなってしまう。騎士団が救援に向かいつつ、ゴーレムで穴を掘って守りを固めたらそれ以上の被害が出ないのだ。おそらくは、その辺りにも結界基があり、相手の勢力圏に踏み込んでしまった形になったことが今回の発端ではないだろうか? おそらくだが敵から見て何も無い場所であり、こちらから見て視界を通す高い位置だったというのが、焦点が重なった原因だろう。
そう言う訳で驚きはしたが何とかなりそうだという気配はある。問題なのは戦死者が何処まで出て、士気が何処まで落ちるかだ。
(アンデッドは数の壁として厄介だが、それは敵にも言える)
(精鋭部隊は逆に動き難いからな。敵も味方も同じ条件だ)
(ドルニエ騎士団の合流も遅れるだろうが、敵の襲撃も鈍化するだろう)
(本来叩くはずだった場所への到着が遅れる……というか可能なのか? 下手をすると魔力だけ使って行動が露見とかしかねない。流石にアンデッドに襲われて自滅しないように工夫はしているだろうが……。しかしその方法は何だ? 一番簡単なのは結界の外に出る事だ。だが、今回の件は意図して起こしたことではない。何処かに籠ってるか、しばらく休むつもりで安全圏に移動してる所かな……)
ゲームのように敵味方を自動識別する術なんかまず存在しない。
たいていは敵だけを引っかけて起動する様にしたり、自分達には向けて使わない物だ。だが、相手の予定を無視して起動してしまったのだから、向こうも驚いているのではないだろうか? もちろん人間と違って魔族は低位アンデッドに囲まれてもパニックを起こすこともないだろうし、殺されてしまう事もない。こっちが脆弱な分だけ不利だが、相手がその戦闘力を活かせないという意味で条件は似ている。既に見切りをつけて島から脱出中なら追撃できないので最悪だが、それ以外なら悪い状況ではない。
もちろん洞窟か何かで相手だけ安全に休んでいる可能性もあるが、逆に言えばこちらは精鋭に襲われないとも言えるのだ。
(結果として敵味方の限界が来るな。敵は『我』を抑えるための集中力、こちらは士気の決定的な低下。どちらも長々と戦い続けられなくなる。もちろん俺の勘違いで、敵は群雄割拠だから統制できなくても構わないのかもしれないが、それはそれで士気さえ保てればこちらがいつか勝てるからな。状況が変わり、情報が集まり次第に、それに合わせて今後に備えて抜本的な対策が必要だろう)
こうしてアンデッド対策を始めた俺たちは、敵に先んじるべく戦いながら準備を始めるのだった。
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