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5 魔王候補生と愉快な仲間たち

5―9 先見の明ですか?

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 5ー9 先見の明ですか?

 「まったく驚かされたよ、セツ君には」
 帰りの馬車の中でアザゼルさんがしきりに口許を歪めていた。
 「あの悪徳奴隷商ガザックに奴隷を値引きさせるとは」
 「値引きじゃないです」
 俺は、なんか恥ずかしくってうつ向いていた。
 「ちょっとおまけをつけてもらっただけです」
 「ちょっと、ねぇ」
 アザゼルさんが感心したように言った。
 「しかし、あの酒毒の剣士は、ものになるのかどうかもわからないからね。正直、グレイシアの方がいい買い物だったかもしれないな」
 それは、まあ、そうだな。
 俺は、アザゼルさんの言葉に頷いた。
 グレイシアは、スマホ女神の神官になれる才能があるらしい。
 それだけじゃない。
 彼は、世知にたけているし頭も悪くない。
 このままあのガザックのもとで酷い目にあわされるままにしとくのはもったいない。
 ガザックには遅くとも今日の夕方には2人を届けるようにとお願いしているのだが。
 俺は、にやにやしていた。
 きっと、クーランドの奴、驚くぞ!
 俺は、このことをクーランドには内緒にしておくつもりだった。
 驚かせてやろう。
 だが、魔王連合ギルドへ帰ると待ち構えていたクーランドが俺に尋ねてきた。
 「無事にグレイシア、買えたのか?」
 はい?
 俺は、びっくりしていた。
 なんで、知ってるの?
 ハトマメ状態の俺にクーランドがあっけらかんとして答えた。
 「いや、グレイシアが、さ。絶対にあんたは、自分を買う筈だって言ってたから」
 マジですか?
 俺は、グレイシアの先見の明に驚いていた。
 っていうか、あの包帯はもしかして偽装?
 だとしたら、本当に俺は、いい買い物をしたのかもしれないな。
 なにしろ、女神の神官見習いで、そのうえに優秀な軍師か、宰相となりうる人物を手に入れられたんだからな。
 魔王連合ギルドの部屋へと戻った俺は、はっと身構えた。
 が、一瞬の出来事だった。
 気がつくと俺は、例の3人の幼馴染みたちに飛び付かれてその下敷きになっていた。
 「お、お前たち!」
 「待ってたんだぞ、セツ!」
 「心配してたんだぞ!」
 「愛してる、セツ!」
 ん? 
 俺は、少し首を傾げた。
 変なの混じってなかった?
 とにかく。
 「お、重いってば!」
 
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