36 / 84
内なる災い編
予定外の騒ぎはお早めに
しおりを挟む
●
再攻略に向けて動き出すはずだったが予定外の事件が起きた。
エレオノーラの家が管理する敷地に盗賊がやって来たらしいのだ。まだ街には被害が出ていないが、街道が荒らされて集める予定の物資が届けられないという。
こちらが動き出す手前でいきなり?
クソ怪しい上に、そもそも立地の問題でおかしいのだ。前に言ったかもしれないが、領地の大多数がブドウを中心とした農園で、残りは国境沿いの大山脈である。
「これってそう言う事よね?」
「まあそう言う事だろ? まだ亜人の民族移動だとか、向こうの国が飢饉になって仕方なく攻めてくる方がありえるぜ」
豊かな農園地帯である、食い詰め者の盗賊なんか出ない。
盗賊が来るとしたら他所の領地から流れてくるはずだし、その場合は何らかの痕跡が残るはずなのだ。そもそも村や町を守るためにダンジョンが機能しているので、他所の領地方面から来た場合は、外延部分にあるダンジョンへご招待されている筈である。
では国境の大山脈からではないのか?
その可能性はゼロではないが、盗賊が大山脈を越えるような努力を行うとは思えない。隣の国が飢饉かなにかで立ちいかなくなって、国軍を挙げて攻めてくる方がまだありえるだろう。隠れ潜む亜人族がそこまでアグレッシヴならば、ダンジョンにもっと頻繁にやってきているはずだった。
「それでなくとも行政の指導が無くなった直後、エレオノーラには瑕疵が無い」
「しかも分家の軍勢や役割込みで計画をぶちあげた直後だからな」
「分家筋の中でも黙る奴らと、本家を狙う奴らに別れちまったと思う」
「俺達の攻略を邪魔する為に、そういう事にした可能性は高い。実績があることを前提にしてる奴はまた文句を言うし、行政指導を消すのも時期尚早かって話に戻せるからな」
十中の八か九は分家筋か入り込んでるスパイの仕業だろう。
エレオノーラを試すための試練にしちゃ大仰すぎるし、もし大事に成ったら問題だもんな。重要なのはこれが精々なのか、それとも表向きの言い訳程度なのかで差があるって事だな。
「実際に盗賊を通したのか、あるいは手勢を盗賊としたのかはこの際関係ない」
「連中からすれば用意した計画に疑義を生じさせられれば良いんだ」
「お前さんの態度が揺らぐかどうか試してるのもあるんだろうさ」
「ここは断固として対応すべきだと思うね。もちろん場当たり的に動くんじゃなくて、いろんな可能性を一つずつ潰しながらだ。向こうの国に関しては『早便』を送って確かめとくよ」
何をやってるのかなんざ知らんが、最終的結論は決まっている。
エレオノーラの手腕は信じられないとか、あるいは親族を頼りにしているなど嘘であるとかだ。要するにエレオノーラの権威を失墜させて、今計画している事は嘘っぱちで信用ならないと主張で切れば良いのである。計画や提出されている書類自体は、後から回収して自分たちなりにアレンジすれば良いだけの事だからな。
だからマズイのは、親族衆なしには何ら対抗策が打てないとか(強権含む)、右往左往して次期当主の器が無いとかだろう。断固として盗賊に立ち向かい、あらゆる対策とは言わないが余人から見て頼りになる動きをする事だろう。
「そこまで計画の内だったら? こっちがそう出て来る事を狙ってるみたいな」
「計画自体は真似されても困らねえ段階だからなあ。……あえて困るネタを上げるなら、個別に動いたところをバッサリってとこかな。やってから『亜人種が居たので処分しました』『異民族が居ました、隣の国の仕業でしょう』って言い訳するあたりか」
考え過ぎると何もできなくなるので、最悪だけ考えておく。
正直な話、計画をパクられようが、支援物資をガメられようが別に構わない。本命の戦力と食料その他は自前で用意するからな。外に発注するのは、既に長期戦を見据えた物資とか、ダンジョン中に張り巡らせる予定の魔力循環器とかでしかない。だから一番困る闇討ちして居直るという手段だけ例示して置いた。
まあ本気でやる時は暗殺どころか、その場にいる全員を身内で固めて証言ごとでっちあげる事だろうけどな。流石にそこまで用意できるような奴だったら、こんなタイミングで盗賊なんか馬鹿馬鹿しい手段で時間稼ぎなんぞしないだろう。
「じゃあ事前に名簿と合図を配ってから捜索と言うあたりかしらね?」
