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35話 婚約発表②
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服がもう、涙でびしょ濡れになっている。それでもポロポロと涙が零れて止まらない。
ダメだな。気付いたらもう後戻り出来ない状態になってたなんて。
バカだな。本当に、こんなに好きだったとか、知りたくなかった。どうしてくれるんだよ。
「ここで何をしている?」
「・・・っあ。」
静かに泣いていると、第一王子のルイヴィン・ラティスが俺の前に現れた。
誰も来ない様に何かしらの魔法を使ったと思ったのだが、混乱していたせいか、一部の人間には効果が無かったみたいだ。
「ライ・・・か。」
「は、はい。申し訳ございません。このような場所で不審な行動をとってしまい・・・。」
名前、覚えられていたんだな。
貴族でも何でもない、ただの生徒でしかない俺の名前まで覚えるようにしているだなんて、王子様は大変そうだとぼんやりと考える。
「いや、いい。お前に話さなければならない事があるからな・・・はあ。あの男はどうかしている。」
「???」
「お前に婚約者ができた。それも隣国、デウギウスの王太子だ。」
「・・・は?」
「政略結婚だが、相手はお前にご執心の様であったぞ。まあ、詳しい話は別室でしよう。ライ・・・」
一体、誰に向かって言ってるんだ。婚約?デウギウスの王太子?それを示す人物は一人しかいない筈だ。
それに、ここには俺と第一王子しかいない。つまり、この話は────
「・・・いや、ライヴィル・ラティス。」
俺に対して言っている。
────俺は第一王子様に連れられて、生徒会室に来ていた。
立派なソファーに座らされ、どういった事か、室内に佇ずんでいたメイドさんが淹れてくれた美味しいお茶を頂いている。
生徒会室の窓際には、執事の格好をした高齢の男性と護衛騎士らしき男が待機している。生徒会室にある物はどれも一級品に見受けられる。ここだけ別世界みたいだな。
「ところで、先程は何故泣いていた?」
「あー、その。失恋をしてしまって。」
「な、何!?ライ、誰だ相手は!?こんなに可愛い弟を振った馬鹿野郎は!いや、大馬鹿野郎は!」
おい、口悪いぞ。王子だろお前。さっきまでの完璧王子はどこ行きやがった。
「ああ、いや、勘違いで・・・ついさっき婚約しました。」
「何だって!?もう国家間で婚約しているというのに、何処の馬の骨とも分からんヤツに嫁ぐ気か!!」
「そうではなくて・・・ノアディアが・・・俺が好きな人なんですよ。あと何で嫁に行く前提で話してるんだよ。」
「な、に・・・!?」
つられてつい口が悪くなってしまう。まずい、相手は王子だぞ、不敬罪になったりしないか・・・言った後で後悔するが、それよりも会話の内容が気になってそれ所ではない。
「そうかそうか・・・。両想いだったんだな・・・。安心したぞ・・・。」
両想いって、勝手に決めつけるなよ。と、言おうとしたが、これ以上高貴な身分の人相手に汚い言葉遣いで話さないよう開いた口をそっと閉じる。
「あの男は急に外堀を埋めてきたり武力で脅してきたり金銭でこの国を買収しようとしてきたり挙句の果てには世界の半分をやるからライを嫁にとか願い事なら全て叶えるから嫁にとか悪魔みたいな事言ってきたからな・・・お父様から二人は婚約したと聞いた時からずっと心配していてな。」
息継ぎなしで愚痴を吐いてきたな・・・。
肺活量と喋る速度の速さに気圧される。どんだけストレス溜まってたんだよ。ノアディアに何かされたのかよ。
「あの、すみませんけど最初から説明を・・・。」
しっかりとした説明をされず、混乱していたら意外な所から助け舟が出た。
「そうだよアホ兄さん、大切な事は先にちゃんと説明しないと。ライはボク達の弟だよってね。」
第二王子が生徒会室へ訪れた。助かったのだが簡潔に爆弾発言をしてきて顔が引きつる。
「ま、マジですか・・・。」
「うーん、信じられないと思うケド、これがマジなんだよね。お・と・う・と。」
「俺の方が身長高いんですけど!?」
「ハァ?ボクの方が先に産まれたんだケド!?」
「まあ、一旦落ち着け。ライ、レイ。」
んで一番上のお前はルイってか・・・愛称で呼ばれるとややこしいけど兄弟って分かりやすい名前だなおい。
