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5 歴史は、繰り返す?

5ー10 おかえり

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 5ー10 おかえり

 「本当は、もう二度とこの姿になるつもりはなかったのです」
 ロタは、俺に話した。
 もう、すでに外は薄暗くなりつつある。
 俺は、部屋の明かりを灯した。
 ロタは、俺の腰かけているベッドの横の椅子に腰かけて俺と向き合っていた。
 「本来、私のような人外のものは、この世界に関わることはあまり喜ばれないのです。あなたのことは」
 ロタが小さく方をすくめた。
 「私にとっても予定外のことでしたから」
 「でも」
 俺は、震える声で呟いた。
 「ロタは・・お前は、確かにいたんだ」
 「ええ」
 ロタは、俺に微笑む。
 「最初は、ほんの悪戯心だったんです」
 ロタ
 ローエルタールは、退屈していた。
 そんなおりに彼女は、俺を見つけた。
 信じていた者たちに裏切られて死んでいく存在。
 よくある話だ。
 だが、ロタは、俺に興味を持った。
 「なぜかは、わかりません。ただ、あなたを気の毒に思ってしまったのです」
 そこでロタは、俺の人生に関わることにした。
 1度目の人生では、存在しなかったロタとなって俺に関わることにした。
 「でも・・俺には、ロタの記憶が確かにあるんだ」
 「その記憶は、あなたにとっても周囲のみなさんにとっても本当の記憶です」
 ロタは、答えた。
 「私にとっては、造られた記憶であってもあなた方にとっては、本当にあったことなのです」
 マジですか?
 信じられない俺にロタは、にっこりと微笑んだ。
 「その証拠に、もう、私が死んだ記憶は消えています。残っているのは、あなたの中だけです」
 ロタは、俺に訊ねた。
 「もし、あなたが望めばその記憶も消して差し上げますが?」
 「いや、いい」
 俺は、頭を振った。
 「この記憶は、俺から奪わないでくれ」
 ロタを失った時の悲しみ。
 怒り。
 ロタの最後の温もり。
 愛しさ。
 流した涙。
 すべては、忘れたくない。
 例え、すべてが幻だったとしても。
 「そうですか」
 ロタが小声で呟いた。
 「だから、私は、あなたが愛おしいのでしょうね、オルナム様」
 そうして、ロタの消えた日々は、終わった。
 ロタは、俺のもとに戻ってきたのだ。
 
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