「だな。そっちでただの噂なのか、それとも本当に実害が出ているのかを確認さえしてくれれば、後は簡単だろうぜ」
噂だけが独り歩きして、兵士が偽装してる場合でも対処は可能だ。
証人を引き連れて捜索計画を立て、他の地域にも見張りを立てておけば良い。居る筈の地域を何度捜索してもドロンと消えるなんて出来過ぎだし、こっちの居ない場所にしか盗賊が出ないとしたら、その段階で身内がやってることになるしな。
「それじゃあさっさと片付けて、本命に挑むとしましょうか」
「ああ。早便が往復するまでの時間だけあれば準備にゃ十分だからな。それでだいたい解決する」
こうして俺たちは盗賊退治を前哨戦として行うことにした。
●
さて、早便を送って事態を確認したわけだが……。
そもそもこの『早便』が何かである。もちろんでっかい山脈を越えるのに馬なんか使わない。船でも良いのだが、俺の場合はちょうど都合が良い伝手があった。
そしてエレオノーラの一族が管理する土地にそいつが『着陸』したことで、概ね準備が整ったとも言える。
「ペガサス……こんなモノを何処で……」
「ああ、俺はダンジョン経営のコンサルタントでね。前に経営を改善したダンジョンで育ててるんだよ。今回は山越えルートの確立込みで声を掛けてみたんだ」
空を飛ぶ存在なら話は速いし、伝書鳥よりも確実だ。
速度的には遅くなりそうなものだが、ダンジョンの機能に防衛がある以上は、怪しげな鳥が定期ルート以外で高速で飛んだら普通に警戒される。なので今回はペガサスに騎乗した前の依頼主に、向こうの国への販売ルート込みで行ってもらったのだ。
もちろんプランを立てた分だけ移動費用は安くしてもらってる。
「申し訳ないですねエドワードさん。ワザワザ御足労いただきまして」
「いや、君の頼みならばこのくらいはね。それにこっちが頼んだ場合は正規料金を君も取るだろう? 売り込み先も探したかったし、渡りに船だったよ」
別に向こうの国とは戦争してないので、飢饉が無ければそこで終わりだ。
しかし船よりも早く移動して、ダンジョンの領域に入る前にその都度にダンジョンマスター達に話を通して抜ければ早く移動できる。船で移動するよりも早く移動できる分、前の依頼主であるエドワードという男は商談が出来た。もちろんクラウディア人のネットワークがあるので、そこを紹介して置いたわけだ。売り込み先としてもクラウディア人ならペガサスの価値を知ってるしな。
そしてペガサスに乗った騎兵と言う存在は、もう一つの効果を出してくれる。ダンジョンには用いれないだけで、他の用には役に立つからな。
「この地方で良い宿を知って居ます。葡萄酒などいかがですか? 盗賊が出るそうなので今なら何処のワイナリーでも喜ばれますよ。必要なら紹介状を書きましょう」
「ハハハ。私を抑えに利用する気かな? 君は抜け目がないな」
ペガサスに乗った騎兵がこの辺の町を周遊しているとしよう。
名前だけ盗賊と名乗った親族衆の私兵たちが移動して居れば、それだけで見つかってしまう。また、同時に俺たちが隠れ潜んで居る連中を探して居る場所にはおらず、別の場所で突如暴れた事になっていたらおかしいだろう。
もちろん普通であれば、こちら以上の斥候が居る可能性はある。
俺達の斥候がヘボで見つかったから、向こうの方が巧みに逃げたという可能性も多分にあるだろう。だが、ペガサス騎兵が居る以上はそんな事は出来ない。隠れ潜んだまま動かないか、それとも親族衆の私兵として『我々は巡回して居ます』と言い訳をするしかないのである。そんな予定はまるで聞いていないのにな。
「そういえばペガサス牧場に力を貸したと言ってたわね。ダンジョンの中でも使えないとは言ってたけど」
「だからダンジョンの中で使わなきゃいいのさ。じゃあ捜索を始めるとするか」
こうして俺たちは降ってわいた盗賊騒ぎをサッサと片付けることにした。
実害は本当に出たそうなので、私兵集団を蹴散らせば終りだろう。もしかしたら本命をぶつける前の腕試しかもしれないが、こっちがペガサス騎兵なんか呼び寄せたおかげで、本命を投入して良いのかも二の足を踏むだろう。
その間に中層での用事を片付けて、騒動を終わらせる訳である。
再攻略に向けて動き出すはずだったが予定外の事件が起きた。
エレオノーラの家が管理する敷地に盗賊がやって来たらしいのだ。まだ街には被害が出ていないが、街道が荒らされて集める予定の物資が届けられないという。
こちらが動き出す手前でいきなり?