「取り敢えずこのお母様の遺したこの遺書を見てくれ。お前が王子だと言うことが今まで何故秘匿されてきたのか、お前の本当の母はどんな思いでいたのか・・・そこに全てが記されている。」
ダメだな。気付いたらもう後戻り出来ない状態になってたなんて。
バカだな。本当に、こんなに好きだったとか、知りたくなかった。どうしてくれるんだよ。
「ここで何をしている?」
「・・・っあ。」
静かに泣いていると、第一王子のルイヴィン・ラティスが俺の前に現れた。
誰も来ない様に何かしらの魔法を使ったと思ったのだが、混乱していたせいか、一部の人間には効果が無かったみたいだ。
「ライ・・・か。」
「は、はい。申し訳ございません。このような場所で不審な行動をとってしまい・・・。」
名前、覚えられていたんだな。
貴族でも何でもない、ただの生徒でしかない俺の名前まで覚えるようにしているだなんて、王子様は大変そうだとぼんやりと考える。
「いや、いい。お前に話さなければならない事があるからな・・・はあ。あの男はどうかしている。」
「???」
「お前に婚約者ができた。それも隣国、デウギウスの王太子だ。」
「・・・は?」
「政略結婚だが、相手はお前にご執心の様であったぞ。まあ、詳しい話は別室でしよう。ライ・・・」
一体、誰に向かって言ってるんだ。婚約?デウギウスの王太子?それを示す人物は一人しかいない筈だ。
それに、ここには俺と第一王子しかいない。つまり、この話は────
「・・・いや、ライヴィル・ラティス。」
俺に対して言っている。
────俺は第一王子様に連れられて、生徒会室に来ていた。
立派なソファーに座らされ、どういった事か、室内に佇ずんでいたメイドさんが淹れてくれた美味しいお茶を頂いている。
生徒会室の窓際には、執事の格好をした高齢の男性と護衛騎士らしき男が待機している。生徒会室にある物はどれも一級品に見受けられる。ここだけ別世界みたいだな。
「ところで、先程は何故泣いていた?」
「あー、その。失恋をしてしまって。」
「な、何!?ライ、誰だ相手は!?こんなに可愛い弟を振った馬鹿野郎は!いや、大馬鹿野郎は!」
おい、口悪いぞ。王子だろお前。さっきまでの完璧王子はどこ行きやがった。
「ああ、いや、勘違いで・・・ついさっき婚約しました。」
「何だって!?もう国家間で婚約しているというのに、何処の馬の骨とも分からんヤツに嫁ぐ気か!!」
「そうではなくて・・・ノアディアが・・・俺が好きな人なんですよ。あと何で嫁に行く前提で話してるんだよ。」
「な、に・・・!?」
つられてつい口が悪くなってしまう。まずい、相手は王子だぞ、不敬罪になったりしないか・・・言った後で後悔するが、それよりも会話の内容が気になってそれ所ではない。
「そうかそうか・・・。両想いだったんだな・・・。安心したぞ・・・。」
両想いって、勝手に決めつけるなよ。と、言おうとしたが、これ以上高貴な身分の人相手に汚い言葉遣いで話さないよう開いた口をそっと閉じる。
「あの男は急に外堀を埋めてきたり武力で脅してきたり金銭でこの国を買収しようとしてきたり挙句の果てには世界の半分をやるからライを嫁にとか願い事なら全て叶えるから嫁にとか悪魔みたいな事言ってきたからな・・・お父様から二人は婚約したと聞いた時からずっと心配していてな。」
息継ぎなしで愚痴を吐いてきたな・・・。
肺活量と喋る速度の速さに気圧される。どんだけストレス溜まってたんだよ。ノアディアに何かされたのかよ。
「あの、すみませんけど最初から説明を・・・。」
しっかりとした説明をされず、混乱していたら意外な所から助け舟が出た。
「そうだよアホ兄さん、大切な事は先にちゃんと説明しないと。ライはボク達の弟だよってね。」
第二王子が生徒会室へ訪れた。助かったのだが簡潔に爆弾発言をしてきて顔が引きつる。
「ま、マジですか・・・。」
「うーん、信じられないと思うケド、これがマジなんだよね。お・と・う・と。」
「俺の方が身長高いんですけど!?」
「ハァ?ボクの方が先に産まれたんだケド!?」
「まあ、一旦落ち着け。ライ、レイ。」
んで一番上のお前はルイってか・・・愛称で呼ばれるとややこしいけど兄弟って分かりやすい名前だなおい。
「取り敢えずこのお母様の遺したこの遺書を見てくれ。お前が王子だと言うことが今まで何故秘匿されてきたのか、お前の本当の母はどんな思いでいたのか・・・そこに全てが記されている。」
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