クソ怪しい上に、そもそも立地の問題でおかしいのだ。前に言ったかもしれないが、領地の大多数がブドウを中心とした農園で、残りは国境沿いの大山脈である。
「これってそう言う事よね?」
「まあそう言う事だろ? まだ亜人の民族移動だとか、向こうの国が飢饉になって仕方なく攻めてくる方がありえるぜ」
豊かな農園地帯である、食い詰め者の盗賊なんか出ない。
盗賊が来るとしたら他所の領地から流れてくるはずだし、その場合は何らかの痕跡が残るはずなのだ。そもそも村や町を守るためにダンジョンが機能しているので、他所の領地方面から来た場合は、外延部分にあるダンジョンへご招待されている筈である。
では国境の大山脈からではないのか?
その可能性はゼロではないが、盗賊が大山脈を越えるような努力を行うとは思えない。隣の国が飢饉かなにかで立ちいかなくなって、国軍を挙げて攻めてくる方がまだありえるだろう。隠れ潜む亜人族がそこまでアグレッシヴならば、ダンジョンにもっと頻繁にやってきているはずだった。
「それでなくとも行政の指導が無くなった直後、エレオノーラには瑕疵が無い」
「しかも分家の軍勢や役割込みで計画をぶちあげた直後だからな」
「分家筋の中でも黙る奴らと、本家を狙う奴らに別れちまったと思う」
「俺達の攻略を邪魔する為に、そういう事にした可能性は高い。実績があることを前提にしてる奴はまた文句を言うし、行政指導を消すのも時期尚早かって話に戻せるからな」
十中の八か九は分家筋か入り込んでるスパイの仕業だろう。
エレオノーラを試すための試練にしちゃ大仰すぎるし、もし大事に成ったら問題だもんな。重要なのはこれが精々なのか、それとも表向きの言い訳程度なのかで差があるって事だな。
「実際に盗賊を通したのか、あるいは手勢を盗賊としたのかはこの際関係ない」
「連中からすれば用意した計画に疑義を生じさせられれば良いんだ」
「お前さんの態度が揺らぐかどうか試してるのもあるんだろうさ」
「ここは断固として対応すべきだと思うね。もちろん場当たり的に動くんじゃなくて、いろんな可能性を一つずつ潰しながらだ。向こうの国に関しては『早便』を送って確かめとくよ」
何をやってるのかなんざ知らんが、最終的結論は決まっている。
エレオノーラの手腕は信じられないとか、あるいは親族を頼りにしているなど嘘であるとかだ。要するにエレオノーラの権威を失墜させて、今計画している事は嘘っぱちで信用ならないと主張で切れば良いのである。計画や提出されている書類自体は、後から回収して自分たちなりにアレンジすれば良いだけの事だからな。
だからマズイのは、親族衆なしには何ら対抗策が打てないとか(強権含む)、右往左往して次期当主の器が無いとかだろう。断固として盗賊に立ち向かい、あらゆる対策とは言わないが余人から見て頼りになる動きをする事だろう。
「そこまで計画の内だったら? こっちがそう出て来る事を狙ってるみたいな」
「計画自体は真似されても困らねえ段階だからなあ。……あえて困るネタを上げるなら、個別に動いたところをバッサリってとこかな。やってから『亜人種が居たので処分しました』『異民族が居ました、隣の国の仕業でしょう』って言い訳するあたりか」
考え過ぎると何もできなくなるので、最悪だけ考えておく。
正直な話、計画をパクられようが、支援物資をガメられようが別に構わない。本命の戦力と食料その他は自前で用意するからな。外に発注するのは、既に長期戦を見据えた物資とか、ダンジョン中に張り巡らせる予定の魔力循環器とかでしかない。だから一番困る闇討ちして居直るという手段だけ例示して置いた。
まあ本気でやる時は暗殺どころか、その場にいる全員を身内で固めて証言ごとでっちあげる事だろうけどな。流石にそこまで用意できるような奴だったら、こんなタイミングで盗賊なんか馬鹿馬鹿しい手段で時間稼ぎなんぞしないだろう。
「じゃあ事前に名簿と合図を配ってから捜索と言うあたりかしらね?」
「だな。そっちでただの噂なのか、それとも本当に実害が出ているのかを確認さえしてくれれば、後は簡単だろうぜ」
噂だけが独り歩きして、兵士が偽装してる場合でも対処は可能だ。
証人を引き連れて捜索計画を立て、他の地域にも見張りを立てておけば良い。居る筈の地域を何度捜索してもドロンと消えるなんて出来過ぎだし、こっちの居ない場所にしか盗賊が出ないとしたら、その段階で身内がやってることになるしな。
「それじゃあさっさと片付けて、本命に挑むとしましょうか」
「ああ。早便が往復するまでの時間だけあれば準備にゃ十分だからな。それでだいたい解決する」
こうして俺たちは盗賊退治を前哨戦として行うことにした。
●
さて、早便を送って事態を確認したわけだが……。
そもそもこの『早便』が何かである。もちろんでっかい山脈を越えるのに馬なんか使わない。船でも良いのだが、俺の場合はちょうど都合が良い伝手があった。
そしてエレオノーラの一族が管理する土地にそいつが『着陸』したことで、概ね準備が整ったとも言える。
「ペガサス……こんなモノを何処で……」
「ああ、俺はダンジョン経営のコンサルタントでね。前に経営を改善したダンジョンで育ててるんだよ。今回は山越えルートの確立込みで声を掛けてみたんだ」
空を飛ぶ存在なら話は速いし、伝書鳥よりも確実だ。
速度的には遅くなりそうなものだが、ダンジョンの機能に防衛がある以上は、怪しげな鳥が定期ルート以外で高速で飛んだら普通に警戒される。なので今回はペガサスに騎乗した前の依頼主に、向こうの国への販売ルート込みで行ってもらったのだ。
もちろんプランを立てた分だけ移動費用は安くしてもらってる。
「申し訳ないですねエドワードさん。ワザワザ御足労いただきまして」
「いや、君の頼みならばこのくらいはね。それにこっちが頼んだ場合は正規料金を君も取るだろう? 売り込み先も探したかったし、渡りに船だったよ」
別に向こうの国とは戦争してないので、飢饉が無ければそこで終わりだ。
しかし船よりも早く移動して、ダンジョンの領域に入る前にその都度にダンジョンマスター達に話を通して抜ければ早く移動できる。船で移動するよりも早く移動できる分、前の依頼主であるエドワードという男は商談が出来た。もちろんクラウディア人のネットワークがあるので、そこを紹介して置いたわけだ。売り込み先としてもクラウディア人ならペガサスの価値を知ってるしな。
そしてペガサスに乗った騎兵と言う存在は、もう一つの効果を出してくれる。ダンジョンには用いれないだけで、他の用には役に立つからな。
「この地方で良い宿を知って居ます。葡萄酒などいかがですか? 盗賊が出るそうなので今なら何処のワイナリーでも喜ばれますよ。必要なら紹介状を書きましょう」
「ハハハ。私を抑えに利用する気かな? 君は抜け目がないな」
ペガサスに乗った騎兵がこの辺の町を周遊しているとしよう。
名前だけ盗賊と名乗った親族衆の私兵たちが移動して居れば、それだけで見つかってしまう。また、同時に俺たちが隠れ潜んで居る連中を探して居る場所にはおらず、別の場所で突如暴れた事になっていたらおかしいだろう。
もちろん普通であれば、こちら以上の斥候が居る可能性はある。
俺達の斥候がヘボで見つかったから、向こうの方が巧みに逃げたという可能性も多分にあるだろう。だが、ペガサス騎兵が居る以上はそんな事は出来ない。隠れ潜んだまま動かないか、それとも親族衆の私兵として『我々は巡回して居ます』と言い訳をするしかないのである。そんな予定はまるで聞いていないのにな。
「そういえばペガサス牧場に力を貸したと言ってたわね。ダンジョンの中でも使えないとは言ってたけど」
「だからダンジョンの中で使わなきゃいいのさ。じゃあ捜索を始めるとするか」
こうして俺たちは降ってわいた盗賊騒ぎをサッサと片付けることにした。
実害は本当に出たそうなので、私兵集団を蹴散らせば終りだろう。もしかしたら本命をぶつける前の腕試しかもしれないが、こっちがペガサス騎兵なんか呼び寄せたおかげで、本命を投入して良いのかも二の足を踏むだろう。
その間に中層での用事を片付けて、騒動を終わらせる訳である。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる